インタビュー: 後藤あき枝

2000年卒 修士

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東北大学日本語教育学研究室を卒業・修了してから、これまでの経歴を教えてください。

1998年に卒業するはずのところ、交換留学のため卒業を遅らせ、同年8月~99年6月まで米カリフォルニア大学アーバイン校に在学。2000年3月卒業。2000年4月~2008年3月 都立高校勤務(2校)、2008年4月~2012年3月 宮城県女川高校勤務。2012年4月~宮城県仙台第三高校勤務。

現在のお仕事の内容について教えてください。

高校で英語を教えています。最近では、教科書をそのまま教えるのではなく、教科書の一部をクローズアップして話したり書いたりする活動を取り入れたり、市販の読み物を副教材としたりして授業を組み立てることもあります。また、生徒が英語の授業以外で研究した内容(主に理科的な分野)を英語でプレゼンするための指導をすることもあります。授業とは直接関係ない仕事(行事の準備、部活指導、生活指導、受験相談、事務作業等)に費やす時間は授業に費やす時間よりもかなり多いです。

東北大学日本語教育学研究室で学んだことは、現在のお仕事で生かされていると思いますか?具体的にどんな時にそう感じますか?

「ことば」を身につけさせる仕事ですから、研究室で学んだマインドは根底で生かされていると思います。例えば、英語を話させる場面では、生徒が委縮しないよう、間違えても訂正しすぎないことを心がけています。私が大学生時代に指導していただいたことで、特に覚えているのは、「指導案をその通りに遂行することが授業の目的ではない」ということです。今でも、なるべく、生徒の生の声を吸い上げて学びに生かすことを心がけ、生徒の話がこちらの思惑とは違う方向に行っても、それに合わせて応答し、ライブ感を大切にしようと思っています。ただ、進学校の英語の授業は、生徒側も教員側も大学入試に備えなければ、という意識がまだまだ強いので、日本に日本語を学びに来ている人に対する授業とは目的が異なる部分が多く、研究室で学んだこととは別のことが求められることももちろんたくさんあります。  もう一点あげるとすれば、日本語教育学研究室には、留学生が常に在籍していたので、「異文化」が身近にあるという感覚が身についたという点です。異文化教育もする立場としては、この感覚が知らず知らずのうちに身についたというのは今思えば貴重です。

今のお仕事の魅力を教えてください。

生徒が喜んだり、悲しんだり、悩んだりすることに寄り添うことによって、自分にも人の気持ちを考える機会がたくさん生まれます。生徒はさまざまな感情体験をすることによって成長していくので、それを間近で見ることができ、やりがいを感じます。生徒をサポートするためには、自分も他の先生に相談したり、生徒に対して自己開示をしたりしないといけませんが、そうやって自分も厚みを増していける気がします。もちろん、いろいろな学校に勤める中で、苛立ちやストレスを覚えるようなことも多々ありましたが、そういうことを乗り越えると、自分が受容できる生徒の幅が広がり、次に同様のことが起こった時に、以前よりは慌てず対処できるようにもなります。

日本語教育学研究室の在籍生にメッセージをお願いします。

日本語を外国語として研究したり、教授法を学んだりすることは、学問的に興味深いことだと思います。でもそれ以上に、人と人とのつながりの中で得ることは貴重です!日本人同士であろうと対外国人であろうと、相手を受容する気持ちで心地よいコミュニケーションをとっていくことで、自然と「グローバル社会」の基盤は醸成されると思います。私は学生時代もっとたくさんの人と話す・遊ぶ時間をとればよかったと思っています。もちろん勉強する時間もです。大学って、本来自分がしたい勉強を楽しくできるはずのところなんですよね。皆さん、日本語教育学研究室のリベラルな雰囲気を楽しんでください!

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