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G・COE/「社会階層と不平等研究教育拠点」/「正義と公正」部門担当
社会心理学 大渕憲一教授(Ohbuchi Ken-ichi)

1950年秋田県出身。東北大学文学部哲学科卒、文学研究科修士課程修了、1996年博士(文学)。大阪教育大学教授、東北大学文学部助教授を経て、 1997年文学部教授就任、2000年現職に。人間攻撃性、葛藤解決、紛争解決、社会的公正、犯罪心理学を専門とする。2003年から日本犯罪心理学会会長を務め、 2003年から日本心理学会副編集長、2004年からアジア社会心理学会副編集長などとして学会誌の編集に携わっている。 東北大学では、21世紀COE「社会階層と不平等研究教育拠点」(2003〜2007年)、つづくG-COE「社会階層と不平等研究教育拠点」 (2009年〜)において公正部門リーダーを務めている。

 2010年3月15日、東北大学文学部・文学研究科の「人文社会科学ライブラリー」の第1巻として、 大渕憲一教授の『謝罪の研究ー釈明の心理とはたらき』が東北大学出版会※から刊行されました。

 その奥付に付された著者略歴によれば、大渕教授は、社会心理学、特に、人間攻撃性と紛争解決の心理的解析を行うことを専門としています。 その研究成果は、最近数年間に限っても、『日本人の公正観ー公正は個人と社会を結ぶ絆か?』(編著2004年)、 『犯罪心理学ー犯罪の原因をどこに求めるか』(2006年)、『思春期のこころ』(2006年)、 『Social Justice in Japan』(2007年)、『社会階層と不平等』(共同編集2008年)、『葛藤と紛争の社会心理学』(2008年)、 『親を殺す「ふつうの子ども」たちー「ありふれた家庭」の「ありふれた期待」がもたらす危険』(2009年)など、気軽に手に取ることができるものとなっています。

 そこでは社会的な公正・公平、さまざまな犯罪原因、子どもたちのストレス、社会的な階層や不平等、対立や葛藤など、人間を暴力、犯罪、いじめ、紛争などに 至らせる社会的な心理過程について立論、調査、内外比較、実証分析などが行われていると概観できるでしょう。

※東北大学出版会/1996年、東北大学が世界における学術・文化発信源・推進力となるよう、研究者及び同窓生の研究成果を中心に 世に送り出すことを目指して設立された組織です。2010年4月現在240点余が刊行されており、その中には、「若手研究者出版助成」の制度によって送り出されたものもあります。

「社会心理学」とは、どのような学問か

 ちなみに、「社会心理学」とは、どのような学問なのでしょうか。代表的な事典類には左記のような説明が見られます。

 東北大学文学部・文学研究科においては、心理学という学問は、学部創設後のかなり早い時期から解説されました。 ドイツで誕生し日本へ入ったという歴史的な経緯も反映して哲学色が強く、特に東北大学では仏教思想を背景にした心の理論として研究・教育が始まりました 。その後、アメリカで発展した行動主義の色彩が強まり、資料や文献によるのではなく、直接に人間の行動を観察して得られるデータを持ち寄って議論し、 分析するという自然科学に近い、実証科学的な方向へと進展。そのような中で、社会心理学の研究分野も開拓され、深まってきたのです。

 そしていま、東北大学文学部・文学研究科の人間科学専攻「心理学専攻分野」は、社会心理学を専攻する大渕教授と辻本昌弘准教授、 知覚心理学の行場次朗教授、応用認知心理学の仁平義明教授、生理心理学の阿部恒之准教授、人格心理学の荒木剛助教という体制となっています。 その内容は、人間が関与していればすべてが心理学の対象となるといった視点から、社会学や法律学に近い大渕教授の研究をはじめ、 医学・生理学に非常に近い研究、コンピュータやロボットなどを駆使した工学部に近い研究、人類学に近い研究など、広範囲にわたるものとなっています。

※詳細は東北大学大学院文学研究科・文学部ブックレット「考えるということ」Vol.5の『文学部の研究紹介』をご参照ください