倫理学専修では、倫理学に興味はあるけどほとんど何も知らない二年生でも、卒業するときには立派な卒業論文が書けるよう、学年ごとの講義・演習・指導が整備されています(もちろん、倫理学についてすでにいろいろ知っている人でも満足できる内容です)。ここでは、専修に所属してから卒業論文を書くまでの、学習の流れのモデルを紹介します。
秋学期に、人文社会序論の枠で、「哲学・倫理学」を開講しています。教員による解説もたまに入りますが、基本的には参加者で哲学・倫理学の問題について議論する演習です。必須ではありませんが、興味のある方はぜひ受講してみてください。
卒業論文との関係では、この学年の軸になるのは、倫理思想基礎講読(倫理学研究のレッスン)と倫理学概論(倫理学の基礎)です。
前者は通年の演習です。倫理学の古典や専門書のレジュメ(要約)の作り方に加えて、レポートの書き方、発表の仕方、質問するときのコツなどを、教員の説明も受けつつ実践で学んでいきます。こうした基礎的なスキルは、三年次以降で演習に参加するときだけでなく、卒業論文を書くときにも必ず、大いに役立ちます。
後者は秋学期に開講される概論です。講義題目のとおり、現代倫理学(規範倫理学、メタ倫理学、福利論。さらに、正義論の初歩、人生の意味、などなど)の基本を効率よく学ぶことができます。倫理学の専門書を自力で読むための基礎体力がつくだけでなく、卒論指導を受けるにあたって知っているべきことが学べますので、ぜひ受講してください。
この他にも、概論や演習がいろいろ用意されています。
演習に参加して、いよいよ本格的な学習が始まります。ドイツ語やフランス語で古典を読んでいく演習もあれば、テーマに沿ったいくつかのテキストを日本語で読み、あとは全員がレポートを執筆、発表して、議論していく、という演習もあります。各論と併せてさまざまなものに参加し、ときに教員とも相談しながら、興味のある主題・問題を少しずつ絞り込んでいってください。
なお、春学期の最後には、四年生による卒論中間発表会があります。二年次にも参加しますが、来年は自分のこととなるとまた違って見えてくるでしょう。卒論のテーマ設定、中間発表資料の作り方、中間発表の仕方など、大いに参考にしてください。
言うまでもなく、卒業論文がこの年度の最終目標です。
春学期の最後に中間発表会があります。中間発表では、タイトル、問題設定、論述の概要、目次、参考文献などをA4で二~四枚程度にまとめたものを発表してもらいます。一人あたり、発表一〇分、一名の特定質問者(大学院生)からの質問が五分、参加者との質疑応答一〇分、教員からの質問とコメントが一〇分の、合計三五分というのが標準的な構成です。
なお、この準備として、六月後半~七月にかけて、全員が、教員と最低でも二回の面談を行ないます。初回でおおよそのテーマと参考文献を決め、二回目には中間発表の草稿をチェックして、いざ発表に臨む、という段取りです。
夏休みには、そこでの質問やコメントを踏まえて、各自で文献を探し、読んで、テーマを深めていってください。秋学期には定期的に教員に相談したり、書いたものを見せたりしてください。いつでも大歓迎です。演習、図書館、研究室、そして教員を好きなだけ使い倒せば、年明けには二万字を超える立派な卒論が出来上がっています。