Archive
文学研究科・文学部 Webアーカイブ
東北大学大学院
文学研究科・文学部サイトへ

ドイツ文学 (故)原研二教授(Hara Kenji)

1951年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科中退、筑波大学講師などを経て東北大学文学部・大学院文学研究科教授に。 近現代のドイツ・オーストリアの小説と演劇を対象に、ゲーテ、ムージルのほか、18世紀以降の主としてオーストリア作家について研究を深めている。 「多元的文化の論理」(共編著、2005年/東北大学出版会)、「物語と不在」(2005年/東洋出版)など論文、著作多数。

Folgen bis nach Japan(影響は日本まで)。
2006年9月、スイスの新聞に見出しが躍った。

 「ブルクハルトの『ルネサンス』」といえば、ヨーロッパの文化や歴史に興味がある者なら、 いや、少し極端な言い方をすれば、知識人・教養人を自負する者なら、誰もが一度は耳にし、あるいは口にした言葉です。 西欧古今の名著中の名著ともいうべき著作、その史上初の批判版えを編集しているのが日本人研究者であるということは、 世界の人文学界に少なからぬ波紋を投げかけています。

 2006年9月28日から30日まで国際ブルクハルト学会がバーゼル(スイス)で開かれ、地元の新聞《bazkultur magazin》の文化欄に、 「影響は日本まで」という見出しが踊りました。『ヤーコプ・ブルクハルト批判版全集』の共同編集を進めているプロジェクトチームからの報告を紹介する記事です。

 バーゼルはブルクハルトが生まれ、バーゼル大学で研究に打ち込んでいた街であり、 親交のあったニーチェが「バーゼルが人文主義という点ですぐれているのは、第一にブルクハルトのおかげである」と語ったと言われるほどに ブルクハルトとは因縁の深い街です。ブルクハルト関連のニュースであれば大きく報道するのは当然かもしれません。

 しかし、この記事は、そのような身びいきだけのものではありませんでした。プロジェクトチームに、 東北大学大学院文学研究科の原研二教授と、元東北大学教育学部教授の」沼田裕之教授(東北大学名誉教授。 現、鎌倉女子大学教授)が参画して、 第4巻《Cultur der Renaissance in Italien》(邦訳『イタリア・ルネサンスの文化』)の校訂編集を担当していること、 シンポジウムでは、28日に沼田教授、30日に原教授が報告講演することを特筆しています。

 9月30日の講演において、原教授は、『イタリア・ルネサンスの文化』について《Die essayistische konzeption》「エッセーとしての構想」という視点を設定。 校訂作業の中で得られた新しい知見なども交えつつ、ブルクハルトの著述方法について、一つの概念や理念に収斂させていくというものではなく、 いくつもの具体例を積み重ね、やがて全体となるもので、エッセーをつくりあげる作業に似ているという、斬新な見方を提示しました。

 ドイツ文学を主たる研究対象とする原教授ならではの分析は、会場に大きな反響を呼びました。 このシンポジウムについての記事は、ドイツの代表的な日刊誌《Frankfurter Allgemeine Zeitung》の10月7日号にも大きく掲載されることになりました。

※詳細は東北大学大学院文学研究科・文学部ブックレット「考えるということ」Vol.1の『文学部の研究紹介』をご参照ください