「社会学的発想」を知るための最適の書物。
社会学的観察とはどのようなものかわかる。
わずか8ヵ月余りの渡米体験をもとに書かれた不朽のアメリカ論。現代社会論の先駆的な古典でもある。パブリックのあり方や市民活動、NPOなど、今日的な課題を考えるうえでも、示唆的である。
15年にわたって、ローマ帝国崩壊に至る歴史を、予定どおり1年に1巻づつ刊行するという偉業を、世界で初めて達成した著者の構想力と観察力、筆力に脱帽する。『ユリウス・カエサル』(4・5巻)が圧巻。
著者は岩波書店前社長。旧来のアカデミズムを超えた学際的な知の創出に関わったプロデューサーが、その内幕を語っていて興味深い。いい研究者を育てるのは、同業の専門家集団と院生・学生に加えて、編集者であることがよくわかる。
前者は、マックス・ヴェーバーが学生たちに語った講演をもとにしている。直接的には、学問に携わる者の心構えを語っていて、それはそれで興味深いのだが、かれは、そのことをとおして「近代」という時代の意味について語っている。
これを読み終えたら、後者にも挑戦してほしい(こちらは、学術論文なので前者よりは難解)。社会科学的認識ははたして客観性を持ちうるのか、持ちうるとしたらいかなる意味においてかという問題をヴェーバーは論じている。こんにちの科学方法論の水準からすると、やや古いということは否めないが、それでも一読する意味は大いにある(これから社会科学を勉強しようとする人は、方法論の問題を一度はくぐっておく必要があるから)。またこの論文にも、近代という時代についての洞察がちりばめられている。これについても味わって読んでほしい。
ルーマンは、現代を代表する社会学者の一人である。ルーマンの理論装置を理解するためには『社会システム理論』(恒星社厚生閣)を緻密に検討する必要があるが、ルーマンの着想や分析の独自性を知るためには、むしろこの本の方がよいであろう。
近代法治国家の論理とその現代的意味、ネイション・ステートの問題、多文化主義といったテーマについて、討議理論という独自の理論装置を背景にしながら論じている。ハーバーマスという理論家の独自の発想法の一端を読みとることができる。
私たちがあたり前だと思っている「子ども」「家族」という概念が、決して普遍的なものではないことを教えてくれる本。物事を相対的に捉えることの重要性に気づかされる。
欧米近代化とは異なる文明の発展パターンがあることを再認識させてくれる本。社会をダイナミックに類型化し、比較することの面白さを味わうことができる。
ナショナリズムが国家や資本の諸制度によって人為的につくられた共同体であることを達意に論じている。近代の国民国家の有り様を考える上で必読書である。
空間論的次元からマルクスの資本蓄積論を推敲してきた著者が文化変動の起源に挑戦した話題の書である。モダニティに対する透徹した批判認識が注目される。
アーバニズムの両義性を社会理論の革新の方向を見据えながら、歴史的文脈におりたって検証することによって、モダンの文法を解読しようとした意欲作である。