本研究室の院生は科学研究費補助金を用いた美術作品の調査に随時参加しています。これまでに行ってきた科学研究費による作品の調査研究は以下の通りです。
平成8・9・10年度 科学研究費補助金 基盤研究(A)(1)「中尊寺を中心とする奥州藤原文化圏の美術工芸品に関する総合的調査研究」
有賀祥隆教授を代表者とし、国内の重要な研究機関の研究者によって研究グループを組織し、中尊寺を中心とした藤原文化圏の絵画・彫刻・工芸各分野の美術工芸品を総合的に調査した。この研究では、多くの研究者の参画のもと、今日的な学的水準に見合う作品データ及び鮮明な写真資料を収集することに努めた。特に、中尊寺一字金輪坐像については、絵画・彫刻・工芸の各研究者による総合調査と、X線透過撮影により、彩色、構造、荘厳具に関する詳細なデータを得、それぞれに関する新知見を持つことができた。この成果を載せた報告書を、平成10年度3月に刊行した。
平成12・13・14年度 科学研究費補助金 基盤研究(A)(1)「中尊寺を中心とする奥州藤原文化圏の宗教彫像に関する調査研究」
再び有賀祥隆教授を代表者とし、前述の研究を継承しながら、研究対象を彫像に絞ることで研究を再スタートさせた。この研究では、中尊寺における調査を継続しつつ、岩手、宮城、福島に遺る藤原文化圏関連作品を総合的に調査した。中尊寺においては、金色堂諸像と讃衡蔵所在文殊五尊像のX線透過撮影による調査を終え、従来不明確だったこれら諸像の構造上の問題を一挙に解決するに至った。また、これまで詳しい報告のなかった12世紀東北の諸像についても詳細なデータと鮮明な写真を蓄えることができた。これらの研究を通じて、12世紀奥州の中心たる藤原仏教文化における彫像の特性を定位することができたといってよい。この研究の成果報告書は平成15年3月に刊行した。
平成15・16・17年度 科学研究費補助金 基盤研究(A)(1)「奥州仏教文化圏に遺る宗教彫像の基礎的調査研究」
奥州には、各時代を通じた仏像及び神像などの宗教彫像の遺例が多数残されている。これらの残例は、その分布地、尊種や図様、様式などが、おのずと各時代の文化圏のありようを反映している。すなわち、宗教彫像の分析は、特定地域の歴史的、宗教史的研究の有効な手段となることが見込まれる。本研究では、このような問題意識から、前年度までおこなっていた研究から調査対象とする地域及び時代を大きく拡大し、拠点的な地域とその周辺に集中している作例を系統的に調査し、それらの造形上、信仰上の特性を把握することを目的としておこなわれた。その成果として、調査作例の基礎的データと詳細な写真を掲載した成果報告書を平成18年12月に刊行した。
平成18・19・20年度 科学研究費補助金 基盤研究(A)「東日本に分布する宗教彫像の基礎的調査研究―古代から中世への変容を軸に」
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仏像の分布地には一定の法則がある。本研究は、これまで続けてきた基礎調査の範囲を東日本に拡げ、仏像を歴史的に定位する作業を継続してゆくことを目的として企画された。各地域には、古代と中世の仏像が混在しているが、これは、古代律令制が諸国に構想した画一的な宗教の場が中世以後に再編された歴史の結果と見ることができる。とりわけ、質の高い仏像の存在は、その土地の歴史、地域の人間の営みの確かな反映である。これらを精査することは、地域史の解明に大きく貢献する。 平成23・24・25年度 科学研究費補助金 基盤研究(A)「生身と霊験―宗教的意味を踏まえた仏像の基礎的調査研究」
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