授 業 概 要

デュッセルドルフ

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2014年度 授業概要

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ドイツ文学演習 I  開講セメスター:5  単位:2
 
〈大学院〉ドイツ文学研究演習 I
《講義題目》  批評演習 I
《授業内容》  主観的な作品経験から出発して批評的テキストを生み出す訓練である。「文学」分野での主たる仕事は、文化的な対象、特に文学などのアート作品について「何かを書く」ことである。それは通常の学問=科学的な「説明」とは違い、自らが作品から受容したものをあらためて言語で「表現」するという、それ自体制作的な行為である。「批評」と呼ばれるこの作業を実際に行うには、作品を構成する形式や内容を慣習的手順に従って分析したり、関連する客観的情報を検討したりする必要があるが、それらも、多分に主観的な自らの「解釈」をできるだけ効果的・説得的に他者に伝達するための手段でしかない。とはいえ何をどのように書けば説得的でありうるのか、明確な規則があるわけではない。この授業は、物語的性格を持つ様々なジャンルの作品について、実際に各人が批評文を書き、それを素材に参加者全員が討議する形で進めてゆく。「批評」とはどのような営為なのかを各人が実感し、自分にとって満足のゆくより効果的なテキストを生産できるようになることが授業の目標である。

◇ この授業の考え方
この授業の基本的な目標は、自分で言葉を発する(話す、書く)という意味での「発語訓練」です。作品を読んだり観たりして、また研究文献を調べたりして「知識」を増やすことが勉強の基本であるとしても、知識を増やすことが、必ずしも「話すこと」「書くこと」のスキルの向上にはつながりません。発語は主体的な行為であり、語りたいという欲求に裏打ちされなければ、内実のないものになります。受動的な作品経験では、単に流し読み、流し観て、そのつどの感興を楽しめばよいわけですが、作品について何かを語るという作業が必要になったとき、私たちは、自分が感じていることや発見したことを、積極的に言語化する努力を強いられます。しかし感動や発見は、しばしばそれ自体としてはとても概念化(言語化)しにくいものです。そのために、批評は他人の言葉の借用と反復になりがちです。もちろん既存の概念装置(例えば、 形式や技法の分析手法、内容解釈のための様々なカテゴリー)を使って巧妙な言説を組み立てることが重要ではあるわけですが、それにしても、批評の中に自分の個性が出ていなければ、それを行う意義はありません。規範的な書き方をよく学んできた人ほど、書くものに「自分」を出すことに躊躇したりします。そうした縛りを解いて、自分が感じ取ったことを素直にしかも巧みに言語化する(更に言えば、言語化したいという欲求を自分の中で高めてゆく)ための実践的スキル、敢えて言えば「勘」のようなものを磨いてゆきたいというのが、授業の眼目です。そのために、いろいろな対象を素材にして、議論と「書くこと」の機会を作ってみたいと思っています。

ドイツ語学演習 II  開講セメスター:6  単位:2
 
〈大学院〉ドイツ文学研究演習 II
《講義題目》  批評演習 II
《授業内容》  上記 I を参照。

ドイツ語学各論  開講セメスター:5  単位:2
《講義題目》  カフカを読む I
《授業内容》  Franz Kafka(1883-1924)の小説作品は、その特異なイメージ造形力と寓意性によって20世紀以降の世界文学に甚大な影響を及ぼした。テキストを精密に読んでゆくなかで、その表現の独自性を考察し、カフカ文学の魅力の本質に迫る。授業では、事前に自らテキストを訳読してくることを課題とする。前期は、晩年の長編『城』の最初の部分を読んでゆく。

ドイツ語学各論  開講セメスター:6  単位:2
《講義題目》  カフカを読む II
《授業内容》  上記 I を参照。今期も長編『城』の講読を続ける。

ドイツ文学概論 I  開講セメスター:3  単位:2
《講義題目》  ヨーロッパ的文脈から見た近代ドイツの歴史と文化
《授業内容》  17世紀から20世紀までのドイツ語圏の歴史を概観すると同時に、そこに現れる文化的事象について、幾つかの主要なトピックに焦点をあててながら考察する。ヨーロッパ近代の社会と文化がどのようにして形成されてきたか、そこにおけるドイツの特殊性とは何かを考えてゆきたい。幅広い概観を通じて常識的視野を広げることを目的とする授業である。受講条件ではないが、世界史についての基礎知識を有していることが望ましい。

ドイツ文学概論 II  開講セメスター:4  単位:2
《講義題目》  隠喩と物語
《授業内容》  xという表現(刺激)からxそのものとは異なる別の何かを推論することが、コミュニケーション一般の基本メカニズムである。ある表現が「わかる」とき、われわれは、表現を単に文字通りに理解しているだけでなく、その表現が置かれた文脈・状況に関連する様々な情報を推論し、言語化不可能な印象やヴィジョンも受け取っている。このことは、「時代が病んでいる」のような単一の隠喩混じり文の理解から、小説や映画などの物語作品を享受する過程で受け手が経験する複雑な印象の生起に至るあらゆる「解釈的理解」の場面に共通している。講義の前半では、「隠喩」(メタファー)をテーマに、言語学や哲学の議論を参照しながら、推論的解釈の一般的メカニズムについて検討する。後半では、小説・映画・コミックなどの物語表現ジャンルを取り上げ、作品を享受する際にわれわれの「推論する心」がどのように作動しているか、またそれがメディアによってどのように制御されているか、考えてみたい。

基礎ドイツ語 I   開講セメスター:1  単位:2

基礎ドイツ語 II  開講セメスター:2  単位:2