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『エスペラント』(La Revuo Orienta) 第78巻(2010)10月号, pp.12-13. 掲載

de vorto al vorto (14) maniero

後藤 斉


『エス日』ではmanieroの第1義は「仕方, やり方, 流儀」となっています。複数の訳語を挙げましたが、このような訳語は目安に過ぎません。場合によっては「方法」にも当たりますし、「〜風(ふう)」「〜方」などにも当たります。

意味としてmetodoと重なるところもあります。しかし、metodoが基本義として「何かをする際の秩序だったやり方」であって、人が前もって考えて選択する一連の手順としての「方法、方式」を具体的に指すのが普通であるのに対して、manieroは「何かが生じたり, だれかが何かを成したりする際の一定の様態」を漠然と捉えて、もっと広く使うことができます。『エス日』ではmanieroもmetodoもランクBという扱いになりましたが、metodoがこころもち硬めの語感を与えるのに比べて、manieroはもっと気軽に使える日常語です。

「〜するやり方」はmaniero gajni mononのように動詞不定形を直接続けますが、「〜するためのやり方」のつもりでmaniero por varbi novajn membrojnと言うこともできます。maniero kiel solvi la konflikton「どのように対立を解消するか、そのやり方」、maniero, kiel la elementoj estas kombinitaj「要素が結びついている、その仕方」のように疑問詞kielを伴うこともあります。なお、文脈から十分な限定が加わっていれば、manieroに冠詞をつけます。実際の文章の中では判断に迷うこともありますが、文脈から十分に限定されているかどうかによるという原則は押さえておきましょう。以下の例では冠詞を省略することがあります。

伝えたいことがらに応じていろいろな形容詞をつけることができますが、適切さを表す形容詞をつけたくなる機会は多いでしょう。もっとも簡単なのは、bona manieroですが、他にĝusta manieroもよく、状況によってtaŭga「適した」、efika「効果的な」、perfekta「完璧な」、praktika「実用的な」なども使われます。facila「簡単な」、simpla「単純な」、plaĉa「好ましい」もこれに近いでしょうか。

また、ありふれていることを表す形容詞もmanieroと相性がいいようです。ordinara manieroの他、kutima「通例の」、tradicia「伝統的な」、normala「標準的な」、natura「自然な」、populara「人気のある」などです。その反対に珍しさを意味する形容詞もnekutima「異例な」、malordinara「異常な」、stranga「奇妙な」、kurioza「奇抜な」、originala「独創的な」、unika「独特の」などが使えます。nova「新しい」、mirinda「驚くべき」、rimarkinda「注目に値する」、interesa「興味深い」もこれに似ています。aparta「格別の」、speciala「特別な」も挙げておきましょう。

これらの形容詞をしばしば強調されます。わかりやすくtre bona manieroで構いませんが、(la) plej bona manieroなど、いわゆる最上級を使う表現が多く使われているのが特徴的です。この場合、他のものと比較した序列の中で客観的に「一番」ということもありますが、必ずしもそうでなく、主観的な強調に過ぎないこともあります。文法的には冠詞の有無にその違いが現れことになるでしょうが、文体的な表現効果が優先されることも多く、その違いはあまりはっきりとは現れません。

la sola (ebla) maniero「唯一(可能な)やり方」、la sola ĝusta maniero「唯一の正しいやり方」のような際立たせ方も、しばしば見られるものです。この「唯一」も誇張を含んでいることもありそうです。

manieroは名詞ですから、文の主語や直接目的語として使うことができるのはもちろんです。特に、他動詞serĉi「探す」、trovi「見つける」、elpensi「思いつく」などの目的語としてうまく使えます。serĉi novan manieron por aktivigi la klubon「会を活性化する新しいやり方を探す」、elpensi tre efikan manieron de informado「広報のとても効果的なやり方を思いつく」などです。

しかし、manieroでずっと目立つのは「〜やり方で」のように文を副詞的に修飾する成分としての使い方です。この場合、「で」は前置詞enで表すことができます。saluti en la kutima maniero「いつものやり方で挨拶する」など。これは「いつも通りに」と考えてもよく、つまり「〜やり方で」という訳語にこだわる必要はないのです。La akcidento okazis en la sekvanta maniero: nome ,,,「事故は次のようにして起きた。つまり、…」でも同様です。

manieroをのっとるべき基準のように捉えられる場合には、前置詞laŭで導くのもいいでしょう。celebri laŭ la tradicia maniero「伝統のやり方で祝う」、laŭ sia (propra) maniero「自分自身のやり方で」などでは、enでも悪くはありませんが、laŭの方がしっくりくるように感じられます。ほかに、手段と捉えて前置詞perを使うことも少なくありません。sciigi per ĉiuj eblaj manieroj「あらゆる可能なやり方で知らせる」。これらは、使い分けというよりは、前置詞の基本的な使い方の応用として理解したいことです。

manieroからは多くの合成語を作ることができます。非常に多いのは、vivmaniero「生き方」のように動詞語幹と組み合わせるパターンです。比較的よく熟しているものとして、pensmaniero, parolmaniero, skribmaniero, agmaniero, vidmaniero, esprimmaniero, prononcmaniero, dirmaniero, labormaniero, pagmaniero, kondutmaniero, tranĉmaniero, uzmanieroなどがあります。これ以外にも、brodmaniero, rakontmaniero, konstrumaniero, farmaniero, salutmaniero, kantmanieroなどの実例がありますし、組み合わせは他にも可能で、辞書に載せきれるものではありません。

もう一つよく使われる合成語のパターンは、tiamaniere, kiamaniere, alimaniere, iamaniere, ĉiamaniereなどのように、指示詞や形容詞などと組み合わせて、全体を副詞とするものです。kiamaniereはkielとほぼ同義ですが、kielの用法が多岐にわたるのに対して、疑問詞の用法に限られており、様態についての疑問であることを明確にしています。ĉi-maniere, siamaniere, diversmaniere, sammaniere, multmaniereもよく使われる合成語です。


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