TOHOKU UNIVERSITY, 東北大学大学院文学研究科・文学部 西洋史研究室

研究室だより

研究室だより(2019年4月)

 西洋史研究室は今年度、新たな学生メンバーとして、10名の学部生(2年生)、5名の大学院学生(前期課程および後期課程)を迎えます。
 常勤教員は浅岡准教授(近現代史)と有光(中世史)の2名に、今年度から大学院の協力教員として、東北アジア研究センターの寺山恭輔教授(現代史)をお迎えします。
 さらに非常勤講師として、東京大学の高山博先生(中世史)、神戸大学の佐藤昇先生(古代史)に集中講義を、また東北学院大学の杵淵文夫先生(現代史)、日本学術振興会の小坂俊介先生(古代史)にも授業を、ご担当いただきます。
 池野健氏(中近世史)には今年度も研究助手として、研究室運営の支えをお願いします。
 今年度もこのように、事情の許す限り最善の研究室体制を組みました。その上で、研究・教育に取り組んでまいります。

 さて、「西洋史研究室」という新しい名称について、ご説明いたします。
 4月より大学院の組織改編のため、私たちはこれまでの「歴史科学」専攻ではなく、「広域文化学」専攻・「西洋文化学」講座を、英文学・英語学・ドイツ語学ドイツ文学・フランス語学フランス文学の各専攻分野とともに、構成することとなりました。
 また協力講座「比較文化史学」がなくなり、ご担当の寺山恭輔先生を協力教員としてお迎えすることになったのは、すでに述べたとおりです。
 このようなおおきな変化に際して私たちは、これまで慣れ親しんできた「ヨーロッパ史」という専攻分野名を、「西洋史」と改める、もしくはそれに戻すことにいたしました。
 これは、アメリカ史は研究対象ではないのかという、誤解の可能性をなくすためです。よき学問的伝統を継承し、さらに発展させていくとの心構えは、これまでとなんら変わるものではありません。
 なお学部の組織はこれまでと変わりませんが、大学院の専攻分野名変更と連動させて、名称は「西洋史」専修といたします。
 また名称の変更は、厳密には今年度の入学者から適用されることになり、つまり「ヨーロッパ史」所属の学生諸君もまだ多くいるわけですが、このホームページでは原則として今後「西洋史」を用いていくことにいたします。

 学問的伝統の継承に言及いたしましたが、それにかんして記しておきたいことがあります。
 昨年度は、東京大学・成城大学名誉教授の木畑洋一先生に、研究室の「外部評価」を担当していただきました。
 またご来仙の際先生より、「イギリス帝国史の諸相――日本からの視座」というご講演をたまわりました。
 ご近著『帝国航路を往く――イギリス植民地と近代日本』(岩波書店、2018年)ほか最新の諸研究をふまえたお話はたいへん啓発されるものでしたが、その冒頭は「東北大学とイギリス帝国史研究:吉岡昭彦とその系譜」と題され、「吉岡・堀米論争」以降の吉岡先生および、吉岡先生の薫陶を受け研究者となった方々のお仕事をたどる内容でした。
 そのまとめとして先生は、「自分が立っている場への意識が必要だ」とお話になりました。学生諸君と話をするとき常日頃私も感じてきたことであり、我が意を得たりと思う一方で、当の私自身が重く引き受けねばならないことでもあると、あらためて考えた次第です。

 なお木畑先生にいただいた評価の内容は、近日中に文学研究科のホームペイジ上で公開されることと思います。
 このたびの研究室ホームペイジの刷新は、そこでご指摘いただいたことのひとつでもあります。
 ご覧のように、これまでより格段に見やすくなり、また情報量も増えました。
 年に数度の更新を考えておりますので、折に触れて再訪していただき、私たちの活動を暖かく見守っていただけると幸いです。

 「研究室だより」は、毎年この季節での更新を予定しております。皆様にとりまして、また私どもの研究室にとりましてもよき1年となりますよう、祈念しております。

(今年度研究室主任 有光秀行)