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『エスペラント』(La Revuo Orienta) 第72巻(2004)1月号, p.23 掲載

学校に緑の風を 東京外国語大学

後藤 斉


東京外国語大学では以前から菅野裕臣教授(朝鮮語)によってエスペラントの授業が 正規の授業科目として開設されていたが、1998年に同教授が退官したため、その後任として私が 指名されることになった。この授業は学部・大学院の併用なので、形式上、エスペラントの 分野で学術的な著作数点があることなどが資格として必要だからであった。この間、日本を 離れていた1年を除いて、毎年担当している。

仙台から毎週通うわけにはいかないので、集中講義の形式をとって夏休みと冬休みに4日ほどを 充てることになる。暑かったり寒かったりで、教える側も教わる側も大変だが、短期集中形式は 言語学習としては好条件と言えるだろう。

前期の授業はエスペラントの意義、言語学的概要、歴史、使用の現状などの講義から始め、 テープやCDで音声のサンプルを聞いてから文法の解説へ進む。その間、私のエスペラントでの 体験談、本やウェブサイトの紹介、会話練習などを交えながら、文章の読解を行う。最後の 一時間は試験として、Monatoから短めの記事を訳してもらう。後期は、復習として文法概要の 説明を繰り返したのち、主として多少知的な内容のエスペラント文を読解する。

受講者には、エスペラントのことを知っていて機会があれば学びたかったという学生がめだつ。 大学の性格上、学生は語学的関心が高く、文法事項の飲み込みは概して早いし、試験のできも かなりよい。数は年によって違うが、十数人から三十人程度で、大学院生は数人というところ。 専攻語による偏りがあまりないのはおもしろいが、留学生に適切に対応できているかは 自信がない。

この授業によってエスペランティストを増やすことを直ちに狙ってはいない。それよりは、 言語のエキスパートのなかにエスペラントの理解者を増やすことをめざしているのだが、 まずまずのできであろうか。試験には、授業やエスペラントの感想を任意で書いてもらうが、 おおむね好意的である。「やはりヨーロッパ的だ」という感想もあるが、「これほど早く文章が 読めるようになるのに驚いた」といったものの方が多い。「続けて勉強してみたい」という感想も ときおり見られるが、社交辞令だろうか。

大学全体として非常勤講師の枠は減らされている。エスペラントもこれまでは、通年 (90分30コマ)であったが、2003年度からは前期のみ(90分15コマ)に削減されてしまった。 法人化後の大学の行方は不透明で、この授業が将来にわたって確実に維持されるとは限らない。 ただ、現在の受講者数の実績があれば、もうしばらくは継続できるものと思われる。

Kurso de Esperanto ĉe la Tokia Universitato pri Fremdaj Studoj


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