(注)東北大学では、セメスターに次のような番号をつけている。
4-9月 | 10-3月 | ||
1年次 | 1 | 2 | |
2年次 | 3 | 4 | |
3年次 | 5 | 6 | |
4年次 | 7 | 8 |
1. 基本方針
階層・階級とジェンダー、家族、政治意識などとの絡み合いについて、計量社会学的な方法でアプローチした研究を取り上げ、検討する。特に、Wright (2000) の Part 2, Part 3 を中心に、関連した文献も参照する。以上の検討にもとづき、利用可能な社会調査データを用いて先行研究の知見を追試するにはどのようにすればよいか、考察する。
第6セメスターの行動科学演習[をあわせて履修することが望ましい。
2. 教科書・参考書
【教科書】
3. 授業の進め方
(1) 教科書 (Wright 2000) の Part 2, Part 3 に収録された、階層・階級とジェンダーや家族、階級・階層意識に関する章(論文)をとりあげて、内容の把握、疑問・問題点の指摘と討論を行う。ひとつの章につき(長さに応じて)1〜3名の担当者を割り当て、内容と問題点などに関する報告をしてもらう。ひとつの章を複数名で担当する場合、機械的に分担してしまうのでなく、章全体の内容を担当者全員が把握し、各回の報告がつながるように、共同で勉強や報告の準備を行うこと。
(2) 階層・階級とジェンダーや家族、階級・階層意識に関するその他の先行研究(教科書に引用されているものや、上の参考文献リストに挙げたものなど)も参照しつつ、問題・課題の明確化を図る。
(3) 以上の考察を踏まえ、今後の研究の展望を考え、行動科学研究室で利用可能な社会調査データ(SSM調査、高校生調査、静岡女性調査など)を用いた追試を企画する。(第6セメスターの行動科学演習[で、実際に追試を行ってみることになる。)これが、受講生諸君の卒業研究・卒業論文につながることを期待している。
4. スケジュール(予定) ──────────────────────────────────────────── 回 月/日 内容 担当 ──────────────────────────────────────────── 1 4/11 授業計画の説明 2 18 報告準備・打ち合わせ 3 25 6 Conceptualizing the interaction of class and gender 5/ 2 (休講) 4 9 7 Individuals, families and class analysis (pp.125-134) 5 16 7 Individuals, families and class analysis (pp.134-145) 6 23 8 The noneffects of class on the gendered division of labor in the home 7 30 9 The gender gap in workplace authority (pp.159-168) 8 6/ 6 9 The gender gap in workplace authority (pp.168-182) 9 13 10 A general framework for studying class consciousness and class formation (pp.185-198) 10 20 10 A general framework for studying class consciousness and class formation (pp.199-215) 11 27 11 Class consciousness and class formation in Sweden, the United States and Japan (pp.216-224) 7/ 4 (大阪大学での集中講義のため休講) 12 11 11 Class consciousness and class formation in Sweden, the United States and Japan (pp.224-233) 13 18 11 Class consciousness and class formation in Sweden, the United States and Japan (pp.234-247) 25 (予備日) ──────────────────────────────────────────── *以上は当初の予定。受講希望者少数のため、内容を精選し、スケジュールを変更することにした。
5. レポート課題
5.1 課題
講義で取り上げた章(論文)や参考文献などを読んで、それがどのような課題に取り組み、何が明らかになり、どのような研究上の問題点が残されているかを考察する。
5.2 書式
ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。1頁あたり35行、1行あたり全角40字を目安とし、文字サイズ・マージンなどは見やすいように工夫する。この書式で5枚以上7枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。
5.3 提出期限と提出場所
2001年9月4日(火)まで。木村の研究室で木村に直接手渡すか、行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
金曜日、13:00-14:00とする。
6.2 成績評価
成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。
1. 基本方針
統計的手法は、行動科学の重要な方法のひとつである。しかしながら、統計的手法が誤った使われ方をすることも多い。そこでこの演習では、英文テキストとその邦訳を対照して読みながら、統計的手法の基礎に関する理解を深め、誤用を見抜く眼を養う。あわせて、新聞・雑誌の記事などから日本における例を探す。
このような作業を経験することによって身につけてほしいと期待しているのは、「情報」を的確に理解・評価する能力である。とりわけ、その中でも次の2つである。
(1) 統計的データを的確に分析し、その分析結果を的確に表現する能力
(2) 英語の文章を読み、その内容を日本語で的確に表現する能力
2. 教科書・参考書
【教科書】(生協文系書籍部・教科書売り場で原著・邦訳とも購入すること)
3. 授業の進め方
指定された章に関して、報告と討論を行なう (「4. スケジュール」を参照)。報告者は「レジュメ」を用意して、担当の章の内容を過不足なく紹介するとともに、疑問点や問題点などを指摘する(翻訳上の問題も含む)。報告者以外の受講生は、報告者に対し質問をし、議論に参加する。
さらに、各章の内容に関する報告の次の回の冒頭に、原則として自分が担当した章の内容にあてはまる具体例を紹介する。ここでの議論を参考に、さらに例を探したり考察を深めたりする。その作業にもとづいて、学期末にレポート課題に関する中間報告を全員が行い、レポートを執筆する(「5. レポート課題」を参照)。
注意
レジュメは、原書の「直訳」や邦訳の単なる引用・丸写しではいけない。翻訳のしかたやプレゼンテーション技術に関する参考書を読み、そこに書かれていることを活かす形でレジュメを作成すること。
4. スケジュール ──────────────────────────────────────── 回 月/日 内容(テキストの章など) 担当 ──────────────────────────────────────── 1 4/10 授業計画の説明、担当の決定、Introduction 2 17 発表の打ち合わせ 3 24 1. The Sample with the Built-in Bias 5/ 1 (休講) 4 8 1章の例 2. The Well-Chosen Average 5 15 2章の例 3. The Little Figures That Are Not There 6 22 3章の例 4. Much Ado about Practically Nothing 5. The Gee-Whiz Graph 7 29 4章・5章の例 6. The One-Dimensional Picture 7. The Semiattached Figure 8 6/ 5 6章・7章の例 8. Post Hoc Rides Again 9 12 8章の例 9. How to Statisticulate 10 19 9章の例 10. How to Talk Back to a Statistic 11 26 10章の例 レポート課題の報告(1) 7/ 3 (木村が大阪大学で集中講義のため休講) 12 10 レポート課題の報告(2) 13 17 レポート課題の報告(3) 24 (予備日) ────────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
教科書(および上述の参考文献など)の論述を参考にして、新聞記事・雑誌記事・書籍・学術論文などの中から統計的手法の誤った使用例(複数でもよい)を探し、それがどのような意味で間違っているのかについて考察する。さらに、それを具体的にどのように改善していけばよいのかについても検討する。
5.2 書式
できる限りワープロを使用してほしいが、使用不可能な場合には手書きでもよい。いずれの場合でも枚数制限はない。
ワープロを使用する場合、A4判の上質紙に横書きで印字する。1頁あたり35行、1行あたり全角40字を目安とし、文字サイズ・マージンなどは見やすいように工夫する。
手書きの場合、A4判のレポート用紙を用いる。
なお、グラフを手書きで描く場合には、グラフ用紙を使用し正確に描くこと。
5.3 提出期限と提出場所
2001年 9月 3日(月)、17:00 まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
*曜日、**:**-**:**とする。この基礎演習の内容に関する質問、報告にあたっての相談などがある場合には、オフィスアワーを活用してほしい。なお、できる限り事前にアポイントメント(予約)をとるようにしていただきたい。
6.2 成績評価
成績は、報告やレポートの評価、出席状況などにもとづいて総合的に判断する予定である。
内容の概略等
数学的なモデルを構築・解析することによって社会のメカニズムを探ることが、数理社会学のめざすところである。この講義では、身近なところに見られる社会現象を取り上げ、簡単な(初歩的な)数学を用いてそのモデルを定式化し、そこから論理的帰結(デリベーション、インプリケーション)を導く、という作業を実際に経験してもらう。さらに、この作業をふまえ、数理社会学の意義と課題について考察してほしいと考えている。
1. イントロダクション:数理モデル構築と解析の流れ 2. 階層と友人選択:確率、数列と級数の応用(1) 3. テニスのルールは公平か:確率、数列と級数の応用(2) 4. 階層と友人選択・再考:マルコフ連鎖の応用(1) 5. 態度変容と学習:マルコフ連鎖の応用(2) 6. 集団目標の実現と集団規模:微分、最大化の応用(1) 7. 仕事か家庭か:微分、最大化の応用(2) 8. 取引と信頼:繰り返し「囚人のジレンマ」ゲーム 9. 職業的地位の分布 10. 優越関係のネットワーク 11. その他の代表的な数理モデル 12. まとめ:数理社会学の意義と課題
テキスト(教科書)
参考文献
成績評価
成績評価はレポートおよび授業での活動にもとづいて行う。
備考
特になし。
1. 講義の概要
(1) 現代社会における不思議な社会現象や社会問題の発見、(2) それを生み出すメカニズムやプロセスの解明、(3) 問題の解決策の模索、ということをめざすのが社会学である。社会学的研究の具体的な例を取り上げ、それらがこのねらいにどのような方法で取り組み、どのような成果を上げたのかを解説する。それによって現代社会の分析の基本的な考え方を伝えたい。社会学的な考え方が、皆さんの生活の中で何らかの役に立てば幸いである。
教科書として、
2. 講義内容(日時・内容等を変更する場合があるので注意すること) ────────────────────────────────────── 回 日付 内容 ────────────────────────────────────── 1 4/17 イントロダクション(1) 2 24 イントロダクション(2) 3 5/ 1 1章 予言の自己成就 4 8 15章 豊かさの中の自殺(1) 15 (創立記念日) 5 22 15章 豊かさの中の自殺(2) 6 29 9章 相対的剥奪の考え方 7 6/ 5 8章 逸脱とラベリング(1) 8 12 8章 逸脱とラベリング(2) 人はなぜ犯罪をしないのか:「社会的絆」の理論 9 19 4章 官僚制の逆機能(1) 10 26 4章 官僚制の逆機能(2) 7/ 3 (木村の都合により休講予定) 11 10 有配偶女性の学歴・就業・性別役割意識の間の奇妙な関係(1) 12 17 有配偶女性の学歴・就業・性別役割意識の間の奇妙な関係(2) ────────────────────────────────────── 注:第8回(6/12)の一部、第11回(7/10)・第12回(7/17)の話は、 教科書にないものである。
3. 講義の進め方(基本方針)
おおよそひとつの章につき2回で講義する。(ただし、教科書にない話をする回もある。)
「暗記」は要求しない。「考える」ことを心がけてほしい。教科書(あるいは配付資料など)の「問」について各自考え、また周囲にいる人と討論していただきたい。講義の時間中に「問」について考えたことを紙に書いて提出してもらう予定である。提出用の紙は、受講生が少なければ木村が用意するが、受講生が多い場合には各自がB5判のレポート用紙を持参してそれを用いてほしいと考えている。
なお、「予習」も、事前に教科書に目を通してくるだけというのなら必要ない(むしろしないでほしい)。しかし、教科書の「問」に対してじっくりと考え、その考えを授業のときに発表したいというのなら歓迎する。
質問や議論も大歓迎である。講義の途中でも、どしどし口をはさんでほしい。
4. 試験について
7月下旬の試験期間中に試験を実施する。具体的なことについては、後日、講義の中で指示する。
なお、成績は、この期末試験の評価と出席状況とにもとづいて、総合的に判断してつける予定である。