淡路剛久、川本隆史、植田和弘、長谷川公一編。
環境問題の激化に伴い様々な学問分野での環境研究も飛躍的に進展し、多くの研究蓄積と政策提言がなされている。本シリーズは,こうした状況を踏まえ、社会科学・人文科学の領域を中心として古今東西の約200に及ぶ必読文献が網羅され、環境問題について考え学んでいくうえでの知的遺産の宝庫となっている。
環境問題の深刻化に伴い、西欧型近代化の是非や真の豊かさとは何かが問い直され、従来の開発形態や発展パターンに代わる新しい理念が模索されるようになった。第5巻は、こうした《持続可能な発展》の概念に関する重要論攷を体系的に精選・抜粋し編集解題を付した。
I 地球環境問題
- 東西冷戦の終焉と環境安全保障
- オゾン層はどこまで守られているか
- 地球環境に関する条約
- 地球環境の統合評価
- 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書
- 環境の場におけるアクター
II 南北問題と環境
- 持続的発展と国際環境政策
- 国際分業を通じた資源と環境の収奪
- エビ養殖・輸入とアジアの環境破壊
- 行き先のない強制移住―ナルマダ渓谷ダム計画(インド)
- カナダ先住民の生活と水銀汚染によるその破壊
- フィリピンにおける公害被害の階層構造
- 中国における人口流動と都市
III 成長と発展を問い直す
- GNP指標と公害問題
- 貧しさと豊かさ
- 内発的発展論の系譜
- 「生態学的安全」を問う
- テクノロジー・環境・世代間の公平
IV 新しい環境政策・手法の展開
- 予防原則の歴史と現代的意義
- 環境リスクの制御
- 情報化時代の環境市民運動
- バルディーズ原則
- 環境会計と環境監査
- 二つの環境会計
- グリーン電力制度の展開
- 公共事業政策の転換―USBRのケース
V 持続可能な発展とは何か
- 停止状態について
- 持続可能な発展に向けて
- 「持続可能な発展論」の現状と課題
- 定常状態の経済