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教員推薦書籍

教員推薦書籍―社会学ことはじめ―

 正村俊之 教授  情報社会論・社会的コミュニケーション論

  • エミール・デュルケム著(宮島喬訳)『自殺論』(中公文庫, 1985年)

「社会学的発想」を知るための最適の書物。

  • アーヴィング・ゴッフマン著(石黒毅訳)『行為と演技―日常生活における自己呈示』(誠信書房, 1974年)

社会学的観察とはどのようなものかわかる。

 長谷川公一 教授 環境社会学・社会運動論

  • アレクシス・トクヴィル著(井伊玄太郎訳)『アメリカの民主政治』(講談社学術文庫、1987年)

わずか8ヵ月余りの渡米体験をもとに書かれた不朽のアメリカ論。現代社会論の先駆的な古典でもある。パブリックのあり方や市民活動、NPOなど、今日的な課題を考えるうえでも、示唆的である。

  • 塩野七生著『ローマ人の物語』全15巻(新潮社、1992-2006年。新潮文庫版もあり)

15年にわたって、ローマ帝国崩壊に至る歴史を、予定どおり1年に1巻づつ刊行するという偉業を、世界で初めて達成した著者の構想力と観察力、筆力に脱帽する。『ユリウス・カエサル』(4・5巻)が圧巻。

  • 大塚信一著『理想の出版を求めて――一編集者の回想1963-2003』(トランスビュー、2006年)

著者は岩波書店前社長。旧来のアカデミズムを超えた学際的な知の創出に関わったプロデューサーが、その内幕を語っていて興味深い。いい研究者を育てるのは、同業の専門家集団と院生・学生に加えて、編集者であることがよくわかる。

 永井彰 准教授  批判理論・農村社会学

  • マックス・ヴェーバー著(尾高邦雄訳)『職業としての学問』(岩波文庫、1980年)
  • マックス・ヴェーバー著(富永祐治、立野保男訳、折原浩補訳)『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』(岩波文庫、1998年)

前者は、マックス・ヴェーバーが学生たちに語った講演をもとにしている。直接的には、学問に携わる者の心構えを語っていて、それはそれで興味深いのだが、かれは、そのことをとおして「近代」という時代の意味について語っている。

これを読み終えたら、後者にも挑戦してほしい(こちらは、学術論文なので前者よりは難解)。社会科学的認識ははたして客観性を持ちうるのか、持ちうるとしたらいかなる意味においてかという問題をヴェーバーは論じている。こんにちの科学方法論の水準からすると、やや古いということは否めないが、それでも一読する意味は大いにある(これから社会科学を勉強しようとする人は、方法論の問題を一度はくぐっておく必要があるから)。またこの論文にも、近代という時代についての洞察がちりばめられている。これについても味わって読んでほしい。

  • ニクラス・ルーマン著(佐藤勉、村中知子訳)『情熱としての愛』(木鐸社、2006年)

ルーマンは、現代を代表する社会学者の一人である。ルーマンの理論装置を理解するためには『社会システム理論』(恒星社厚生閣)を緻密に検討する必要があるが、ルーマンの着想や分析の独自性を知るためには、むしろこの本の方がよいであろう。

  • ユルゲン・ハーバーマス著(高野昌行訳)『他者の受容』(法政大学出版局、2004年)

近代法治国家の論理とその現代的意味、ネイション・ステートの問題、多文化主義といったテーマについて、討議理論という独自の理論装置を背景にしながら論じている。ハーバーマスという理論家の独自の発想法の一端を読みとることができる。

 下夷美幸 准教授  家族社会学

  • フィリップ・アリエス 『「子供」の誕生―アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』杉山光信,杉山恵美子訳,みすず書房, 1980年(原書:1960年).

私たちがあたり前だと思っている「子ども」「家族」という概念が、決して普遍的なものではないことを教えてくれる本。物事を相対的に捉えることの重要性に気づかされる。

  • 村上泰亮, 公文俊平, 佐藤誠三郎 『文明としてのイエ社会』中央公論社,1979年.

欧米近代化とは異なる文明の発展パターンがあることを再認識させてくれる本。社会をダイナミックに類型化し、比較することの面白さを味わうことができる。

 吉原直樹 前教授  都市社会学・アジア社会論

  • ベネディクト・アンダーソン著(白石さや, 白石隆訳)『〈増補〉想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』(NTT出版, 1997年)

ナショナリズムが国家や資本の諸制度によって人為的につくられた共同体であることを達意に論じている。近代の国民国家の有り様を考える上で必読書である。

  • デヴィッド・ハーヴェイ著(吉原直樹監訳)『ポストモダニティの条件』(青木書店, 1999年)

空間論的次元からマルクスの資本蓄積論を推敲してきた著者が文化変動の起源に挑戦した話題の書である。モダニティに対する透徹した批判認識が注目される。

  • 斎藤日出治・岩永真治著『都市の美学』(平凡社, 1996年)

アーバニズムの両義性を社会理論の革新の方向を見据えながら、歴史的文脈におりたって検証することによって、モダンの文法を解読しようとした意欲作である。