インタビュー: 鎌田智瑛

2014年卒 修士

featured

東北大学日本語教育学研究室を卒業・修了してから、これまでの経歴を教えてください。

日本語教師になるために経験を積もうと、在籍中は、仙台市内にある日本語学校で非常勤講師として働いたり、外国にルーツのある子ども達に、ボランティアで日本語や小・中・高等学校で学ぶ科目を教えたりしていました。修了後は、海外で働きたいと思っていました。就職先をどうするか考えていた頃、丁度現在勤めている学校の募集があり、「都内だったら研究会などが多く、日本語教育について勉強しながら働くことができるよ」と当時の教授からのアドバイスを受け、まだまだ知識が足りないと思っていた私は、採用試験を受けるとこにし、今に至っています。

現在のお仕事の内容について教えてください。

日々の授業担当や、テスト・提出物の添削はもちろん、クラス担任制なのでクラス運営(進路や学生指導、出席管理など)を行っています。年によってはプロジェクトがあり、仕事を任されることもあります。例えば、上級の教科書改訂に伴い、どのように教科書を進めるか、テスト、発展教材、その他の副教材の作成などプロジェクトで行なったことがあります。この他にも同じレベルのクラスで、常勤・非常勤講師関係なく同じように授業を進められるように、スケジュールを作ったり、教材の準備をしたりすることも常勤講師の仕事の一つです。また年に1回、「授業でやってみたこと」や、「教えている中で疑問に感じたこと」を研究し報告する仕事や、委員会の仕事などがあります。

東北大学日本語教育学研究室で学んだことは、現在のお仕事で生かされていると思いますか?具体的にどんな時にそう感じますか?

大学院の実習では、シラバスやカリキュラム、学生募集など全て自分達で作るところからやらせてもらいました。授業をただ進めるだけではなく、どのような目標設定の中で何を教えていくのかというのは、教材開発をする上でとても大切な部分で、実習のおかげだと思っています。海外での実習(私はM1の時にタイ、M2の時にアメリカへ行かせてもらいました)も授業の幅を豊かにしてくれたと感じます。また、常に「疑問を持て」と院生の頃に指導していただいたことは、今使っている教材や教え方に満足せずに、他に手段がないかなど、新たな試みや研究につながっていると思います。

今のお仕事の魅力を教えてください。

日本語の力が伸びていく姿を見られるのが、今の仕事の魅力です。日本語が上手になる・ならないは、最終的には学生自身の頑張りが鍵になります。でも、例えば教科書で説明した言葉がいつの間にか、学生の口からすっと出てきたり、TVや街などで「習った文型があったよ、聞き取れたよ!」と言ってくる姿を見ると、少しでもそのお手伝いができたのかなと嬉しくなります。また、卒業生が「今こんなことを勉強しています」「こんなの作ったよ」と嬉しそうに日本語で報告にし来てくれる姿をみると、この仕事をやっていてよかったなと思えます。

日本語教育学研究室の在籍生にメッセージをお願いします。

日本語教育の現状を知り、日本語教師になるかどうか迷っている人もいるかと思います。ストレートに今の職に就いた私の言葉では説得力はないかもしれませんが、迷っているならまず、その道に進んでみてください。「無理だ、合わない」と思ったら次を考えればいいと思います。別の職業から日本語教師になった人がいるのと同じように、日本語教師から別の職業に就く人もいます。道は一つではありません。また、日本語教師になるつもりはないと思っている人も、研究室で学んだことは無駄にはならないと思います。この研究室で学んだことは、「日本語を教える」ということだけでなく「人と繋がるための手段」ということも学んでいます。きっと他の職業でも役に立つはずですので、自信を持ってほしいと思います。

関連項目