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行動科学を志望する方へ

行動科学はどんな学問なのか?


行動科学研究室へようこそ。皆さんはきっと「行動科学ってなんだろう。どんな勉強をするんだろう」と思っているでしょう。そこでここでは、行動科学研究室で行っている研究について説明します。

 何を研究するの?

「行動」科学という名前の通り、行動科学は人間の行動を科学的に研究します。それでは「人間の行動」とは何でしょう。「科学的」とはどういうことでしょう。これらの疑問に対してはさまざまな答えがあります。行動科学研究室では、次のように考えています。まず「人間は自分の気持ち良くなる行動をとる」と考えます。皆さんが生協のカフェテリアに行って色々なメニューからカレーライスを選んだとしましょう。私たちは、この皆さんの行動を「この人は他の物よりもカレーライスを食べると気持ち良いから、カレーライスを選んだんだ」と考えます。「そんなこと当り前じゃないか」と思うかもしれませんが、それほど当り前ではありません。皆さんはカレーライスが本当に好きで選んだのかもしれません。この場合はカレーライスそのものが皆さんを気持ち良くさせてくれます。しかしカレーライスがそんなに好きではないのに、仲の良い友達に「カレーライスを一緒に食べようよ」と言われたので選んだのかもしれません。この場合は、先の例ほど単純ではありません。「カレーライスの味」だけでなく「仲の良い友達と一緒に同じものを食べること」も皆さんを気持ち良くさせる要因になっています。「人間は社会的動物である」とよく言われますが、この例はその典型例です。

このように人間の行動を研究する学問に心理学があります。行動科学は、心理学と関係する学問ですが、人間行動そのものよりも、人間行動が社会にどのような影響を及ぼしているのか、言い換えれば人間と社会の関係により強い関心を持っています。なぜなら人間と社会の関係は単純ではないからです。環境問題が良い例です。人々は快適な生活を送りたいと考えています。ところが、人々のそんな生活が世界的に集積していくと、温暖化問題やオゾンホール問題が生じ、快適な生活を送れなくなってしまいます。またパニック現象も興味深い例です。皆さんが映画館で映画を見ているときに火災が生じたとしましょう。観客はわれ先に出口に殺到し押し合いへし合いになり、多くの人が逃げ遅れてしまうでしょう。みんなが順序を守って出口から逃げれば、誰も犠牲にならなくてすんだのに、早く出口から出たいという行動が集積して、多くの犠牲者が出てしまいます。

このような個人と社会の関係を研究している学問には社会学、経済学、政治学などがあります。行動科学はこれらの学問分野と深い関係があります。実際、行動科学研究室のメンバーは、これらの学問分野の成果を取り入れながら、研究を進めています。

 どうやって研究するの?

次に、「科学的に研究する」ということについて説明します。もちろん、上で挙げたさまざまな学問分野も科学的な研究をしています。行動科学研究室では、そのような科学的な方法の中でも、社会調査、実験室実験、数理的方法、コンピュータ・シミュレーションを多用しています。社会調査とは、多くの人々にさまざまな質問をして、その結果を統計的に分析する方法です。皆さんも新聞の世論調査を読んだことがあるでしょう。政党支持率や内閣支持率が新聞やテレビでよく報道されます。社会調査も世論調査と同じ手法でデータを集めますが、単に1つのことがら(たとえば政党支持率)に関心があるわけではありません。むしろ、どのような人が民主党を支持し、どのような人が自民党を支持しているのかに関心があります。もしかしたら、大都市で働く会社員の中には民主党を支持する人が多く、地方で農業にたずさわる人々の中には自民党支持者が多いかもしれません。しかしこれは推測にすぎないので、きちんと人々に尋ねて、得られたデータを分析する必要があります。社会調査はこのような分析を行うのに適した方法です。

社会調査は有力な科学的方法ですが、現実に生活し働いている人々に調査をするので、どうしても厳密に原因と結果の関係を捉えるのが難しいところがあります。この問題を解決するのが実験室実験です。たとえば、パニック現象の詳しい分析をするために、現実の映画館で火事を起こすわけにはいきません。また観客もさまざまな人がいます。そこで、実験室実験では、同じような人々(たとえば大学生)を2つのグループに分けて、架空の火事を経験させます。ただし、一方のグループでは火事が発生したときに、サクラの人が「みんな順番を守って出口から出れば、みんな助かる」とアナウンスします。もう一方のグループではそのようなアナウンスはしません。こうすることで、アナウンスの有無がパニック現象の発生に影響するのかしないのかが明確に分かります。

社会調査と実験室実験は生身の人間を対象としますが、数理的方法は数学モデルを使って人間と社会の関係を解明します。たとえば、パニック現象では、1人1人の人間の行動の仕方を数式で表現します。そして数式で表現された人々が多く集まったときに、パニック現象が生じるのか否かを数学的に解いていきます。皆さんが高校までにならった数学でいえば、連立方程式を解くような感じです。

コンピュータ・シミュレーションも数理的方法の1種です。パニック現象で言えば、1人1人がどのように行動するかをプログラミングしておいて、そのような人々が多く集まったときにパニック現象が起きるのかどうかをコンピュータ上で示すことができます。社会調査や実験室実験をコンピュータ上で行っている感じです。

ただし注意すべきことは、これらの方法はバラバラではないということです。社会調査で分かったことを数学モデルの中に組み入れたり、コンピュータ・シミュレーションで分かったことを実験室実験で検証してみたり、というように、複数の方法を用いた研究をすることが多いです。



このように、行動科学は人間と社会の関係をさまざまな科学的方法で解明する学問です。そして、データや数学モデルによって常識と思われていることをくつがえす快感があります。このような快感を得たい人はぜひ行動科学研究室に来てください。




最終更新時間:2015年08月06日 18時01分12秒
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