徳川直人著。2006年11月、東北大学出版会刊。A5版、412頁。定価4,000円+税。
種々の単純な話が流布する昨今、「声と耳」を豊かに保ち社会認識につきそう社会学を再構想することはできないか。古典と現在との間で「私」にできることは何か。
「身ぶり会話」を端緒とする社会心理学によって精神・自我・理性といった啓蒙の課題をつくりかえ、市民たちの学習活動を基礎づけようと試みた思想家ミード。
本書は、ミード研究に内在してきた著者が、原典と史料をいっそう丹念に読むと同時に、シンボリック相互行為論と読書会の論理との接合をはかった研究書である。
はしがき 「身ぶり会話」考
序章 統合と連帯 1 章 パースペクティブの重層としての自然 2 章 生命活動の過程としての社会 ほか) 3 章 対話としての思考 4 章 歴史としての自己
序章 実証主義と社会進化論―改革と科学と民主主義 1 章 ミードとアメリカ社会学 2 章 計算と習慣―W.ジェイムズにおける生理学的個人の意味転換 3 章 行動主義心理学―J.B.ワトソンにおける行為の条件づけ 4 章 機能主義心理学―J.デューイにおける「刺激-反応」のひるがえり 5 章 模倣と本能―ロスとマクドゥーガル 6 章 社会心理学―1910年前後のミードにおける 7 章 「最初の本」構想―第2部の結びにかえて
序章 「科学の方法」 1 章 「社会主義」とミード 2 章 セツルメントとシティ・クラブ―ミードの舞台 3 章 「新教育」と産業民主主義―労働と教育の再統合 4 章 労働紛争とミード―「市民委員会」報告書より 5 章 大戦とミード―動員・民主主義・社会主義・ナショナリズム 6 章 差異と共同―帝国と福祉のランデブーのなかで
むすび 再叙述―再帰的な市民実践に向けて 文献 索引 あとがき