研究室沿革(哲学)|研究室案内|東北大学 大学院文学研究科/文学部 哲学・倫理学研究室

研究室沿革(哲学)

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哲学沿革

哲学専攻分野においては、古代ギリシアに始まり、主として西欧世界に受け継がれて今日に至っている西洋哲学の営みを引継ぎ、さらに推進することが目指されている。そこで研究は、先人たちの思想的遺産を研究対象とする歴史的考察と、哲学の問題そのものと対峙する体系的考察とを車の両輪として進められる。スタッフの専門分野は古代中世哲学、近現代哲学、科学哲学、生命環境倫理学(科学技術倫理/臨床倫理学を含む)などであり、講義や研究演習を通して、原典の精密な読解と、それに基づく哲学的探究を実践すると共に、研究能力を身につける訓練を行っている。学生の指導にあたっては、自ら選んだテーマをめぐって、先人と対話すべく原典に向かい、また先行研究を押えた上で、自らの思索を展開することにとくに留意している。2012年度に野家啓一教授、2014年度に座小田豊教授が定年退職したが、2015年10月に城戸淳准教授が着任し、現在、直江清隆教授、荻原理准教授、原塑准教授と併せて4名体制となっている。

本専攻分野の特色は、第一に1922年(大正11年)創設以来の伝統ある学問活動の蓄積である。日本の哲学研究をリーダーする研究者たちが歴代の教員となり、現象学をはじめとして顕著な業績を挙げた研究者を輩出してきた。このような伝統を受け継ぎつつ、哲学研究を国際的な場でさらに推進しようとしている。第二に、以上に加えて近年は、現代社会が抱える諸問題に哲学の視点から向かう試みに意欲的に取り組んでいる点が、特色として挙げられる。このため、倫理学専攻分野と連携しつつ、科学研究費、受託研究費(日本学術振興会 人文・社会科学振興研究事業)を導入し、一連の研究プロジェクト全体を、「人間の21世紀的Well-Being研究プロジェクト」として総括して、文学研究科の主要研究プロジェクトの一つとして推進してきた。その後「科学的合理性と社会的合理性に関する社会哲学的研究」(科学研究費補助金基盤研究(A))、「科学技術における討議倫理のモデル構築」(科学研究費補助金基盤研究(B))をテーマに、科学技術倫理を中心にした「討議倫理」の課題と取り組み、2015年度まで「自然観の変遷と人間の運命」のテーマのもと東日本大震災をも念頭に自然と人間に関する理論的、実践的問題を課題としてきた。また2008年度からは、理学研究科のグローバルCOE「物質階層を紡ぐ科学フロンティアの新展開」に哲学講座として関わり、事業の展開に積極的に協力してきた。さらに、リーディング大学院プログラム・複合領域型(安全安心)「グローバル安全学トップリーダー育成プログラム」の「安心安全に生きる」ユニットや複合領域型(物質)「マルチディメンジョン物質理工学リーダー養成プログラム」にも参加している。

2006年までの歩み
哲学研究室は、従来は現代哲学、西洋哲学史第一(古代中世哲学史)、西洋哲学史第二(近世哲学史)の三講座から成っていた。これは、遡れば1922(大正11)年創設当時は一講座であったところを、1924(大正13)年に二講座が増設されて以来、維持されてきた構成である。

現代哲学講座は、哲学第三講座(哲学概論)として発足した。初代担当者の高橋里美は、1924(大正13)年に理学部助教授から法文学部助教授に就任、1928年に教授に任ぜられ、1949年まで在職した。高橋は我が国の現象学研究に先鞭をつけ、また1949(昭和24)年から東北大学学長を務め、1950年には学士院会員に選ばれた。1930(昭和5)年にはヘーゲル研究者の鈴木権三郎が講師に着任、1942年に死去するまで在職した。また、1946(昭和21)年から1948年まで木場深定が講師として在任、近世哲学史講座へ転じている。現代哲学講座二代目担当教授は1948(昭和23)年に近世哲学史講座から移った三宅剛一で、現象学を基盤にした人間存在論に新境地を開き、1954年に京都大学へ転じた。三代目担当教授の細谷恒夫は、1955(昭和30)年に教育学部より着任、現象学や教育哲学に業績を残し、1967年まで在職した。1960(昭和35)年から助教授に着任していた細谷貞雄が、1968年から第四代講座担任教授となり、ハイデガーやヘーゲルの研究に業績を挙げ、1977年に岡山大学へ転出した。1968(昭和43)年に助教授として着任した滝浦静雄は、1971年に近世哲学史講座へ移った。第五代の講座担当者の柏原啓一は、1973(昭和48)年に助教授に就任、1979年に教授に任ぜられ、1999年まで在職して、実存哲学や歴史哲学の研究に業績を残した。

西洋哲学史第一講座は、哲学第二講座(西洋古代中世哲学史)として発足した。1924(大正13)年、初代担当教授に石原謙が着任、1940年まで在任した。石原は特にキリスト教史の研究に力を注ぎ、後に文化勲章を授与された。第二代担当者の久保勉は、1929(昭和4)年に助教授に就任、プラトン研究と翻訳に精進し、1940年から1944年まで教授の任にあった。1946(昭和21)年に近世哲学史講座助教授より本講座第三代担当教授に転じた河野与一は、哲学のみならず多領域の文化を論じ、1950年まで在職。第四代担当者の真方敬道は、1948(昭和23)年に助教授、1950年に教授に任ぜられ、1973年まで在職して、中世哲学研究に業績を残した。1950(昭和25)年に助教授に就任した松本彦良は、1958年に死去している。1973(昭和48)年に助教授として着任した岩田靖夫は、1977年より第五代担任教授となり、1996年まで在職して、古代哲学研究に多くの業績を残し、2003年文化功労者に選ばれた。この間1985(昭和60)年から1988年までプラトン研究者の天野正幸が在職した。1993(平成5)年に助教授に着任した清水哲郎は、1996年より第六代担任教授となり、言語を中心とする中世哲学研究に成果を残したが、2006年に転出した。

西洋哲学史第二講座は、当初は哲学第一講座(西洋近世哲学史)であった。1923(大正12)年に理学部から哲学講座教授に就任した小山鞆絵が、翌年講座増設に伴い、本講座初代担当となり、へーゲル研究に基づく独自の弁証法哲学を展開し、1946年まで在任した。また、1924(大正13)年から1929年までへリゲルが、1937(昭和12)年から1941年までレーヴィットが、外国人講師として当講座に籍を置いた。1942(昭和17)年から助教授として在任した河野与一は、1946年に古代中世哲学史講座教授に移った。第二代の講座担任者の三宅剛一は、1943(昭和18)年より助教授に、1946年より教授となり、1948年に現代哲学講座に移った。1948(昭和23)年に助教授に任ぜられた木場深定が、1950年から三代目担当教授となり、ニーチェやハイデガーなどの翻訳と研究に力を注ぎ、1971年に定年を迎えた。同年に現代哲学講座より移った滝浦静雄が第四代担当教授となり、現象学研究に基づく時間論や言語論の分野に多くの業績を残して、1990(平成2)年まで在職した。1981(昭和56)年に助教授に着任した野家啓一が、1991年より第五代担任教授となり、科学哲学を軸に分析哲学と現象学の架橋を試みている。

1997(平成9)年、学部改組により、以上の三講座は、後述の倫理学講座と合併して哲学講座となった。これに伴い、従来の研究分野は、古代中世哲学、近現代哲学、科学哲学の三分野に再編成された。また生命環境倫理学という研究分野が新設され、教授として川本隆史が着任したが、2003年に他大学に転出した。1998(平成10)年には近現代哲学を研究する座小田豊が助教授に着任し、1999年に教授となり、ヘーゲル哲学の研究を中心に、近代哲学の意義の解明に取り組んでいる。さらに2002(平成14)年には古代中世哲学分野の講師として、荻原理が着任し、2006(平成18)年には助教授に昇任し、古代ギリシア哲学と現代の分析倫理学の連携を〈よく生きること〉の成立可能性というテーマに即して追究している。同年10月には、直江清隆が准教授として着任し、現象学を中心とする現代ドイツ哲学と科学・技術倫理の研究に勤しみ新境地を開いてきた。

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