スタッフ紹介

教授 桜井宗信
1961年生。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。岩手大学人文社会科学部助教授を経て現職。
専門
- 文献の解析を通じて八世紀以降のインド密教を儀礼とその背後にある思想の両面から考察し,その史的展開を明らかにするとともに,チベットにおけるインド密教の受容・咀嚼・批判の具体像を探究する。
- 『インド密教儀礼研究』(法蔵館),『梵語仏典の研究IV』(共同執筆)(平楽寺書店),「Cakrasamvarabhisamayaの原典研究」(『智山学報』47)など。
桜井先生より一言
二千五百年ほどの歴史を有する仏教は,その故郷インドを飛び出して広くアジア全体に広まりました。そして人々の宗教思想は言うに及ばず文化芸術から生活慣習に到るまで幅広い影響を与え,各土地土地での固有の文化とも溶け合って多様な色彩を織りなしてきたことは周知のことです。
そのような長く深い背景を有する仏教のうち,私達の研究室では特にインド亜大陸内と東南アジア(スリランカやタイ等),及びチベット文化圏で信仰され学ばれていたものを,残された経典や解説書などの読解,言い換えれば文献学的手法を用いて考究しています。
そのためにサンスクリット語・パーリ語のような仏教文献の原典を記しているインドの言語,及び原典の翻訳テクストの言語であるチベット語や古典漢文に習熟する必要があります。また欧米での研究成果(学術論文)に目を通すために英語のほか,少なくともドイツ語・フランス語の知識が必要ですし,扱う内容によってはイタリア語や現代中国語が分かると便利な場合もあります。脳細胞が新鮮で幾らでも新しい知識を受け入れられる若い内に,出来るだけ様々な言語に親しんで下さい。
さて,私(桜井)自身が専門としているのは仏教の最後に出来した「密教」或いは「タントラ仏教」と呼ばれる分野であり,インドとチベットが地域上のフィールドとなります。その際にインド密教の研究を進めて行く上ではサンスクリット原典の手書き写本を,またチベット密教を考察する際には「蔵外文献」と呼ばれる木版刷りの古文書をそれぞれ基本資料として用います。いずれも私達が見慣れている「書籍」とは形態が大きく異なり,扱いに慣れるまで多少の時間を必要としますが,生の一次資料だけに当時の人々の肉声を直接聴くことに似た醍醐味もあります。
どのような分野のテクストであれ,先ずはそれらを構成している一つひとつの「言葉」に徹底的に拘ってみて下さい。そして,何が分かっていることで何が未知なることなのかを意識する「文献に対する真摯な態度」を常に持ち続けながら,自分なりの興味と疑問を明確にすることが出来れば,初めは迷宮に思えるかも知れない文献の殿堂が,やがて何物にも代え難い宝庫であることに気付く筈です。
みなさん自身の手で,その殿堂の鍵を開けてみませんか。

教授 西村直子
1969年生。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専門
- インド学。文献の精査に基づいてヴェーダの文献,言語,祭式にかかわる諸事象の解明を目指す。また,その過程で仏教へと至る思想,社会,生活の変化にも着目して研究を進めている。より具体的には,ヴェーダ文献成立史,ヴェーダ祭式とその変遷,神話と儀礼,牧畜と乳加工を中心とする,古代インドの生活,胎児の発生,輪廻説,家族制度の相互関係など。
- 『放牧と敷草刈り-Yajurveda-Saṁhitā冒頭のmantra集成とそのbrāhmaṇaの研究』(東北大学出版会),『GAV-古インド・アーリヤ語文献における牛-』(総合地球科学研究所 インダス・プロジェクト)など。
西村先生より一言
「インド学」は,古代・中世インドの文献研究を中心とする学問分野です。
文献の古いものは紀元前13世紀ころに遡り,紀元後14世紀ころまでの文献を主に扱います。サンスクリット語(より厳密には古インド・アーリヤ語),パーリ語,チベット語で伝承された文献を基本資料としています。
インド・アーリヤ語はインド・ヨーロッパ語族に属する言語であり,ヨーロッパの諸言語と共通の“祖先”に遡ると考えられています。また,古インド・アーリヤ語を使っていた「アーリヤ人」は,紀元前1500年頃に現在のアフガニスタン,パキスタンなどを通ってインド亜大陸に入植しましたが,それ以前には中央アジアにおり,後にゾロアスター教を整備した人々とともに暮らしていました。インドの古い言語を勉強することは,インド以外の宗教や言語の理解にも扉を開くものです。
私たちと一緒にインドの古い言葉や文化を勉強してみませんか?

助教 渡辺亮
徳島市出身。東北大学大学院文学研究科博士課程前期・後期修了。日本学術振興会特別研究員(DC2),東北大学大学院文学研究科学術研究員・専門研究員を経て現職。
専門
| 学位 | 博士(文学) |
|---|---|
| 研究分野 | インド・チベット密教学 |
| 研究課題 | インド・チベット密教流派儀礼、インド密教史 |
| 研究キーワード | インド・チベット密教、儀礼、流派、サンヴァラ、クリシュナ |
主要論文
- 「dpal Rim pa bshi paḥi gshuṅ gi ḥgrel chen gSaṅ ba rab gsal shes bya ba所引*Olacatuṣṭayaチベット語訳テクスト」,『密教学』第59号,2023年3月
- 「Integration of Prajñā and Upāya in *Guhyatattvaprakāśa Ⅲ: Focusing on the parallelism in Saṃpuṭodbhavatantra Ⅱ–ⅱ」,『印度学仏教学研究』第71巻第3号,2023年3月
- 「Kṛṣṇācāryaの聖典解釈—*Guhyatattvaprakāśaにおける*Yoga-/*Yoginī-tantraの会通—」,『論集』第47号,2020年12月
- 「Kṛṣṇācārya著*Guhyatattvaprakāśaの原典研究」,『印度学仏教学研究』第68巻第2号,2020年3月
- 「Vasantatilakāにおける身体観」,『論集』第45号,2018年12月

専門研究員 松村幸彦
1984年生まれ。福岡県出身。東北大学大学院文学研究科博士課程前期および後期の課程修了。東北大学大学院文学研究科研究助手を経て2017年10月より同大学院文学研究科助教に着任。2020年9月をもって退職し、同年10月より現職。
専門
| 学位 | 博士(文学) |
|---|---|
| 研究分野 | インドおよびチベットの密教儀礼、流派形成史 |
| 研究課題 | インド密教聖典それぞれの下で展開した流派の形成史の観点から、成就法、二次第(生起次第・究竟次第)などと呼称される観想法文献を中心とするインド密教儀礼研究に従事している。現在は二次第を五つの次第に纏めた五次第文献の内容と成立過程に着目し、ヘーヴァジュラ系文献を中心にその解析に取り組んでいる。 |
| 研究キーワード | 観想法、成就法、二次第、五次第、ヘーヴァジュラ、密教儀礼 |
主要論文
- Advayavajra著Hevajrākhya第一章(次第)所説のマンダラ観想法,『密教学』第60号,2023年
- Hevajra系成就法所説の念誦―聖者流との関係をめぐって—,『密教文化』第243号,密教研究会,2019年
- Saroruhavajraの説く灌頂儀礼,『密教学研究』49号, 日本密教学会,2017年

日本学術振興会特別研究員PD
坪田さより
2018年大阪大学文学部人文学科(インド哲学専修)を卒業。2020年大阪大学大学院文学研究科(文化形態論専攻、インド学仏教学)の博士前期課程を修了。2024年同博士後期課程を修了、博士学位請求論文「Vādhūla-Śrautasūtra新写本に基づくVājapeya祭の研究」により博士号(文学)を取得。2021年4月―2023年9月日本学術振興会特別研究員(DC2)。2024年4月―(2027年3月:予定)東北大学特任研究員(日本学術振興会特別研究員PD)。
専門
| 学位 | 博士(文学) |
|---|---|
| 研究分野 | インド学(サンスクリット文献学)、ヴェーダ学、儀礼研究 |
| 研究課題 | 『ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ』新写本群に基づくヴァージャペーヤ祭の研究(2021–2023年度);ヴェーダ王権儀礼を中心とした「天界への上昇と地上への下降」に関する研究(2024–2026年度) |
| 研究キーワード | ヴェーダ、祭式、ヴァードゥーラ、写本、ヴァージャペーヤ、王権儀礼、天界からの戻り降り |
主要論文
- 「古代インドにおけるkūrma-『亀』」(卒業論文、2018年1月提出、第4回中村元東洋思想文化賞奨励賞受賞)
- 「ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ第9章(ヴァージャペーヤ章)の研究」(修士論文、2020年1月提出)
- 「ヴァージャペーヤ祭における戦車競走儀礼の諸相––Vādhūla-Śrautasūtra新写本に基づいて––」『待兼山論叢. 哲学篇』54号、pp. 75–92、2020年12月
- 「Vādhūla-Śrautasūtra 新写本に見るヴァージャペーヤ祭の特徴について——戦車競走を中心に」『印度学仏教学研究』69巻2 号、pp. 978–975、日本印度学仏教学会,2021年3月
- 「Vādhūla-Śrautasūtra新写本に基づくVājapeya祭の研究」(博士論文、2023年12月提出)
- 「ヴァージャペーヤ祭における灌頂儀礼––––Vādhūla-Śrautasūtra新写本に基づいて––––」『真宗文化』第33号,pp. 17–52, 2024年3月



