東洋・日本美術史概論  杉本 欣久  3セメ  金4

 日本絵画史

◆到達目標

  歴史を学ぶ意義は、現代に生きる我々を客観的に見つめ、自らを律するための「鏡(鑑)」となり得るところにある。単な る知識の修得のみに終始するのではなく、それぞれの美術作品を通じて過去の人間精神を知り、現代生活をより多様で豊かに 過ごすための糧となるようにしたい。また、既成の概念や先入観に頼るのではなく、自律性の高い美術鑑賞能力を養うことを 目標とする。

◆授業内容・目的・方法

 1回目 ガイダンス
 2回目 日本人と絵画 −画題研究1−
 3回目 花鳥風月・四季四時 −画題研究2−
 4回目 筆墨 −東洋絵画の見どころ−
 5回目 古代の絵画 −白鳳・奈良時代−
 6回目 聖徳太子信仰と美術 −画題研究3−
 7回目 鎮護国家の美術 −平安時代1−
 8回目 浄土教と法華経の美術 −平安時代2−
 9回目 絵巻物 1(縁起絵巻) −平安時代3−
10回目 絵巻物 2(物語絵巻) −平安時代4−
11回目 宮中絵所預とやまと絵の系譜 −鎌倉〜室町時代1−
12回目 吉祥画と蓬莱山信仰 −画題研究4−
13回目 禅の興隆と水墨画 −室町時代2−
14回目 禅の興隆と道釈人物画 −室町時代3−
15回目 「魚」を描く意味 −画題研究5−


東洋・日本美術史概論  長岡龍作  4セメ  金4

 日本美術史基礎論―彫刻の主題と表現

◆到達目標

 (1)日本美術史における基礎的な知識を身につける。
 (2)美術史研究の基礎的な方法論を身につける。
 (3)特に彫刻研究についての知識と方法を学ぶ。

◆授業内容・目的・方法

 1.イントロダクション―仏像とは何か?
 2.仏像と仏舎利
 3.釈迦如来への信仰と表現
 4.亡き人のための造像
 5.阿弥陀如来への信仰と表現
 6.薬師如来への信仰と表現
 7.弥勒菩薩への信仰と表現
 8.観音菩薩への信仰と表現
 9.霊験と仏像
10.天の役割と表現
11.地蔵菩薩への信仰と表現
12.神像の出現
13.彫像がみちびく世界観
14.肖像の表現と役割
15.試験

東洋・日本美術史基礎講読  杉本欣久  3セメ  金5

 日本近世絵画資料講読

◆到達目標

 美術史とは作品資料と文献資料の双方から情報を引き出し、作品を制作した人物やその時代の精神を明らかにすることを目 的とする。それゆえ、文献資料の読解もおろそかにするわけにはいかず、日本史や中国史の研究者と同等の能力が求められる。 それを獲得するためには継続的なトレーニングが必要となるが、本講では入門篇として江戸時代の「変体がな」と「漢文」で 書かれた資料に触れ、その基礎を学ぶことを目標とする

◆授業内容・目的・方法

毎回、配布する資料を各自が 45 分間で読解し、残りの 45 分間で順番に読み上げていく。講師はそれに対して解説を加える。 1回目 ガイダンス 2 回?8 回 『都林泉名勝図会』を読む 9 回?15 回 『画乗要略』を読む

※5・6セメの東洋・日本美術史基礎講読は連続履修すること。



東洋・日本美術史基礎講読  長岡龍作  4セメ  金5

 東洋・日本美術史論文研究

◆到達目標

 東洋・日本美術史に関する基盤的な論文を読むことを通じて、研究方法を習得する。

◆授業内容・目的・方法

 東洋・日本美術史研究における基盤的な研究論文をとりあげて精読する。毎回一論文を読み、担当者はそのなかで扱われた作品を画像で提示し、資料をレジュメとして示しながら、その内容を紹介する。また参加者は事前に論文を十分に読み込み、発表後に内容についてディスカッションを行う。

※5・6セメの東洋・日本美術史基礎講読は連続履修すること。



東洋・日本美術史基礎実習  長岡龍作、杉本欣久  3セメ  火3・4

 美術作品取り扱いの理論と実践

◆到達目標

美術の調査と展示についての基礎的な技術を習得する

◆授業内容・目的・方法

 授業は以下の内容で進める。

1.ガイダンス
2.学芸員になるために −博物館の実状と学芸員という仕事−
3.「折本」「冊子」「巻子」の基礎と取り扱い
4.「掛軸」の基礎と取り扱い1
5.「掛軸」の基礎と取り扱い2
6.「屏風」の基礎と取り扱い1
7.「屏風」の基礎と取り扱い2
8.篆書(ハンコ)を読む
9.「刀剣」の基礎と取り扱い
10.「刀装具」「和鏡」の基礎と取り扱い
11.「仏像」の基礎と取り扱い
12.カメラの撮影と画像の使用
13.箱の扱いと紐結び・工芸品の展示
14.博物館・美術館見学
15.取り扱い復習

※3・4セメの東洋・日本美術史基礎実習は連続履修すること。



東洋・日本美術史基礎実習  長岡龍作、杉本欣久  4セメ  火3・4

 美術作品調査の理論と実践

◆到達目標

 美術作品調査の基礎的な技術を習得する

◆授業内容・目的・方法

 授業は以下の内容で進める。

1.博物館・美術館見学
2.和鏡の複製を作る 1
3.和鏡の複製を作る 2
4.和鏡の複製を作る 3
5.顔料と染料、箔の取り扱い
6.美術作品の梱包ー「掛軸」と「和鏡」の梱包ー
7.調書の作成1ー作品の観察ー
8.調書の作成2ー解説についてー
9.調書の作成3ー調査方法と記録の取り方1ー
10.調書の作成4ー調査方法と記録の取り方2ー
11.博物館での調査
12.展覧会の裏側「展示」を考える ー実地学習・藤崎ー
13.江戸時代の画家を調べる
14.ミニ展覧会
15.まとめ

※3・4セメの東洋・日本美術史基礎実習は連続履修すること。


東洋・日本美術史各論/特論T  長岡龍作  5セメ/1学期  木2

 信仰と造形

◆到達目標

 (1) 宗教思想と造形の関係を理解する。
 (2) 造形に投影された世界観を理解する。
 (3) 造形表現を理解する方法を習得する。

◆授業内容・目的・方法

 この講義では、日本の宗教美術、特に彫刻について信仰との関わりから論じる。不可視の世界を構想する宗教にとって美術は 重要な役割を持っている。宗教美術を理解することは、人間の精神世界に近づくことを可能にするのだ。前期は、「日本美術 史」研究の成立史を概観した後、日本の各時代の美術を取り上げ、特に仏教思想との関わりからその意味と表現を探っていく。

1.イントロダクション―「信仰と造形」をめぐる基礎的問題
2.「日本美術史」のはじまり1 「日本美術史」前史
3.「日本美術史」のはじまり2 「日本美術史」の成立
4.「日本美術史」のはじまり3 「日本美術史」の展開と相対化
5.古代日本の仏教美術と思想1―飛鳥時代
6.古代日本の仏教美術と思想2―白鳳時代
7.古代日本の仏教美術と思想3―奈良時代前期
8.古代日本の仏教美術と思想4―奈良時代後期
9.古代日本の仏教美術と思想5―平安時代前期―顕教
10.古代日本の仏教美術と思想6―平安時代前期―密教
11.古代日本の仏教美術と思想7―平安時代後期一摂関期
12.中世日本の仏教美術と思想1―平安時代後期一院政期
13.中世日本の仏教美術と思想2―鎌倉時代前期
14.中世日本の仏教美術と思想3―鎌倉時代後期
15.まとめ


東洋・日本美術史各論/特論U  長岡龍作  6セメ/2学期  木2

 信仰と造形

◆到達目標

 (1) 宗教思想と造形の関係を理解する。
 (2) 造形に投影された世界観を理解する。
 (3) 造形表現を理解する方法を習得する。

◆授業内容・目的・方法

 この講義では、古代日本の造形、特に彫刻について信仰との関わりから論じる。不可視の世界を構想する宗教にとって美術は 重要な役割を持っている。宗教美術を理解することは、人間の精神世界に近づくことを可能にするのだ。後期は、宗教美術と 人間との関わりをさまざまな観点から探る。さらに、神祇信仰と美術の関わりについても論じる。

1.イントロダクション―「信仰と造形」をめぐる基礎的問題
2.信仰と美術 1 作善と福行
3.信仰と美術 2 願文考
4.信仰と美術 3―旅と善業@ 華厳経
5.信仰と美術 4―旅と善業A 龍宮
6.信仰と美術 5―旅と善業B 霊場
7.信仰と美術 6―奉納と埋納@ 正倉院
8.信仰と美術 7―奉納と埋納A 経塚
9.「神仏習合」とその表現 1―仏教と神仙思想
10.「神仏習合」とその表現 2―天と神仙
11.神祇信仰と美術 1―菩薩となる神
12.神祇信仰と美術 2―神身離脱する神
13.日本美術の諸相 1―隠逸と造形
14.日本美術の諸相 2―都鄙と美術
15.日本美術の諸相 3―美術と自然


東洋・日本美術史各論/特論V  杉本欣久  5セメ/1学期 水3

 日本近世美術史

◆到達目標

 美術史とは歴史研究における方法のひとつで、美術作品を資料として分析し、どのような時代背景のもと、どのような意識 に基づき、なぜ制作されたのか、各時代の人間の営為や精神を見つめることを目的とする学問である。一見、入口としてハー ドルは低そうに見えるが、美術作品はいわば歴史の「上澄み」であり、その下を支える思想、哲学、宗教、文学などは多様で 複雑である。
 本講は「日本絵画史」の続編にあたり、東アジアにおける文化の総決算ともいえる江戸時代に焦点を絞り、その広範な文化 的背景を解きほぐしつつ、主要な美術作品の諸様相について概観していく。「絵画」のみではなく、「刀剣」「刀装具」「染織」 などの諸工芸についても言及し、東アジアのなかの日本という観点から、中国大陸や朝鮮半島からの影響と日本の独自性につ いても考える。

◆授業内容・目的・方法

1回目 ガイダンス
2回目 近世以前絵画史ーダイジェスト版ー
3回目 狩野派の系譜(室町から桃山)
4回目 狩野派の系譜(江戸狩野と英派)
5回目 京都の町絵師(俵屋宗達から宮崎友禅へ)
6回目 尾形光琳と乾山
7回目 日本刀とその精神
8回目 刀装具と鐔の意匠性
9回目 8 代将軍徳川吉宗の事績と狩野派
10回目 対外交易と長崎派
11回目 沈南蘋と南蘋派
12回目 『芥子園画伝』と文人画の黎明
13回目 池大雅と高田敬輔の系譜
14回目 雪舟流 1 ー雲谷派と矢野派ー
15回目 雪舟流 2 ー長谷川派と江戸の雪舟流ー


東洋・日本美術史各論/特論W  杉本欣久  6セメ/2学期 水3

 日本近世美術史

◆到達目標

 美術史とは歴史研究における方法のひとつで、美術作品を資料として分析し、どのような時代背景のもと、どのような意識 に基づき、なぜ制作されたのか、各時代の人間の営為や精神を見つめることを目的とする学問である。一見、入口としてハー ドルは低そうに見えるが、美術作品はいわば歴史の「上澄み」であり、その下を支える思想、哲学、宗教、文学などは多様で 複雑である。
 本講は前期に引き続き、東アジアにおける文化の総決算ともいえる江戸時代に焦点を絞り、その広範な文化的背景を解きほ ぐしつつ、主要な美術作品の諸様相について概観していく。「絵画」のみではなく、「刀剣」「刀装具」「染織」などの諸工芸に ついても言及し、東アジアのなかの日本という観点から、中国大陸や朝鮮半島からの影響と日本の独自性についても考える

◆授業内容・目的・方法

1回目 江戸絵画の「真」「贋」ー研究に立ちふさがる壁ー
2回目 江戸と浮世絵1
3回目 江戸と浮世絵2
4回目 武士の絵画1ー鑑戒ー
5回目 武士の絵画2ー暢神ー
6回目 京都と円山派1ー円山応挙ー
7回目 京都と円山派2ー応挙の門人たちー
8回目 京都と四条派 ー蕪村、呉春とその門人 ー
9回目 天下の台所・大坂の絵画
10回目 好古家と考古学の黎明
11回目 江戸の絵画1ー諸大名の文芸と谷文晁の登場ー
12回目 江戸の絵画2ー洋風画(司馬江漢・渡辺崋山)ー
13回目 江戸の絵画3ー渡辺崋山「千山万水図」に描かれた景ー
14回目 仏教における復古思想と書画
15回目 伊藤若冲 ーその真実を探るー

東洋・日本美術史各論/特論T  竹浪遠  集中講義(6セメ/2学期)

 中国絵画通史

◆到達目標

  中国絵画史に関する基礎的な知識を理解するとともに、研究方法についても習得し、作品の意味や表現について自発的に観察、 考察が行えるようになることを目標とする。

◆授業内容・目的・方法

 中国絵画は古代以来の歴史があり、伝統の上に創造が加えられることで豊かな展開を遂げてきた。この講義では、その始まり から伝統中国の最後の王朝となった清までの展開を、現存作品と関連文献によってたどっていく。美術史学の特徴である作品 からのアプローチを重視し、各時代の代表作例を軸に論じていくことで、研究の方法を具体的に提示する。さらに作品成立の 背景にある思想や文化等についても紹介する。中国絵画は日本絵画へ与えた影響も大きいため、その具体的な様相にも言及す る。以上によって、中国絵画史の総合的な理解が得られることを目的とする。

1 中国絵画のルーツ1:新石器時代〜殷・周 (玉器、青銅器、金文)
2 中国絵画のルーツ2:春秋戦国 (工芸意匠)
3 古代帝国の造形1:秦 (始皇帝陵)
4 古代帝国の造形2:漢 (仙界を巡る画像)
5 人物画の発達と画の六法:魏晋南北朝 (顧ト之、陸探微)
6 道釈人物画の隆盛:隋〜唐1 (閻立本、呉道玄)
7 盛唐における山水の変と中唐の水墨画:唐2 (海図と樹石画)
8 華北・江南山水画の成立:五代 (荊浩、関仝、董源、巨然)
9 山水画の黄金期:北宋1 (李成、范寛、郭煕)
10 文人画の確立:北宋2 (文同、蘇軾、李公麟、米?)
11 徽宗とその画院:北宋3 (王希孟、張択端)
12 院体画と僧侶の墨戯:南宋 (李唐、馬遠、夏珪、牧谿、玉澗)
13 文人画の発展:元 (趙孟?と元末四大家)
14 浙派から呉派へ:明 (戴進、李在、呂紀、沈周、文徴明)
15 南宗画の時代:明末〜清 (董其昌と清初の正統派、江南諸都市の画派)



東洋・日本美術史講読  長岡龍作  5セメ  月2

 日本美術資料研究

◆到達目標

 仏教美術を考える上で基礎的な作品を取り上げ、表現の読解法、文字資料の読み方、関連資料の調べ方 を身につける。

◆授業内容・目的・方法

 古代中世の仏教思想と美術の関係を考える上で重要な絵巻物を取り上げ、詞書きと絵画表現から、そこ に込められた意味を読み取ることに努める。対象は主に寺社縁起・祖師絵伝とし、候補作品には、「信 貴山縁起」上・中・下巻、「粉河寺縁起」一巻、「石山寺縁起」七巻、「頬焼阿弥陀縁起」上・下巻、「法 然上人絵伝」四十八巻、「一遍上人絵伝」十二巻、「春日権現験記絵」二十巻、「彦火々出見尊絵巻」六巻、 「華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)」(元暁絵三巻・義湘絵四巻)、「慕帰絵詞」十巻、「桑実寺縁起」上・下巻、 「伴大納言絵詞」上(詞書欠)・中・下巻、「吉備大臣入唐絵巻」巻一〜巻四(巻一詞書欠)、「玄奘三蔵 絵」全十二巻、「釈迦堂縁起絵巻」全六巻、「酒伝童子絵巻」上・中・下巻がある。


東洋・日本美術史講読  杉本欣久  6セメ  月2

 美術資料を読む

◆到達目標

  美術作品を歴史資料として用いる場合だけでなく、一般的な鑑賞の際にも「どこを見れば良いのかわからない」といった声 をよく耳にする。それはこれまでの学習方法において、書籍によって何らかの事象を調べることには慣れているものの、対象 に即して自分自身の眼でつぶさに観察分析し、情報を読み取る訓練がほとんどなされていないことに起因している。試みに、 ある作品を調査せよと指示すれば、多くが実物を観察するより先に、それについて記された本を探すことから始めてしまうだ ろう。

◆授業内容・目的・方法

  「鑑定」「鑑戒」などにも使用される「鑑」には、「見分ける」や「見定める」という意味があり、さらに「たのしむ」や「め でる」ことをあらわす「賞」が付いて「鑑賞」となる。つまり「美術鑑賞」の本来的意味とは、「真贋」を見極め、その価値 を実感したうえで、作品の持つ良さを味わう、ということである。 本講はこの意味での「美術鑑賞」を実現するため、毎回、日本美術史が扱う絵画、彫刻、工芸など諸分野のなかから1作品 を取り上げ、そこから読み取るべき情報の獲得を訓練するプログラムである数週ごとに方法が変わるが、いずれも学習者が発 表する実践形式をとる。一方は類似する2作品のプリントを配布し、作品間に存在する相違点を観察して指摘していく。もう 一方は、1作品のプリントとその解説を配布し、内容に優先順位を踏まえたうえでの必要な情報が提示されているか、具体的 な論拠は示されているかなど、その問題点や矛盾点を指摘していく。

予習で行なってきた作品観察、解説批判の結果を、最初の1時間で受講生が発表する。残りの 30 分は視覚機器(プロジェクタ ー)を使用し、講師が作品について論じる。
1回目 ガイダンス
2回目 絵画
3回目 刀装具
4回目 刀装具
5回目 絵画
6回目 絵画
7回目 和鏡
8回目 和鏡
9回目 絵画
10回目 絵画
11回目 仏像
12回目 陶磁器
13回目 絵画
14回目 絵画
15回目 受講生による作品の比較発表


東洋・日本美術史演習  長岡龍作、杉本欣久  5セメ  火2

 作品研究

◆到達目標

 美術史の基礎である作品分析の方法を身につけ、それを自身の考えとして的確に伝える方法を習得する。

◆授業内容・目的・方法

 東洋または日本美術の中から、特に興味を覚えた作品をとりあげ、各回一名が口頭発表をおこなう。作品そのものの十分な観察をおこなった上で、自身が設定する問題について考察する。その作品について先行研究がある場合は研究史を十分に回顧し、先行研究が乏しい場合は、自ら作品に関する基礎資料・関連資料を博捜・精読・整理する。発表及びその後の討論を通し、参加者に対し自らの考えを的確に伝えるよう努める。


東洋・日本美術史演習  長岡龍作、杉本欣久  6セメ  火2

 作品研究

◆到達目標

 美術史の基礎である作品分析の方法を身につけ、それを自身の考えとして的確に伝える方法を習得する。

◆授業内容・目的・方法

 東洋または日本美術の中から、特に興味を覚えた作品をとりあげ、各回一名が口頭発表をおこなう。作品そのものの十分な観察をおこなった上で、自身が設定する問題について考察する。その作品について先行研究がある場合は研究史を十分に回顧し、先行研究が乏しい場合は、自ら作品に関する基礎資料・関連資料を博捜・精読・整理する。発表及びその後の討論を通し、参加者に対し自らの考えを的確に伝えるよう努める。


東洋・日本美術史研究演習T  長岡龍作  1学期  水4

 美術史基礎資料読解

◆到達目標

 基礎資料の読解力を身につけるとともに、美術史研究における資料の創造的な活用法を探求する。

◆授業内容

この演習では、美術と深く関わる基礎資料を読み込み、その内容が残されている美術作品とどのように関わっているかについ て探求し、資料の創造的な読みを実践しようとするものである。『菅家文草』・『本朝文粋』・『日本彫刻史基礎資料集成鎌倉時 代造像銘記篇』・『江都督納言願文集』から造像に関わる願文を選び、それを素材としていく


東洋・日本美術史研究演習U  杉本欣久  2学期  水4

 

◆到達目標

 美術作品を歴史資料として用いる場合だけでなく、一般的な鑑賞の際にも「どこを見れば良いのかわからない」といった声を よく耳にする。それはこれまでの学習方法において、書籍によって何らかの事象を調べることには慣れているものの、対象に 即して自分自身の眼でつぶさに観察分析し、情報を読み取る訓練がほとんどなされていないことに起因している。 本講は作品を置き去りにしないため、対象に即して読み取るべき情報やその優先順位を見極める能力の向上を目指す。

◆授業内容

 「鑑定」「鑑戒」などにも使用される「鑑」には、「見分ける」や「見定める」という意味があり、さらに「たのしむ」や「め でる」ことをあらわす「賞」が付いて「鑑賞」となる。つまり「美術鑑賞」の本来的意味とは「真贋」を見極め、その価値を 実感したうえで、作品の持つ良さを味わう、ということである。 本講はこの意味での「美術鑑賞」を実現し、さらに美術館や博物館における絵画分野の担当学芸員として必要なスキルを獲得 するため、毎回、実物絵画資料を掲示し、そこから情報を読み取る訓練を行う


東北大学 東洋・日本美術史研究室 > 開講科目 2020年 7月 1日 更新