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教員一覧

教員のよこがお

文化科学 西洋文化学 ドイツ文学

嶋崎 啓
教授嶋崎 啓
しまざき さとる

博士(文学)。
九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。
専門はドイツ語史、日独対照言語学、ゲルマン語学。最近は本来の専門とは別に、 エッダやサガといった北欧の神話や伝承の文学を原語の古アイスランド語で読んでいます。
[主要担当科目」ドイツ語学概論、ドイツ語学演習、ドイツ文化学研究演習など。

研究者データベース
本多紗織・画

何たる老化であることか!

最近一つの事件が起きた。数十年ぶりに手に取った「山椒魚」にまったく共感できなかったのである。 衝撃であった。なぜ共感できないのか、理由は簡単で、つまりは老化である。 年を取らねば分からないことがある。しかし若くなければ分からないこともある。 井伏鱒二は晩年この短編を全集に収めるにあたって最終部分を削って物議をかもした。 当時大学生だった私は削らない方がよいと思ったが、今ではあの山椒魚と蛙の会話はなくてよい。 というより、作品全体を覆う青年らしい鬱屈した思いが、懐かしくはあるが、今の自分にはわずらわしい。 老年に達したあとで世に言う名作を改変した作家の本当の気持ちは分からないが、 自己をめぐるばかりで一向に外に向かわない若者特有の煩悶が面倒くさくなったのかもしれない。
現在私がよく読むのはたとえば永井龍男である。 年を取ってもまだ感動できる作品があるのはありがたいことだ。 ただ、この作家が分かるようになったときには多くのことが分からなくなっていた。 みなさん、若くなければ味わうことができない文学があります。どうか取り逃がしませんように。 (というわけで、本多紗織さん〔2011年卒業〕に似顔絵を描いてもらいましたが、実物はこんなに若くありません。)

文学作品