研究紹介
第1の方向として、フッサールの現象学とその周辺の哲学思想(とりわけ M・シェーラーやA・シュッツなど)の研究を行ってきました。知覚、自己意識、他者、行為、価値とい った問題圏を環境世界との関係から扱っています。思想史的には、関連する試論利しそう、心理学、生の哲学などとの交錯の中での現象学の意義と射程を剔抉する作業を行い、現代的な課題としては、行為と世界の構成、近年は集合志向性論などを手がけています。
第2の方向は、技術の哲学であり、関連する応用倫理学の諸問題です。近年、この分野は大きく様変わりし、技術という事象に対して分析哲学や現象学の手法を用いて切り込んでいく研究が主流となってきています。そのうち、人間―人工物―人間、人間―人工物 ―世界を介した関係の構成、人工物と価値、責任に関する問題、技術の関するナラティブ的方法、技術の倫理や技術の評価などについてとくに研究しています。