俳句(2018)

    長谷川 冬虹(とうこう)

2021年LinkIcon,2020年LinkIcon,2019年LinkIcon, 2017年LinkIcon,2016年LinkIcon,2015年LinkIcon, 2009年〜14年LinkIcon, 第一句集『緑雨』LinkIcon
古志2018年12月号

大谷弘至主宰選
富士仰ぐ花野のま中大昼寝

古志2018年11月号

大谷弘至主宰選
  トロント
夏野原かつては汝の丘なりし
  国際会議
任果ててメイプルリーフの緑陰よ
タクシーを降りて帰国の青田風
父の墓洗ひて帰国報告す

長谷川櫂先生選
空蝉は意志あるごとく動かざる
炎帝や憤死さながら翁長知事

古志2018年10月号

大谷弘至主宰選
瀬戸内の島影あはし枇杷熟るる
古里の蔵王背にして麦熟るる
圧しあひてはみ出んばかり燕の子

長谷川櫂先生選
太ちよがおろおろ飛べり燕の子

古志2018年9月号

大谷弘至主宰選
遠く近く郭公いよよ谺せり
神室なる修験の山や雉子の声
鏡田に神室連山青山河

古志2018年8月号

大谷弘至主宰選
伊豆山中五百余句の花の句座 
さながらに花の絵巻の山里よ
花の宴含めば酒のやはらかき 
咲き満ちて父の墓いま花の寺

長谷川櫂先生選
悪友の女友達苺食む
柏餅自選の力養はん

古志2018年7月号

大谷弘至主宰選
  大岡信忌
花冷や富士は見えねど信の忌 
蝌蚪生るる天城全山水の国
この星に蝌蚪さながらのわれらかな

古志2018年6月号

大谷弘至主宰選
追儺待つ米倉塩蔵味噌の蔵 
吹雪く夜は追儺の鬼に宿貸さん
受験終へ白髪増えゐしわが子かな 
雛の夜の七十億の二人かな

長谷川櫂先生選
満月は女雛北斗は男雛かな

古志2018年5月号

大谷弘至主宰選
寒の月きのふの蝕を知らぬげに 
受験子の力養へ粥柱
糶られたる大鮟鱇の一睨み
皮剥がれ鮟鱇たちまち捌かるる

古志2018年4月号

同人花の一句
寺町に黄金色なる遅桜

大谷弘至主宰選
竜の玉濃きも淡きも瑠璃の色 
冬至粥卒寿の母は俳句詠む
星のごと七つ浮かべて柚子湯かな 
一茶論声出し読めば初雀

長谷川櫂先生選
ひといきに冬薔薇の枝剪定す
翡翠の声のみ聞こゆ大旦
冬林檎昨日の一句推敲す

古志2018年3月号

大谷弘至主宰選
ラフランス包みし紙に残り香よ 
硝子戸に瑠璃の光の小春日よ

長谷川櫂先生選
福島の桃の冬木のよき姿
これやこの庄内浜の横しぐれ
初雪の吾妻小富士の小ささよ

古志2018年2月号

大谷弘至主宰選
塩むすびやませしのぎし今年米 
萩日和帰国の翌朝の卵焼

古志2018年1月号

歳旦帳
大年や消えては見ゆる鯉緋鯉

大谷弘至主宰選
菊日和慈顔におはす無着像 
秋澄みて玉眼賢き世親像
同窓会七福神てふ今年酒 
月待ちて月のやうなる柚餅子かな

長谷川櫂先生選
長持唄野太き声や菊の酒

長谷川櫂先生選ネット投句LinkIcon

12月31日締切
入選 柚子湯出てヒト科ヒト属あかんばう

12月15日締切
入選 人の世は奈落か島の天の川

11月30日締切
入選 波音は人魚の唄か星月夜

11月15日締切
入選 太初の海赤道直下背泳ぎす
入選 珊瑚の浜海鼠の横で大昼寝

10月31日締切
入選 秋の蝶羽震はせて交わりぬ

10月15日締切
入選 秋天へ盲導犬の歩み出づ
入選 聡き眼の盲導犬よ秋桜

9月30日締切
入選 天花粉二十二世紀見届けよ

8月31日締切
入選 麗筆の漢詩の国や蓮の花

7月31日締切
入選 九十歳母の戦後史合歓の花

7月15日締切
入選 母の夢梅雨寒々と震へをり

6月30日締切
入選 けさみれば一羽失せたる燕の子

6月15日締切
特選 あの頃の君さながらの花柚かな
入選 凛然と北国の柚の残り花

5月31日締切
入選 十八のをのこと山の菖蒲湯に

5月15日締切
入選 青麦や蔵王をのぞむ父祖の墓
   黒塚の山姥めける大しだれ

4月30日締切
入選 山葵田や花さながらに白き蝶

3月31日締切
入選 伊勢海老の跳び出さんと花の膳

2月28日締切
特選 我らみな風に吹かるる吊し雛

2月15日締切
入選 大寒の凍てつく朝の清しさよ 
   繰言も弱音も吐かぬつららかな

1月31日締切
入選 脊髄を刺して鮟鱇活〆す

1月15日締切
入選 悪食の鮟鱇のごと句作せん

2019年2月27日