研究室紹介

私たちの研究室の講義・演習は主に「インド学」と「インド仏教史」とから成っています。ヴェーダ、ウパニシャッドとよばれる古い宗教文献からヒンドゥー教に至るまでの各分野の文献と、チベット、中央アジア、スリランカへの展開をも含めた仏教の諸文献とを中心として、そこに見られる思想・哲学・文化・言語を対象として研究しています。

3,000年以上の時を経てきたインド亜大陸を中心とする南アジアの文化は、人種・言語などに見られる多様性と、時代を超越した持続性という、一見相矛盾する特色を示しています。業と輪廻、宇宙の最高原理と私たちの内にある自己との同置、ヨーガや祭式の実践と理論、また他方、社会階層(「四姓」など)や家族制度の問題など、興味深く意義のあるテーマが私たちの解明を待っています。また、それを通じて、現代社会を生きる私たちに有益な示唆や問題解決への視点が得られます。しかも、長い時を通じて連綿と多量の原典が著され、それらが今に遺されているのですから、一つ一つの原典に当たりながら理論を構築し、また、その理論をもう一度原典に照らし合わせて検証する、ということが可能な分野なのです。

研究方法の基本は、いわゆる「文献学」にあります。イランやヨーロッパの多くのことばと親縁関係にあるサンスクリットとよばれる古代インドの言語をはじめ、仏典の言語である中期インドのパーリ語、チベット語、さらに漢文、場合によっては南インドのタミル語を用いて、原典がもつあらゆる情報を引き出し、思想研究、仏教諸部派や正統バラモン教諸派の哲学論争の中味とその意味、歴史事項の確認・復元、当時の生活や制度、技術や科学知識の解明、言語や文法の分析などを行う営為です。これとあわせて、考古学資料や現代の現地の情報や伝承などを考慮します。さらに、こうした文献学的手続きに立った上で、宗教学、文化人類学、社会学、哲学、科学思想史、言語学をはじめとする、他の訓練分野と助け合って問題を解明してゆくことになります。

私たちの大学は世界に誇るチベット文献資料のコレクションをはじめ、インド文化や仏教研究に必要な内外古今の文献を多く所蔵しています。インド研究の分野は、昔から国際交流が盛んで、また、研究のために英語やドイツ語、フランス語になじむ機会も多いのが特色です。留学していた大学院生も多く、過去にはインド、ドイツなどで幾人かが論文を書いていました。また、留学して来る学生も多く、バングラデシュ、台湾、ブルガリア、ネパール、韓国、ハンガリー、中国から来日し、勉学に励んでいました。卒業生は大学院に進む人が多く、最近は出版、コンピュータ関係など各種の企業や学校に就職する人も増えてきました。環境問題やケアに取り組む学生もかなり前から出ています。インドにいる先輩たちを頼って、休みを利用して、旅行に行く学生もいました。男女のバランスもよく、助け合いの精神が生きていて、和やかで、しかも勉学に適した環境が、有為な若者を待っています。