(注)東北大学では、セメスターに次のような番号をつけている(学部・大学院それぞれ)。
4-9月
10-3月
1年次
1
2
2年次
3
4
3年次
5
6
4年次
7
8
1. 基本方針
社会学・社会心理学などで「相対的剥奪」に関する研究が本格化してから50年以上がたつ。この間、相対的剥奪研究は、ジェンダーや階層意識の問題など、様々な領域に応用されてきた。この演習では、英語文献を読みながら、「相対的剥奪」の研究史をおさえるとともに、特にジェンダーや階層意識の分野への応用例(性差別を認識している女性が仕事や生活に満足しているのはなぜかという問いを取り上げた調査研究など)について、理論的・実証的に検討する。その中から、今後の研究の展開の可能性を、ともに考えていく。
この演習で、ジェンダー・階層意識への応用例を中心に相対的剥奪研究の回顧・展望をする中で、英語文献を読む力をつけるとともに、行動科学的な思考力を養っていただければ幸いである。
なお、学部生の場合、第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」をあわせて履修することが望ましい。
2. 教科書・参考文献
【教科書】
【参考文献(主なもの[とはいえ木村の観点からであることに注意])】
3. 授業の進め方
(1) 教科書 (Walker and Smith 2002; Crosby 1982) の指定された章を取り上げ、内容の把握、疑問・問題点の指摘と討論を行う。ひとつの章につき(参加者数と長さに応じて)1〜3名の担当者を割り当て、内容と問題点などに関する報告をしてもらう。ひとつの章を複数名で担当する場合、機械的に分担してしまうのでなく、章全体の内容を担当者全員が把握し、各回の報告がつながるように、共同で勉強や報告の準備を行うこと。
(2) 学部生の場合、ジェンダー・階層意識と相対的剥奪、あるいはより広く階層・階級とジェンダーや家族、階級・階層意識に関するその他の先行研究(教科書に引用されているものや、上の参考文献リストに挙げたもの、各自が文献検索をして見つけたものなど)も参照しつつ、問題・課題の明確化を図る。大学院生の場合には、さらに、集団間関係・集合行為などの分野で相対的剥奪概念がどのように展開されているか、相対的剥奪に関してどのような数理的・計量的研究が行われているか、などのことについて考察を深めてもよいだろう。
(3) 学部生の場合、以上の考察を踏まえ、今後の研究の展望を考え、行動科学研究室で利用可能な社会調査データ(SSM調査、高校生調査、静岡女性調査など)を用いた追試を企画する。(第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」で、実際に追試を行ってみることになる。)これが、受講生諸君の卒業研究・卒業論文につながることを期待している。
4. スケジュール(予定)
─────────────────────────────────────── 回 月/日 内容 担当 ─────────────────────────────────────── 1 4/12 授業計画の説明 2 19 報告準備・打ち合わせ 3 26 Walker and Smith, eds. (2002, chap.1): Fifty Years of Relative Deprivation Research 4 5/10 Crosby (1982, chap.1): Introduction 5 17 Crosby (1982, chap.2): The Theory of Relative Deprivation 6 24 Crosby (1982, chap.3): Methods 7 31 Crosby (1982, chap.4): Gratifications and Deprivations at Work 8 6/ 7 Crosby (1982, chap.5): Views of the Job Situation of Women 9 14 Crosby (1982, chap.6): Home Life 10 21 Crosby (1982, chap.7): Comparison Across Domains 11 28 Crosby (1982, chap.8): Testing the Theory 7/ 5 Crosby (1982, chap.9): Conclusions 12 12 Walker and Smith, eds. (2002, chap.16): Summing Up, Relative Deprivation as a Key Social Psychological Concept 13 26 (予備日) ─────────────────────────────────────── *内容・日程については、参加者数などに応じて変更することもある。
5. レポート課題
5.1 課題
(1) 学部学生の場合
自分が担当した章(のうちひとつ)について、(もちろん他の章や他の文献との関係を意識しながら)内容の要約とコメントを行う。ただし、そのコメントは、今後(自分や他の人が)どのような研究をしていけばよいのか、ということを考える上で建設的なものであること。(この課題に取り組むことで、既存の研究をもとに自分がどのように研究を展開していけばよいのか、というイメージをつかんでいただければ幸いである。)
(2) 大学院生の場合
「2. 教科書・参考書」の「参考文献(主なもの)」にあげたもののうち、英文の文献(邦訳のあるものを除く)ひとつを選び、その紹介(相対的剥奪に関連する部分に限る)を行うとともに、それがこれまでの相対的剥奪研究の歴史の中で持っている意味と、今後の研究の展開にとって持つ意義について考察する。(もちろん、執筆の過程で他の文献を参照することはかまわないし、むしろ推奨したい。)
5.2 書式
ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。
レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、複数ページにわたる場合にはページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
2004年9月1日(水)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
*曜日、**:**-**:**とする。
6.2 成績評価
成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。
6.3 夏休みにしておいてほしいこと
(学部生が第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」を履修する場合)
第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」を履修する意思のある人は、夏休み中に、階層・階級、ジェンダーと階層意識に関する文献を自分で検索し、興味を持ったものを読み、利用可能な社会調査データを用いて先行研究の知見を追試するにはどのようにすればよいか、あらかじめ予備的な検討をしておいてほしい。さらに、それと自分自身の卒業研究・卒業論文の構想とがどのように関連するかについても、考えてほしい。
もちろん、夏休み中でも随時相談に乗るので、分からないことなどがあれば、木村の研究室に(アポイントメントを取った上で)来ていただければ幸いである。
1. 基本方針
この講義のアイディアの源流となっているのは、ロゲルギストの『物理の散歩道』シリーズ(岩波書店、1963-1972;中央公論社、1974-1983)や、それにならった野口悠紀雄『経済学の散歩道』(日本評論社、1985)である。これらの行動科学版あるいは社会学版となるようなもの(いわば『行動科学の散歩道』あるいは『社会学の散歩道』?)を作ることが、私の長年の願いである。さらに、寺田寅彦・中谷宇吉郎の随筆集(『寺田寅彦随筆集』岩波書店、1963-1964;『中谷宇吉郎随筆集』岩波書店、1988)、ホフスタッター(Hofstadter, Douglas R.)の『メタマジック・ゲーム』(白揚社、1990)、スマリヤン(Smullyan, Raymond M.)の『哲学ファンタジー』(丸善、1995)などの本の内容やスタイルからもインスピレーションを得ている。
(不遜かもしれないが)行動科学・社会学を学ぶ人に対してひとつの「手本」を示すとともに、行動科学・社会学専攻以外の人には(特に心理学・経済学・政治学などの比較的近い専門分野の人だけでなく自然科学系の専攻の人にも)「こういう見方もできるのか」と思ってもらえるような、やわらかいお話になるようにしたい。内容としては、日常の疑問に対する行動科学的・社会学的分析の応用、社会調査・データ分析のノウハウ、理論構築の方法、などを中心にする予定である。
なお、行動科学概論を履修していることが望ましい。
2. 主な参考文献
講義の中で、適宜提示する。
3. 授業の進め方
木村の作成した文章あるいは「執筆メモ」を授業の1週間前に配布する。受講生の皆さんには、これを読んだ上で、授業を聴き、授業の内容について積極的に質問・コメント・提言をしていただきたい。
この各論で取り上げる話や授業中の討論などから、受講生の皆さんの卒業研究・卒業論文につながるヒントを得ていただければ幸いである。
4. スケジュール(予定)
──────────────────────────────────────── 回 月/日 内容(予定) ──────────────────────────────────────── 1 10/ 7 授業計画の説明 2 14 「席取り」はなぜ起こるのか(小林・木村編『考える社会学』より) 3 21 スポーツのルールはなぜ変わるのか: あるいはなぜ自国選手に不利に変わるように見えるのか 4 28 血液型性格判断はなぜはやるのか:疑似科学を信じるメカニズム 5 11/ 4 統計的差別はあり得ないのか:3人の学生の会話 6 11 社会調査つれづれ 7 18 既発表論文の図表から2次分析をしよう: クロス集計表・相関行列から多変量解析へ 8 25 マクロ・データから何がわかるか:生態学的虚偽の問題 9 12/ 2 概念の学説史から問いの学説史へ 10 9 社会学・行動科学における合理的選択理論の意義 11 16 鏡に映った自我:社会学・行動科学のイメージ 12 1/13 不平等の測定をめぐって(1):ジニ係数の意味 13 20 不平等の測定をめぐって(2):不平等を過小評価していないか 27 (予備日) ────────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
次の2つのうち、いずれかの課題に取り組んでいただきたい。
(1) 木村の作成した文章あるいは「執筆メモ」(およびそれにもとづいた授業内容)について、コメントし、改良すべき点などについて論じる。
(2) 木村の作成した文章にならって、自分が興味を持つ問いやテーマについて、行動科学の教材となるようなエッセイなどの文章を作成してみる。
5.2 書式
ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。(枚数が多くなる分にはかまわないが、あまり散漫になるのも考えものなので、一応この程度とする。)
レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
2005年2月8日(火)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
*曜日、**:**-**:**とする。
6.2 成績評価
成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。
1. 基本方針
階層帰属意識、満足感、不公平感、政治意識、学歴意識、性別役割意識など、広い意味での階層意識について、既存の社会調査データの計量分析(「2次分析」)を通して探求を行う。先行研究を検討し、問いや疑問(「なぜ?」)を明確化し、適切なデータセットを選択し、仮説を構築し、その仮説から導かれた予想がデータの統計的分析から支持されるか確かめる。さらに、その成果を、最終的に「報告書」の形にまとめる。このようにして、社会調査データの統計的分析を用いた研究のイメージを体得してもらうことも、この演習のねらいに含まれる。
人文統計学・行動科学基礎実習などデータ分析に関する授業を履修していることを前提にする。第5セメスターの行動科学演習「階層・ジェンダーと相対的剥奪の社会心理学」を履修していたことが望ましい。
2. 主な参考文献
3. 授業の進め方
前期の行動科学演習での勉強をふまえ、また夏休み中に読んでおいた文献などもふまえ、先行研究を検討し、各自の研究テーマ・課題を確定するとともに、今後の展望を考える。さらに、行動科学研究室で利用可能な社会調査データ(SSM調査、高校生調査、静岡女性調査など)を用いた追試を企画・実施する。中間報告と最終報告で、その成果を報告する。その際、先行研究でどのような「問い」がたてられ、その問いに対してどのような方法でアプローチがなされ、どのようなことが明らかになったのか、また依然として明らかになっていないのはどのようなことであり、その解明にはどのようなことが必要か、といったことをじっくりと考えて分析・考察を行っていただきたい。この演習での経験が、受講生諸君の卒業研究・卒業論文につながることを期待している。
4. 利用可能な社会調査データについて
(1) 社会階層と社会移動全国調査(SSM調査:1955, 1965, 1975, 1985, 1995)
日本の階層構造と階層意識に関する代表的な継続的調査研究。1955年から10ごとに実施されている。女性が対象に含まれるようになったのは1985年調査から。直井優ほか編 (1990)、盛山和夫ほか編 (1998)、盛山和夫ほか編 (2000)、富永健一編 (1979) などを参照。
(2) 教育と社会に対する高校生の意識調査(高校生調査:第1次〜第4次)
宮城県内(第2次は仙台圏以外、それ以外は仙台圏)の高校生とその両親を対象。調査項目は、進路志望、不公平感、文化資本、性別役割意識(第3次調査以降)、学習意識(第4次調査のみ)など。詳しくは、東北大学文学部教育文化研究会 (1988)、海野道郎・片瀬一男 (1990)、鈴木昭逸・海野道郎・片瀬一男 (1996)、片瀬 (2001) を参照。
(3) 現代女性の生活と意識に関する調査 (1992, 1993)
静岡市内の既婚女性で、夫が生存しており、末子が小学校在学中の人を対象。調査項目は、家庭生活(家事分担など)、社会的ネットワーク、階層意識(階層帰属意識、不公平感など)、性別役割意識、ほか。詳しくは、木村・野沢 (1994) を参照。
5. スケジュール(予定)
──────────────────────────────────────── 回 月/日 内容 ──────────────────────────────────────── 1 10/ 4 授業計画の説明 2 18 先行研究の検討と課題設定に関する報告(1) 3 25 先行研究の検討と課題設定に関する報告(2) 4 11/ 8 利用可能な既存データによる先行研究の追試(1) 5 15 利用可能な既存データによる先行研究の追試(2) 6 22 利用可能な既存データによる先行研究の追試(3) 7 29 中間報告 8 12/ 6 利用可能な既存データによる先行研究の追試(4) 9 13 利用可能な既存データによる先行研究の追試(5) 10 20 利用可能な既存データによる先行研究の追試(6) 11 1/17 最終報告(1) 12 24 最終報告(2) 31 (予備日) ────────────────────────────────────────
6. レポート課題
6.1 課題
階層帰属意識、満足感、不公平感、政治意識、学歴意識、性別役割意識など、広い意味での階層意識について、各自の研究テーマに関する先行研究の知見を追試した結果について、報告し、考察を行う。
6.2 書式
ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。(枚数が多くなる分にはかまわないが、あまり散漫になるのも考えものなので、一応この程度とする。)
レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
6.3 提出期限と提出場所
2005年2月8日(火)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
7. その他
7.1 オフィス・アワー
*曜日、**:**-**:** とする。積極的に相談に来ていただければ幸いである。
7.2 成績評価
成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。
1. 基本方針
統計的手法は、行動科学の重要な方法のひとつである。しかしながら、統計的手法が誤った使われ方をすることも多い。そこでこの演習では、まず、英文テキストとその邦訳を対照して読みながら、統計的手法の基礎に関する理解を深め、誤用を見抜く眼を養う。そしてその応用として、新聞・雑誌の記事などから日本における誤用例を探す。
このような作業を経験することによって身につけてほしいと期待しているのは、「情報」を的確に理解・評価する能力である。とりわけ、その中でも次の2つである。
2. 教科書・参考書
【教科書】(原著は各自インターネット書店などで、邦訳は生協文系書籍部・教科書売り場で、購入すること)
【参考書】
3. 授業の進め方
指定された章に関して、報告と討論を行なう (「4. スケジュール」を参照)。報告者は「レジュメ」を用意して、担当の章の内容を過不足なく紹介するとともに、疑問点や問題点などを指摘する(翻訳のよい点や問題点も含む)。報告者以外の受講生は、報告者に対し質問をし、議論に参加する。
さらに、各章の内容に関する報告が一通り終わった段階で、原則として自分が担当した章の内容にあてはまる具体例を紹介する。ここでの議論を参考に、さらに例を探したり考察を深めたりする。以上のような作業にもとづいて、学期末レポートを執筆する(「5. レポート課題」を参照)。
注意 レジュメは、原書の「直訳」や邦訳の単なる引用・丸写しではいけない。翻訳のしかたやプレゼンテーション技術に関する参考書を読み、そこに書かれていることを活かす形でレジュメを作成すること。
4. スケジュール
──────────────────────────────────────── 回 月/日 内容(テキストの章など) 担当 ──────────────────────────────────────── 1 10/ 1 授業計画の説明、担当の決定 2 8 発表の準備・打ち合わせ 3 15 Introduction (Epigraph, Acknowledgments も含む) [はしがき] 4 22 1. The Sample with the Built-in Bias [第1章 かたよりはサンプルにつき物] 29 (大学祭のため休講) 5 11/ 5 2. The Well-Chosen Average [第2章 "平均"でだます法] 6 12 3. The Little Figures That Are Not There [第3章 小さい数字はないも同然] 7 19 4. Much Ado about Practically Nothing [第4章 大山鳴動 ネズミ一匹] 5. The Gee-Whiz Graph [第5章 びっくりグラフ] 8 26 6. The One-Dimensional Picture [第6章 絵グラフの効用] 7. The Semiattached Figure [第7章 こじつけた数字] 9 12/ 3 8. Post Hoc Rides Again [第8章 因果はめぐる] 10 10 9. How to Statisticulate [第9章 統計操縦法] 11 17 10. How to Talk Back to a Statistic [第10章 統計のウソを見破る五つのカギ] 12 24 レポート課題の報告(1):Introduction, 第1章、第2章の例 13 1/14 レポート課題の報告(2):第3章、第4・5章、第6・7章の例 14 21 レポート課題の報告(3):第8章、第9章、第10章の例 28 (予備日) ────────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
教科書(および上述の参考文献など)の論述を参考にして、新聞記事・雑誌記事・書籍・学術論文などの中から、統計的手法の誤った使用例(複数でもよい)を探し、それがどのような意味で間違っているのかについてテキストや参考書の内容との関係を明示しながら考察する。さらに、それを具体的にどのように改善していけばよいのかについても検討する。
5.2 書式
原則としてワープロを使用すること。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。枚数制限はない。
図表は、できる限り本文中に挿入。レポートの冒頭には、タイトル、執筆者の学籍番号・氏名、提出日を記しておく(枚数に含まれる)。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
2005年 2月 7日(月)、17:00 まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
*曜日、**:**-**:** とする。この基礎演習の内容に関する質問、報告にあたっての相談などがある場合には、オフィスアワーを活用してほしい。なお、できる限り事前にアポイントメント(予約)をとるようにしていただきたい。
6.2 成績評価
成績は、報告やレポートの評価、出席状況などにもとづいて総合的に判断する予定である。
1. 基本方針
人文社会科学系の英語文献の中には、統計的な分析手法を用いたものがある。この授業では、そのような文献を読みこなす基礎力を養うために、われわれの生活の中に潜む「統計のウソ」について取り上げ論じた古典的名著をテキストとして、講読を行う。報告担当者は、原著の「直訳」をするのでなく、原著の内容を理解した上でその「要約(レジュメ)」を作成し、新聞や雑誌の記事など身近なところからその内容にあてはまりそうな例を探し出すことが要請される。(あわせて、「翻訳」のセンスや表現の技術などを身につけることをめざす。)
このような作業を経験することによって身につけてほしいと期待しているのは、広い意味での「情報」を的確に理解・評価する能力である。とりわけ、その中でも次の2つである。
(1) 英語の文章を的確に読み、その内容を日本語で的確に表現する能力
(2) 英文の文章の理解にもとづいて、その内容に関連した統計的データなどの情報を検索・入手し、それを的確に分析し、その分析結果を的確に表現する能力
2. 教科書・参考書
【教科書】
【参考書】
なお、これらの参考書の大部分は、行動科学分析室の授業参考図書コーナーにも陳列してある。行動科学研究室内で閲覧することが可能である。
3. 授業の進め方
指定された章に関して、報告と討論を行なう (「4. スケジュール」を参照)。各章を担当する報告者(複数)は、互いによく協力・相談しつつ(機械的に分担するのでなく)、「レジュメ」を用意して、担当の章の内容を過不足なく紹介するとともに、疑問点や問題点などを指摘する。報告者以外の受講生は、報告者に対し質問をし、議論に参加する。
さらに、報告者は、各章の内容に関する報告の次の回の冒頭に、原則として自分達が担当した章の内容にあてはまる具体例を紹介する(ただし、次回までによい例が見つからなかった場合には、木村に事前に連絡し、後日改めて報告日を設定する)。ここでの議論を参考に、さらに例を探したり考察を深めたりする。その成果についても、あらためて報告してもらう(「4. スケジュール」を参照)。以上のような作業にもとづいて、各自が学期末レポートを執筆する(「5. レポート課題」を参照)。
注意
レジュメは、原書の「直訳」ではいけない。翻訳のしかたやプレゼンテーション技術に関する参考書を読み、そこに書かれていることを活かす形でレジュメを作成すること。
重要なお願い
「英語」の授業というと、「与えられた英文テクストと自分の辞書(多くは初心者向けの小型のものか電子辞書)とだけでどれだけのことができるか」をためすものと誤解している人が多いような気がする。(その結果、受講生は「日本語になっていない」文章を書いているだけで、内容の理解もおぼつかないまま終わってしまっているように思う。)しかし、少なくとも、この授業はそうではない。「2. 教科書・参考書」で紹介した文献(日本語のものでよい)や、別紙資料の「英語の文章を理解する力をつけるために」で紹介している本や辞書(図書館や行動科学研究室等に所蔵あり)などを活用して、授業に取り組んでほしい。何よりも、「人文社会科学系の英語文献(さらにはそれ以外の英語の文献など)の内容を理解する力を養う」ことが、この授業の主眼だからである。
4. スケジュール
──────────────────────────────────────── 回 月/日 内容(テキストの章など) 担当 ──────────────────────────────────────── 1 4/16 授業計画の説明、担当の決定 2 23 発表の準備・打ち合わせ (第1回報告予定者への公開レッスン) 3 30 発表の準備・打ち合わせ 4 5/ 7 Introduction (Epigraph, Acknowlegements も含む) 5 14 Introduction の例 1. The Sample with the Built-in Bias 6 21 1章の例 2. The Well-Chosen Average 7 28 2章の例 3. The Little Figures That Are Not There 3章の例 8 6/ 4 4. Much Ado about Practically Nothing 5. The Gee-Whiz Graph 4章・5章の例 9 11 6. The One-Dimensional Picture 7. The Semiattached Figure 10 18 6章・7章の例 8. Post Hoc Rides Again 11 25 8章の例 9. How to Statisticulate 12 7/ 2 9章の例 10. How to Talk Back to a Statistic 13 9 10章の例 レポート課題の報告(1) 14 16 レポート課題の報告(2) 15 23 (予備日) ────────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
教科書(および上述の参考文献など)の論述を参考にして、新聞記事・雑誌記事・書籍・学術論文などの中から、統計的手法の誤った使用例(複数でもよい)を探し、それがどのような意味で間違っているのかについて、テキストや参考書の内容との関係を明示しながら考察する。さらに、それを具体的にどのように改善していけばよいのかについても検討する。
5.2 書式
原則としてワープロを使用すること。A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。枚数制限はない。
図表は、できる限り本文中に挿入。レポートの冒頭には、タイトル、執筆者の学籍番号・氏名、提出日を記しておく(枚数に含まれる)。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
2004年 7月30日(金)、17:00 まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
*曜日、**:**-**:**とする。この英語原書講読入門の内容に関する質問、報告にあたっての相談などがある場合には、オフィスアワーを活用してほしい。なお、できる限り事前にアポイントメント(予約)をとるようにしていただきたい。
木村の連絡先(電子メールアドレス) kkimurasal.tohoku.ac.jp
6.2 成績評価
成績は、期末レポートの評価、授業での活動(出席状況・報告・質問・コメント等)などにもとづいて総合的に判断する予定である。
1. 講義の概要
社会学がめざすのは、
ということである。社会学的研究の具体的な例を取り上げ、それらがこのねらいにどのような方法で取り組み、どのような成果を上げたのかを解説する。それによって現代社会の分析の基本的な考え方を伝えたい。社会学的な考え方が、皆さんの生活の中で何らかの役に立てば幸いである。
2. 教科書・参考書
教科書として、
を用いる。
3. 講義の進め方(基本方針)
教科書の中から6つの章を選び、おおよそひとつの章につき2回で講義する。教科書にない話をする回もある。
「暗記」は要求しない。「考える」ことを心がけてほしい。教科書(あるいは配付資料など)の「問」について各自考え、また周囲にいる人と討論していただきたい。講義の時間中に「問」について考えたことを紙に書いて提出してもらう予定である。提出用の紙は、各自がB5判のレポート用紙を持参してそれを用いてほしいと考えている。
なお、「予習」も、事前に教科書に目を通してくるだけというのなら必要ない(むしろしないでほしい)。しかし、教科書の「問」に対してじっくりと考え、その考えを授業のときに発表したいというのなら歓迎する。
質問や議論も大歓迎である。講義の途中でも、どしどし口をはさんでほしい。
4. 講義内容(日時・内容等を変更する場合があるので注意すること)
────────────────────────────────────── 回 日付 内容 ────────────────────────────────────── 1 4/13 イントロダクション(1) 2 20 イントロダクション(2) 27 [科目登録届確認日のため休講] 3 5/11 1章 予言の自己成就 4 18 15章 豊かさの中の自殺(1) 5 25 15章 豊かさの中の自殺(2) 6 6/ 1 9章 相対的剥奪の考え方 7 8 8章 逸脱とラベリング(1) 8 15 8章 逸脱とラベリング(2) 9 22 人はなぜ犯罪をしないのか:「社会的絆」の理論 10 29 4章 官僚制の逆機能(1) 11 7/ 6 4章 官僚制の逆機能(2) 12 13 エピローグ:社会学のイメージ [補講期間に実施] ────────────────────────────────────── 注:第9回(6/22)、第12回(7/13)の話は、教科書にないものである。
5. 試験について
7月下旬の試験期間中に試験を実施する。具体的なことについては、後日、講義の中で指示する。(試験について個人的に質問してくる人がよくいるが、それには応じない。)
なお、成績は、この期末試験の評価と出席状況とにもとづいて、総合的に判断してつける。ただし、これは次のような意味である。期末試験できわめて優秀な答案が書けていれば、出席状況を問わない。他方、期末試験での答案がきわめてひどい場合、毎回出席していたとしても不可とする。期末試験での答案が中程度の場合、出席状況を加味して成績をつけることがある。