TOHOKU UNIVERSITY, 東北大学大学院文学研究科・文学部 西洋史研究室

研究室情報(大学院)

  • 学部での研究生活と大学院でのそれのもっともおおきな相違点は、ひとつにはいわゆる一次史料、すなわち研究対象と同時代に作成された史料(もしくはそれに類する史料)を必ず用いて研究をおこなう点にあります。
     そのため、古代史の場合は古代ギリシア語やラテン語、中世史の場合はラテン語や、必要に応じて地域語(古英語・中世英語、中世フランス語など)の史料を読めることが必要になります。
     近現代史でも、やはり必要に応じて習得すべき言語があります。大学院での研究を志す場合は、こうした言語の基礎を身につける努力もしてほしいと思います。
  • また、めざす研究水準の違いも、学部と大学院でおおきく異なります。
     博士前期課程の仕上げとなる修士論文では、内外の最新の研究状況をふまえ、その問題点を明らかにしたうえで、一次史料を分析し、問題点を解決して研究を前進させる、そのような結論を導くことをめざします。
     さらに博士後期課程では、修士論文に基づくものをふくめ、学術雑誌に発表した2本もしくはそれ以上の論文を元に、体系性と独創性とを兼ね備えた課程博士論文をまとめます。
  • もちろん論文の完成に向けては、基礎になる授業のカリキュラムを組んでいます。
     具体的には、特論で学界の最新研究事情を学び、研究演習で各種の史料読解能力を磨いたり、研究発表をおこなったりします。
     また、主に博士前期課程の1年目の段階では、「東北史学会」での学会発表や『西洋史研究』誌での外国語文献紹介執筆といった学会活動を通じても、研究の方向性を練っていきます。
     さらに、当専攻分野で数十年にわたって引き継がれてきた行事に、「院生例会」があります。これはおよそ半年後に修士論文提出を目指す学生が、その準備状況を報告する研究会で、教員および大学院生が全員参加します。報告者にとっては論文の完成に向けて具体的な助言を得る機会ですし、その他の参加者にとっても、建設的な学問的議論の仕方を学ぶ場の一つとしておおきな意味を持っています。
     このほかにも自主的な勉強会や指導教員による個別指導など、論文完成を目標にそれを助けるさまざまな機会が提供されています。
  • 課程修了者の進路は、大学・高等専門学校・高等学校の教員のように、西洋史学の知見を直接生かせる職もありますが、とくに前期課程の場合はそれ以外にも、公務員になる者もあり、多様な民間の会社に就職する者もありと、さまざまです。
     問題発見・解決能力や、また勤勉さなど、論文作成を通じて磨かれるさまざまな能力・特性が、社会でも評価されています。