プーラ大学(クロアチア)での海外インターンシップ報告(野坂・鈴木)

インターンの概要

期間

2020年2月24日~3月18日 *鈴木は3ヶ月、野坂は1年の滞在を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で途中帰国となった。

担当クラス

鈴木→1年生の文法クラス・会話クラス(それぞれ週2回) 野坂→2年生の文法クラス・会話クラス(それぞれ週2回)

使用教材

1年生 みんなの日本語初級Ⅰ・Ⅱ 2年生 みんなの日本語中級Ⅰ、上級へのとびら 3年生 上級へのとびら

インターンの内容

1週目は授業見学を行い、2週目以降はTAとして授業準備・授業での補助を行ったり、実際に授業を行ったりしました。

⑴ 授業スライドの作成 主に新出漢字の導入部分のスライド作成を担当しました。書き順や読み方、意味(クロアチア語訳)、関連熟語、授業内で扱うディクテーション問題を作成しました。

⑵ 授業での補助 学生からの質問に答えたり、誤答の訂正をしたり、会話練習のチェックを行ったりしました。また各回冒頭で行われる新出漢字の導入については実習生が担当しました。

⑶ 小テスト・宿題の採点 漢字スライドの作成と宿題の採点(主に作文添削の予定)については、帰国後も継続しています。

⑷ 授業 2年生の会話クラスを1コマ全て担当しました。与えられた教科書を参考に、新出漢字の導入・モデル会話練習・会話作成練習・ロールプレイなどを行いました。

インターンを終えての感想

私は、回数は少なかったのですが、実際に学習者に授業をする経験ができたのがとても良かったと感じています。私は2年生を担当していたということもあり、早い段階から授業をさせていただきました。担当の先生からは、「自由にやっていいよ」と言っていただいたので、会話授業では学習者に身近な状況に置き換えて会話練習を行ったり、学習者の発話を増やすための工夫をしたりしました。授業でうまくいかなかった部分は、担当の先生と相談しながら変更するなど、改善しながら取り組めたので、いい経験をさせていただけたと感じています。 また、海外の日本語教育現場に行って感じたことは、日本人と話すということ自体が、学生にとって貴重な経験になるということです。授業中のフィードバックや会話のやりとり一つとっても、学習者にとっては学びの場になったり、「日本語を話せた」という自信につながったりするということを、肌で感じました。ほとんどの学習者は、「日本人と話したい」という気持ちを持っていることが分かったので、大学にいる時間は、学生に対して積極的に日本語で話しかけるようにしました。 海外での実習をする上で、修士の授業で実習を行ったことが基盤となっていたと思います。そういった意味でも、授業での実習を一生懸命取り組んできたことが、自分の成長に繋がっていると実感できましたし、海外で教える経験を通して改めて日本語を教えることの楽しさに気づくことができたので、本当に良かったです。 (野坂)

プーラ大学に行き、何のために日本語を教えるのかということを、改めて考えさせられました。プーラという、日本から離れた小さな町にいる学生にとっては、日本語を話せるということは彼らの大きな財産となり、日本へ留学する、日本で働く、地域を支える観光業に生かすなど、あらゆる選択肢を得ることにつながっていることを実感しました。 また、プーラ大学の学生がたった3年間で私たち日本語母語話者と雑談ができるほどに日本語が上達していることに驚きました。また、各学年の学生と交流していくうちに、その上達具合に驚かされ、1年生から3年生までのステップアップにどのような秘密があるのかに興味を持ちました。残念ながら途中帰国となってしまったため、これらを深く掘り下げることはできなかったのですが、各回丁寧な復習の時間が設けられていることや、言語学習への慣れ(多くの学生が日本語以外にも外国語を学んでいる)、自主学習などに何か要因があるのではないかと思いました。  海外の現場を実際に体験したことで、世界中に日本語を学んでいる人がいるということを肌で感じることができました。また、日本語教育の意義を再確認し、それを学んでいる私たちが社会にどのように還元していくかを考える貴重な機会となりました。(鈴木)

後輩に向けてのアドバイス

私は、海外の大学で日本語を教えるのが初めてでした。また、長期で海外に行った経験がなかったので、日本語指導だけでなく現地での生活も含め、うまくやっていけるのかとても心配でした。ただ、プーラ大学の先生方や学生が、授業だけでなく生活においても、困ったときにはすぐに手を差し伸べてくださったので、安心して海外での生活を送ることができました。残念ながら、私がプーラに滞在できた期間は短かったのですが、日本語指導経験が豊富な先生方と、熱心な学生がいるプーラ大学でインターンシップを行えたことは、私の財産になりました。 皆さんには、プーラ大学に限らず海外でのインターンシップに参加してもらって、日本では得られない経験をたくさんしてきてほしいなと思っています!是非、在学中に海外でのインターンシップへの参加を検討してみてください!(野坂)

私は3年次の実習以降海外の日本語教育の現場に興味を持つようになり、プーラ大学へのインターン参加を決めました。学部生での参加ということで知識も経験も少ないことに不安を抱えていましたが、プーラ大学の先生方や学生のあたたかなサポートに救われたことをよく覚えています。実習生はそれぞれ担当クラスを持ち、主体的に授業ができる環境なので、学部生、院生に関わらず様々なことに挑戦しながら多くの経験を積むことができると思います。また、フレンドリーな現地の学生たちと楽しく交流できるという点においても海外経験としてプーラ大学はとても魅力的です。  海外でのインターンシップ参加を決断するには勇気が必要かもしれませんが、必ずすてきな体験になると思います。ぜひ、行ってみてください。(鈴木)