Archive
文学研究科・文学部 Webアーカイブ
東北大学大学院
文学研究科・文学部サイトへ
ホーム>大学院文学研究科>教員のよこがお

教員一覧

教員のよこがお

歴史科学 ヨーロッパ史学 ヨーロッパ史

教授小野 善彦
おの よしひこ

文学修士
東北大学文学部西洋史学科卒業、同大学院博士課程中退。岩手大学人文社会科学部助教授、東北大学文学部助教授を経て現職。
専攻はドイツ中世史・近世史。編著に『ソシアビリテの歴史的諸相』(南窓社)
[主要担当科目]ヨーロッパ史各論・演習、西洋中近世史特論・研究演習など。

「中世都市」ネルトリンゲンの塔守り

20年ほど前に初めて南ドイツ・ミュンヘンに留学した。その折、中世都市の面影を見たくて、 初夏にミュンヘン北西のロマンチック街道の拠点都市ネルトリンゲンを訪れた。 12世紀に遡及する帝国都市ネルトリンゲンは、隕石の落下した窪みに建設されたと言われ、 都市を囲繞する市壁が窪みの周囲に沿って円状に築かれている。都市中央部の教会の塔(高さ90メートル) から街を俯瞰すると赤い屋根と白壁の家並が美しい。翌年1月中旬、帰国を控え、 これを最後と当都市を再度訪れた。あいにく雪もようで教会の塔に登ったときには寒さでガタガタ震えていた。 塔の頂上にはドイツで最後と言われる塔守りのおじいさん (『ゴルゴ13』に何度か出てくる腕扱きのガンスミス、 デイブに似ている)がおり、私の顔を見てヤパーナーかと問い、気の毒に思ったのか、 塔の私室に招じ入れて熱いコーヒーをごちそうしてくれた。会話の内容はほとんど覚えていないが、 心身ともに温まり、部屋を辞する際に心付けを5マルク(当時約300円、塔の入館料は2マルク) 差し上げた。今にして思うとその2倍位は差し上げても良かったかと思う。 10年程して再訪した折りには塔に彼の姿はもう見えなかっただけに、少しばかり心残りである。