卒業論文を書き終わる頃、多くの人が「やっと勉強が楽しくなってきた」と言います。基礎知識を踏まえて自分自身で問題を設定し、専門書や論文を読み、考えを練り上げていく――実際、このプロセスには、このプロセスでしか味わえない楽しみがあります。教員の側も、「あと一、二年くらい勉強できたらもっと先にある楽しみ(と苦しみ)が味わえるのに……」とよく思わされるものです。
では、実際にもう二年ほど勉強を続けると――つまり、修士課程(博士課程前期)に進学したら――どうなるのか。ここではその流れをごく簡単にご紹介します。
進学後、まずは面談を行ないます(なお、面談は要望があればいつでも応じます。以下に書くのは、教員からの呼びかけで行なう面談です)。修士課程での研究内容を話し合い、修士論文で扱う問題を、その時点で必要な程度に絞り込みます。そのうえで、勉強すべきこと、読むべきものについてアドバイスします。さらに、修論を書くためのごく基礎的な知識(論文の書き方など)をあらためて確認し、参考書をいくつか紹介します。
学期中は、講義・演習への参加がメインです。多彩な科目が開講されていますので、研究に関係するもののほか、視野を広げるための科目も履修してみてください。
夏休み前に、あらためて面談を行ないます。前期についての振り返りをしてから、夏休み中の勉強計画について話し合います(場合によってはレポート課題も提示します)。一年次は後期に構想発表を行なうので、それに備えてのことです。
なお、夏休み中やその前後には、合宿や、院生による研究会、各種の学会などもあります。研究の進展具合に応じて適宜参加してみてください。
後期には、通常の講義・演習のほか、上記のとおり構想発表を行なっていただきます。大学院生と複数の教員(多学科を含む)が参加するセミナーで、いろいろな質問やコメントがもらえます。なお、構想発表の前には要望に応じて面談しますので、ご心配なく。
二年次も、年明けに修論提出がある他は、基本的には同じように進みます。上記のセミナーでの修論中間発表はできるだけ前期に行なうのが望ましいでしょう。
なお、修士課程からは、東北大学哲学研究会(学内の研究会)や、東北哲学会(東北六県の大学教員・院生による学会)、北日本哲学会(北海道大学と共催)といった学会活動のほか、論文投稿も始まります(修士課程の学生でも発表や投稿のできる全国学会もあります)。また、東北大学倫理学研究会編『モラリア』に書評を掲載することもできます。
修士課程のとりわけ二年次前半は就職活動が忙しく、前期には中間発表ができなかったり、研究が思うように進まなかったりすることもありますが、そうした場合の対応も臨機応変に行なっています。博士課程への進学を希望する場合は、研究者の道を本格的に進むための実力を修論で証明する必要があります。教員と相談しつつ、修士課程での研究にじっくり取り組んで下さい。