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教員一覧

教員のよこがお

歴史科学 ヨーロッパ史学 ヨーロッパ史

教授有光 秀行
ありみつ ひでゆき

博士(文学)。
東京大学大学院人文科学研究科・西洋史学専門課程・博士課程単位取得退学。 高知大学人文学部教官を経て現職。その間グラースゴウ大学客員研究員(1995年)。 著書に『中世ブリテン諸島史研究』(刀水書房、2013年)がある。 [主要担当科目]ヨーロッパ史概論、同各論、同基礎講読、同演習、など。

研究者データベース
有光 秀行

回顧と展望・落語と教育編

 戦後歴史学を牽引したヨーロッパ史研究者の大塚久雄は、講義をするときの話術の参考になるからと、寄席に通っていたそうである。 私も学生のときずいぶん落語を聴いたが、それはこの碩学にならって・・・ではなく、五代目柳家小さんや十代目金原亭馬生をはじめとする当時の名人たちの藝に魅せられ、また師弟・兄弟弟子など、彼ら独自の人間関係に興味を引かれてのことであった。 さて初めて寄席に出かけた日の記憶は、今でも鮮明である。番組が進み、立川談志が上がった。演目は「付き馬」、無銭で遊興した男が、店から付いてきた取り立て人までだます、ひどい話である。 しかし、「人間の業を肯定するのが落語」と看破する談志の人物造形は客の心を鷲掴みにし、満座を魅了しきって彼は高座をおりた。 興奮冷めやらぬ客席に、次の出ばやしが響く。 この日のトリ、談志の弟子のものだ。 師匠の大熱演をうけて、弟子も奮闘したが、両者の力量の差も明白であった。 なんと厳しい教育かと、慄然とした。 だがその後、落語の世界に触れ続ける中で、気がついた。厳しくするのも、談志の弟子への信頼と愛情があればこそ、そして弟子が試練を受け入れるのも、師匠への信頼と愛情があればこそだったのだろう、と。 「教育」を考えるとき、いつも思い出すータである。

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