『社会学研究』は第二次大戦後の1950年7月、故新明正道東北大教授を事実上の編集者として創刊され、以後、日本の社会学(とりわけ社会学理論、学説史、方法論)を牽引する雑誌として、年2号(原則)が刊行されています。
『研究』はこれまで、全国の社会学徒を会員として発展し、会員以外の多くの研究者にも門戸を開くことにより、その質を維持してきました。その淵源にあるのは、かつて新睦人先生が指摘されたように(『社会学史研究』第8号)、「一学一派」に偏らないという新明社会学の学的立場です。
今後の『社会学研究』においても、この精神を全国の心ある社会学徒とともに堅持し、さらなる発展を目指すことが求められています。
「偉大な真理は批判されることを欲し 偶像化されることを望まない」
今次戰爭における社会諸科学研究の苦難の道は社会学においても亦例外なく辿らねばならなかつた。ペンを銃に持ち替へた我々若き社会学徒が、戰ひ敗れて荒廃せる国土に還つたとき、そこで発見したものは己の学問的空白に過ぎなかつたのである。今戎衣を棄て、社会学研究に身をゆだね得る幸ひは身に沁みて感ずるものであるけれども、我々と同じく研究への志と熱情とを抱き乍ら、空しくそのいのちを散らさなければならなかつた社会学徒の多きを憶ふ時、我々に残された者の在り方に対し深き反省が要請されるのである。
戰後、社会学に対する關心は、社会学以外の学問研究者のみならず、一般の人々の間にも急速に昂められて來た。この事は一方、社会学の社会科学において占める役割が新しく認識された結果であり、他方、民主主義諸制度の発展がよりよき社会を土壌としよりよき社会人によって育成せしめられる事に対する一般人の理解によるものと思はれる。かゝる意味においても、社会学徒の任務は一層重いものがあると言へるのである。我々は過去の空白を埋め、己が研究成果を反省し、將來への歩みのよすがとする爲にさゝやかながら此の雑誌の刊行を企図した。我々の望の余りに大にして業績の余りに小なるは自ら顧てよく了知する所である。併し我々はこの事を卒直に認めると同時に、これを第一歩として歩み続けようとする熱意を有するものである。我々は廣く同学の士の參加を期待する。そしてより多くの眞摯なる研究者達によってこの雑誌がお互の切磋琢磨の場として利用される事は我々の大いなる願ひであり歓びである。と同時に我々は斯学の諸先輩の御指導と御鞭撻によって我々の研究が正しき方向においてよりよき成果をおさめることを期したいと念願するのである。
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1 欧文の文献
(Habermas 1992) (Habermas 1992, S.317) (Parsons 1951, pp.75-79. 訳八五-八九頁)
2 邦文の文献
(正村 二〇〇二) (高城 二〇〇二、一〇七頁) (高城 二〇〇二、一〇七-一〇八頁)
文末の文献リストは、以下の例にならって表記すること。