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教員一覧

教員のよこがお

人間科学 人間文化科学 文化人類学

研究室恒例カレーパーティーでの一コマ
研究室恒例カレーパーティーでの一コマ
准教授川口 幸大
かわぐち ゆきひろ

文学博士。
東北大学大学院文学研究科修了。国立民族学博物館機関研究員を経て現職。
専攻は文化人類学。 著書に『東南中国における伝統のポリティクス―珠江デルタ村落社会の 死者儀礼・神祇祭祀・宗族組織』、 共編著に『現代中国の宗教―信仰と社会をめぐる民族誌』『中国における社会主義的近代化―宗教・消費・エスニシティ』。
[主要担当科目]文化人類学実習、文化人類学研究演習
http://www.sal.tohoku.ac.jp/anthropology/kawaguchi.html

研究者データベース

親族と儀礼から中国社会を考える

 目覚ましい経済発展をとげる中国。テレビや新聞、あるいはネット上で、 中国についての話題を目にしない日はないと言ってもよいほどです。 しかし、ここ数年の両国間のニュースを見ていると、同じ東アジアの国なのに、 というナイーヴな近親感の反動でもあるかのような違和感で充ち満ちているように思えます。 はたしてわたしたちは、過度の同一視や他者化に陥ってしまうことなく、 その隣国に生きる人々のことをどれくらい理解できているのでしょうか?

 たとえば日本に暮らすわたしたちが彼岸やお盆に墓参りをするように、 中国の人々も清明節と呼ばれる4月初旬の祭日には墓に赴き、祖先祭祀を行います。 そのとき日本では、お墓の前で線香を上げ、花をたむけ、 静かに故人を偲ぶのが一般的ではないでしょうか。 これに対して、特に中国の農村部では、豚の丸焼きや果物や饅頭などたくさんの食べ物を捧げ、 紙銭と呼ばれる、お金を模した紙製の祭祀用品を大量に燃やし、 最後に爆竹を鳴らして邪を払います。祖先を祭祀するという目的は同じでも、 その具体的な手順には大きな違いがあるのです。そして同時にまた、 その根底には、人は死んでもまったく無になってしまうのではなく、 あの世からわれわれ生者を見守ってくれているという共通の思想があるように思えます。

 一見異なって見えるものの中に相通じる点を、同じように思えるものの中に有意な違いを。 文化人類学は、その二つの間を行ったり来たりしながら、考える学問です。 他の誰かとともに生きてゆくために、大切な思考のプロセスではないでしょうか。

祖先の墓で紙銭を燃やす人々
祖先の墓で紙銭を燃やす人々