木村邦博 2005年度の授業のシラバス (Last Updated 10/03/05)

(注)東北大学では、セメスターに次のような番号をつけている(学部・大学院それぞれ)。

4-9月 10-3月
1年次   1   2
2年次   3   4
3年次   5   6
4年次   7   8


計量行動科学特論/行動科学各論
「合理的選択理論による、社会階層の実証的研究の可能性」
(大学院博士前期課程向け第2セメスター/3・4年生向け第6・8セメスター 木曜日 10:30-12:00)

1. 基本方針
 近年、合理的選択理論と社会調査研究とを結びつける形で行動科学的研究を発展させようという機運が世界的に高まっている。この授業では、その中でも、社会階層や集合行為の問題に関する研究に注目し、先駆的業績のひとつであるマイケル・ヘクター (Michael Hecter) の「集団連帯の理論」とその実証的な応用(社会調査データの2次分析など)を中心に検討する。これを通して、合理的選択理論による、社会階層の実証的研究の可能性を追究してみたい。
 ただし、ヘクターの議論は多岐にわたっており、社会階層の実証的研究への展開可能性については、断片的な形としてしか論じていない。また、一見、合理的選択理論にもとづいた社会階層の社会調査研究と関係がないかに見えるような(しかしじっくりと考えればそのような研究とつながってきそうな)部分も多い。そのため、受講生諸君の中には、「回り道をしていて本題からはずれているのではないか」という印象を持つ人もいるかもしれない。その場合でも、上記のようなこの授業の目標を常に意識しつつ、同時に「回り道」に思える部分をも楽しむような気分で取り組んでいただければ幸いである。
 なお、行動科学概論を履修していることが望ましい。

2. 教科書・参考書
2.1 教科書

※学部学生は邦訳書を購入するだけでよい。大学院生には、邦訳書だけでなく原著も購入することを期待したい。
2.2 参考書
 講義の中で随時紹介する。

3. 授業の進め方
 1回につき教科書のひとつの章を順に取り上げ、木村が用意した配付資料にもとづいて、その章の内容の解説を(翻訳作業にあたって盛り込めなかった話題などにも触れながら)行う。この解説を契機として、受講生の皆さんとともに、内容の理解を深めたり、今後の展開を考えたりする方向で、議論をすることができればと考えている。

4. スケジュール(予定)


────────────────────────────────────────
 回  月/日         内容(予定)
────────────────────────────────────────
  1  10/ 6    授業計画の説明
  2     13    第1章 イントロダクション
  3     20    第2章 問題
  4     27    第3章 集団連帯の理論
  5  11/10    第4章 フォーマルなコントロールの必要性
        17    (集中講義のため休講)
  6     24    第5章 依存と政党連帯
  7  12/ 1    第6章 フォーマルなコントロールの創出
  8      8    第7章 資本主義社会の企業における補償の限界
  9     15    第8章 意図を持って作られたコミュニティにおけるコントロール費用
                      の節約
 10   1/12    第9章 結論
 11     19    総合討論(関連文献の紹介を含む)
        26    (予備日)
────────────────────────────────────────

5. レポート課題
5.1 課題
(1) 学部学生の場合
 教科書の中からひとつの章を取り上げ、そこでの議論に関して、授業中での討論を参考にしながら紹介とコメントを行う。できれば、そのコメントは、授業で目標としている「合理的選択理論と社会調査研究とを結びつける形での社会階層研究の展開」につながるものであることが望ましい。
(2) 大学院生の場合
 教科書の議論を展開したり批判したりしている英語論文を検索し、その論文の紹介とコメントを行う。できれば、そのコメントは、授業で目標としている「合理的選択理論と社会調査研究とを結びつける形での社会階層研究の展開」につながるものであることが望ましい。
5.2 書式
 ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。(枚数が多くなる分にはかまわないが、あまり散漫になるのも考えものなので、一応この程度とする。)
レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
 2006年2月8日(水)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 *曜日、**:**-**:**とする。
6.2 成績評価
 成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。


計量行動科学研究演習/行動科学演習
「家族、職業、社会意識に関する行動科学的研究」
(大学院博士前期課程向け第1セメスター/3・4年生向け第5・7セメスター 月曜日 13:00-14:30)

1. 基本方針
 市場経済の発展により、結婚や家族に関する考え方やその形態自体、女性の学歴水準や女性の職業生活などに大きな変化がもたらされたといわれている。この演習では、これらの変化について、日本・韓国・アメリカ合衆国で蒐集された社会調査データの多変量解析による分析をもとに検討した英語文献を読む。そのことを通して、家族・職業・社会意識に関する行動科学的研究の動向を学び、今後どのような研究が必要かを検討する。同時に、学術的な英語文献の読解力、行動科学的思考法、重回帰分析・ロジスティック回帰分析などの多変量解析の手法を身につけていただければ幸いである。
 なお、学部生の場合、第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」をあわせて履修することが望ましい。

2. 教科書・参考文献
【教科書】

【参考文献(木村の観点からみて主なもの;ほかにもまだまだある)】
(1) 家族・職業・社会意識に関するもの
(2) 教科書で使われている多変量解析の手法に関するもの

3. 授業の進め方
(1) 教科書 (Tsuya and Bumpass 2004) の指定された章を取り上げ、内容の把握、疑問・問題点の指摘と討論を行う。ひとつの章につき(参加者数、長さや内容などに応じて)1〜3名の担当者を割り当て、内容と問題点などに関する報告をしてもらう。ひとつの章を複数名で担当する場合、機械的に分担してしまうのでなく、章全体の内容を担当者全員が把握し、各回の報告がつながるように、共同で勉強や報告の準備を行うこと。
(2) 学部生の場合、広く階層・階級とジェンダーや家族、階級・階層意識に関するその他の先行研究(教科書に引用されているものや、上の参考文献リストに挙げたもの、各自が文献検索をして見つけたものなど)も参照しつつ、問題・課題の明確化を図る。大学院生の場合には、さらに、このテーマに関してどのような計量的研究が行われているかを調べるとともに、自分が利用可能な調査データで追試や展開を試みてみるとよいだろう。
(3) 学部生の場合、以上の考察を踏まえ、今後の研究の展望を考え、行動科学研究室で利用可能な社会調査データ(SSM調査、高校生調査、静岡女性調査など)を用いた追試を企画する。(第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」で、実際に追試を行ってみることになる。)これが、受講生諸君の卒業研究・卒業論文につながることを期待している。
(4) 学部4年生に関しては、自分の卒業研究・卒業論文との関連を意識し、随時、卒業研究・卒業論文の進行状況報告をしていただきたい。大学院生からは先輩としてのアドバイスを期待したい。学部3年生には、学部4年生の姿を手本として自分の卒業研究・卒業論文について考える機会としていただきたい。

4. スケジュール(予定)


───────────────────────────────────────
 回  月/日         内容                                                  担当
───────────────────────────────────────
  1   4/11    授業計画の説明
  2     18    研究報告(4年生)
  3     25    Chapter One: Introduction
      5/ 2    (休講予定)
  4      9    Chapter Two: Attitudes Relationg to Marriage and Family
              Life
  5     16    Chapter Three: Views of Marriage among Never-Married
              Young Adults
  6     23    研究報告(4年生)
  7     30    Chapter Four: Intergenerational Relations
  8   6/ 6    Chapter Five: Investments in Children's Education, Desired
              Fertility, and Women's Employment
  9     13    研究報告(4年生)
 10     20    Capter Six: Employment
 11     27    Chapter Seven: Gender and Housework
      7/ 4    Chapter Eight: The Family in Comparative Perspective
 12     11    研究報告(4年生)
 13     25    (予備日)
───────────────────────────────────────
 *内容・日程については、参加者数などに応じて変更することもある。

5. レポート課題
5.1 課題
(1) 学部学生の場合
 自分が担当した章(のうちひとつ)について、(もちろん他の章や他の文献との関係を意識しながら)内容の要約とコメントを行う。ただし、そのコメントは、今後(自分や他の人が)どのような研究をしていけばよいのか、ということを考える上で建設的なものであること。(この課題に取り組むことで、既存の研究をもとに自分がどのように研究を展開していけばよいのか、というイメージをつかんでいただければ幸いである。)
(2) 大学院生の場合
 「2. 教科書・参考書」の「参考文献(主なもの)」にあげたものや自分で検索した関連文献のうち、英語で書かれた文献(邦訳のあるものを除く)をひとつ(階層・階級・ジェンダー・家族と階層意識に関連する部分に限る;編著の場合は全体でなく収録論文ひとつでもよい)を選び、その紹介を行うとともに、それがこれまでの研究の歴史の中で持っている意味と、今後の研究の展開にとって持つ意義について考察する。(もちろん、執筆の過程で他の文献を参照することはかまわないし、むしろ推奨したい。)さらに、できる限り、自分が利用可能な調査データで追試や展開を試みてみる。
5.2 書式
 ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。(少々長くなる分にはかまわないが、冗長になりすぎるのも問題なので、一応この枚数を目安とする。)
 レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
 2005年9月1日(木)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 *曜日、**:**-**:**とする。
6.2 成績評価
 成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。
6.3 夏休みにしておいてほしいこと
 (学部生が第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」を履修する場合)
 第6セメスターの行動科学演習「階層意識の計量分析」を履修する意思のある人は、夏休み中に、階層・階級、ジェンダー、家族などと階層意識に関する文献を自分で検索し、興味を持ったものを読み、利用可能な社会調査データを用いて先行研究の知見を追試するにはどのようにすればよいか、あらかじめ予備的な検討をしておいてほしい。さらに、それと自分自身の卒業研究・卒業論文の構想とがどのように関連するかについても、考えてほしい。
 もちろん、夏休み中でも随時相談に乗るので、分からないことなどがあれば、木村の研究室に(アポイントメントを取った上で)来ていただければ幸いである。


計量行動科学研究演習
「社会調査法への認知科学的アプローチ」
(大学院博士前期課程向け第1セメスター 水曜日 10:30-12:00)

1. 基本方針
 近年、認知科学・認知心理学の方法や成果をもとに、社会調査法に反省・検討を加ようという試みが行われるようになってきた。そのひとつの流れが、教科書として取り上げるSirken, et al. (1999) などの CASM (Cognitive Aspects of Survey Methodology) である。このような研究動向についてレビューするとともに、そこでの知見を社会調査の現場(企画・準備・実査から成果報告に至るまでのプロセス)に実践的に活かす道を探究する。(あわせて、このアプローチから調査者−被調査者関係に関してどのような洞察が得られ、それが社会調査の倫理の問題について考える際にどのように役立つかも検討する。)

2. 教科書・参考書
2.1 教科書

2.2 主な参考書
  • 池田謙一. 2000. 『コミュニケーション』(社会科学の理論とモデル 5) 東京大学出版会.
  • 井上毅・佐藤浩一 (編著). 2002. 『日常認知の心理学』 北大路書房.
  • Johnson-Laird, Philip N. 1983. Mental Models: Towards a Cognitive Science of Language, Inference, and Consciousness. Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press. 海保博之監修(AIUEO訳) 『メンタルモデル−言語・推論・意識の認知科学−』 産業図書 1988.
  • 守一雄・都築誉史・楠見孝 (編著). 2001. 『コネクショニストモデルと心理学−脳のシミュレーションによる心の理解−』 北大路書房.
  • 日本認知科学会 (編). 2002. 『認知科学辞典』共立出版.
  • Pylyshyn, Zenon W. 1985. Computation and Cognition: Toward a Foundation for Cognitive Science, 2nd ed. Cambridge, Massachusetts: MIT Press. 佐伯胖監訳(信原幸弘訳) 『認知科学の計算理論』 産業図書 1988.
  • Thagard, Paul. 1996. Mind: Introduction to Cognitive Science. Cambridge, Massachusetts: MIT Press. 松原仁監訳(梅田聡ほか訳) 『マインド−認知科学入門−』 共立出版 1999.

3. 授業の進め方
 教科書のうち、Chaps. 6, 7, 8, 9, 10, 12, 13, 15, 16, 19, 20, 21 を取り上げて、内容の把握、疑問・問題点の指摘と討論を行う。ひとつの章につき1人の報告者が報告する。他の参加者も事前にその章を読んでおき、質問・コメントを行う。その上で、全員で討論する。
 以上の討論を踏まえ、社会調査の方法をどのように向上させていけばよいかについて、ともに考えて行きたい。。

4. スケジュール(予定)


────────────────────────────────────────
 回  月/日         内容(予定)
────────────────────────────────────────
  1  4/13  授業計画の説明、担当の決定
       20  報告の準備・相談
  2    27   6. Making Sense of Questions: An Interactional Approach
  3  5/11   7. The Respondent's Confession: Autobiographical Memory in
               the Context of Surveys
  4    18   8. Context Effects on Answers to Attitude Questions
  5    25   9. Is the Bandwagon Headed to the Methodological Promised
               Land? Evaluating the Validity of Cognitive Interviewing
               Techniques
  6  6/ 1  10. Income Reporting in Surveys: Cognitive Issues and
               Measurement Error
  7     8  12. A Linguistic Look at Survey Research
  8    15  13. The Use of Computational Cognitive Models to Improve
               Questions on Surveys and Questionaires
  9    22  15. Survey Error Models and Cognitive Theories of Response
               Behavior
 10    29 16. New Connectionist Models of Mental Representation:
               Implications for Survey Research
 11  7/ 6 19. Customizing Survey Procedures to Reduce Mesurement Error
 12    13  20. Visualizing Categorical Data
 13    20  21. Statistical Graphs and Maps: Higher Level Cognitive
               Processes
────────────────────────────────────────
 *参加者の人数に応じて、取り上げる章やスケジュールを変更することがある。

5. レポート課題
5.1 課題
 自分の担当した章のうちひとつについて、授業時間での討論を活かして、その内容を紹介するとともに、コメントを加えた文章を作成する。
5.2 書式
 ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で5枚以上8枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。(少々長くなる分にはかまわないが、冗長になりすぎるのも問題なので、一応この枚数を目安とする。)
 レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
 2005年9月1日(木)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 *曜日、**:**-**:**とする。
6.2 成績評価
 成績は期末レポートおよび授業での活動をもとに総合的に評価する。


行動科学演習
「階層意識の計量分析」
(3・4年生向け;第6・8セメスター 月曜日 13:00-14:30)

1. 基本方針
 階層帰属意識、満足感、不公平感、政治意識、学歴意識、性別役割意識など、広い意味での階層意識について、既存の社会調査データの計量分析(「2次分析」)を通して探求を行う。先行研究を検討し、問いや疑問(「なぜ?」)を明確化し、適切なデータセットを選択し、仮説を構築し、その仮説から導かれた予想がデータの統計的分析から支持されるか確かめる。さらに、その成果を、最終的に「報告書」の形にまとめる。このようにして、社会調査データの統計的分析を用いた研究のイメージを体得してもらうことも、この演習のねらいに含まれる。
 人文統計学・行動科学基礎実習などデータ分析に関する授業を履修していることを前提にする。第5セメスターの行動科学演習「家族、職業、社会意識に関する行動科学的研究」を履修していたことが望ましい。

2. 主な参考文献

3. 授業の進め方
 学部3年生に対して期待するのは以下のようなことである。前期の行動科学演習での勉強をふまえ、また夏休み中に読んでおいた文献などもふまえ、先行研究を検討し、各自の研究テーマ・課題を確定するとともに、今後の展望を考える。さらに、行動科学研究室で利用可能な社会調査データ(SSM調査、高校生調査、静岡女性調査など)を用いた追試を企画・実施する。中間報告と最終報告で、その成果を報告する。その際、先行研究でどのような「問い」がたてられ、その問いに対してどのような方法でアプローチがなされ、どのようなことが明らかになったのか、また依然として明らかになっていないのはどのようなことであり、その解明にはどのようなことが必要か、といったことをじっくりと考えて分析・考察を行っていただきたい。この演習での経験が、受講生諸君の卒業研究・卒業論文につながることを期待している。
 学部4年生に関しては、随時、卒業研究・卒業論文の進行状況報告をしていただきたい。学部3年生に対してよき手本となることを目指してほしい。また、適宜、3年生のデータ分析に対してアドバイスをしていただければ幸いである。

4. 利用可能な社会調査データについて
(1) 社会階層と社会移動全国調査(SSM調査:1955, 1965, 1975, 1985, 1995)
 日本の階層構造と階層意識に関する代表的な継続的調査研究。1955年から10ごとに実施されている。女性が対象に含まれるようになったのは1985年調査から。直井優ほか (1990)、盛山和夫ほか (1998)、盛山和夫ほか (2000)、富永健一 (1979) などを参照。
(2) 教育と社会に対する高校生の意識調査(高校生調査:第1次〜第4次)
 宮城県内(第2次は仙台圏以外、それ以外は仙台圏)の高校生とその両親を対象。調査項目は、進路志望、不公平感、文化資本、性別役割意識(第3次調査以降)、学習意識(第4次調査のみ)など。詳しくは、東北大学文学部教育文化研究会 (1988)、海野道郎・片瀬一男 (1990)、鈴木昭逸・海野道郎・片瀬一男 (1996)、片瀬 (2001) を参照。
(3) 現代女性の生活と意識に関する調査 (1992, 1993)
 静岡市内の既婚女性で、夫が生存しており、末子が小学校在学中の人を対象。調査項目は、家庭生活(家事分担など)、社会的ネットワーク、階層意識(階層帰属意識、不公平感など)、性別役割意識、ほか。詳しくは、木村・野沢 (1994) を参照。

5. スケジュール(予定)


────────────────────────────────────────
 回  月/日         内容
────────────────────────────────────────
  1  10/ 3    授業計画の説明
  2     17    卒業研究・卒業論文の進行状況の報告(4年生2名)
  3     24    先行研究の検討と課題設定に関する報告(1)
  4     31    先行研究の検討と課題設定に関する報告(2)
  5  11/ 7    卒業研究・卒業論文の進行状況の報告(4年生2名)
        14    (集中講義のため休講)
  6     21    利用可能な既存データによる先行研究の追試(1)
  7     28    利用可能な既存データによる先行研究の追試(2)
  8  12/ 5    中間報告
  9     12    利用可能な既存データによる先行研究の追試(3)
 10     19    利用可能な既存データによる先行研究の追試(4)
 11   1/16    最終報告(1)
 12     23    最終報告(2)
        30    (予備日)
────────────────────────────────────────

6. レポート課題
6.1 課題
 階層帰属意識、満足感、不公平感、政治意識、学歴意識、性別役割意識など、広い意味での階層意識について、各自の研究テーマに関する先行研究の知見を追試した結果について、報告し、考察を行う。
6.2 書式
 ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。(枚数が多くなる分にはかまわないが、あまり散漫になるのも考えものなので、一応この程度とする。)
 レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
6.3 提出期限と提出場所
 2006年2月7日(火)まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。

7. その他
7.1 オフィス・アワー
 *曜日、**:**-**:**とする。積極的に相談に来ていただければ幸いである。
7.2 成績評価
 成績は、レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に判断する。


行動科学基礎演習
「行動科学的研究の基礎:計量分析と合理的選択理論にもとづく社会階層研究入門」
(2年生向け;第4セメスター 金曜日 10:30-12:00)

1. 基本方針
 私たちが生きている社会には、職業・学歴・所得・財産所有などにもとづく格差がある。社会はそれらの基準によって「階層化」されている、と言ってもよい。このような意味での社会階層に関する研究は、行動科学研究室が取り組んでいることのひとつである。社会階層の研究は、近年、大規模な社会調査(国際比較も含む)によって得られたデータの計量的・統計的分析と、個人の行為選択に関する理論(合理的選択理論)とを結びつけるような形で展開しつつある。このような研究動向をふまえ、社会階層に関して、大規模調査データの計量的分析と合理的選択理論による説明との両方の観点からアプローチした英文の入門書を読みながら、行動科学的研究の基礎と英語文献の読み方を学ぶことを目標とする。
 なお、文学部学生であれば1年次に受講した英語原書講読入門で身につけた英文読解力をフルに活用してほしい。

2. 教科書・参考書
【教科書】

【参考書(主なもの)】
  • Boudon, Raymond. 1973. L'inégalité des chances. Paris: Armand Colin. 『機会の不平等─産業社会における教育と社会移動─』 杉本一郎・山本剛彦・草壁八郎訳 新曜社 1983.
  • ────. 1979. La logique du social. Paris: Hachette. [The Logic of Social Action: An Introduction to Sociological Analysis, translated by David Silverman with the assistance of Gillian Silverman. London: Routlege & Kegan Paul. 1981.]
  • ────. 1982. The Unintended Consequences of Social Action. London: Macmillan.
  • Coleman, James S. 1990. Foundations of Social Theory. Cambridge, Massachusetts: Belknap Press. 『社会理論の基礎』(上) 久慈利武監訳 青木書店 2004 [原著第1章から第12章までの訳].
  • Coleman, James S., and Thomas J. Fararo, eds. 1992. Rational Choice Thery: Advocacy and Critique. Newbury Park, California: Sage.
  • Collins, Randall. 1994. Four Sociological Traditions. New York: Oxford University Press. 『ランドル・コリンズが語る社会学の歴史』 友枝敏雄訳者代表 有斐閣 1997.
  • Elster, Jon. 1989. Nuts and Bolts for the Social Sciences. Cambridge: Cambridge University Press. 『社会科学の道具箱─合理的選択理論入門─』 海野道郎訳 ハーベスト社 1997.
  • Goldthorpe, John H. 2000. On Sociology: Numbers, Narratives, and the Integration of Research and Theory. New York: Oxford University Press.
  • 原 純輔・盛山和夫. 1999. 『社会階層─豊かさの中の不平等─』 東京大学出版会.
  • 橋本健二. 1999. 『現代日本の階級構造─理論・方法・計量分析─』 東信堂.
  • Hechter, Michael, and Satoshi Kanazawa. 1997. "Sociological Rational Choice Theory," Annual Review of Sociology. 23:191-214.
  • 鹿又伸夫. 2001. 『機会と結果の不平等─世代間異動と所得・資産格差─』 ミネルヴァ書房.
  • 直井 優・原 純輔・小林 甫(編). 1986. 『社会階層・社会移動』(リーディングス日本の社会学 8) 東京大学出版会.
  • 直井優ほか(編). 1990. 『現代日本の階層構造』(全4巻) 東京大学出版会.
  • 盛山和夫ほか(編). 2000. 『日本の階層システム』(全6巻) 東京大学出版会.
  • 富永健一(編). 1979. 『日本の階層構造』 東京大学出版会.
  • Wright, Erik Olin. 1997. Class Counts: Comparative Studies in Class Analysis. New York: Cambridge University Press.
  • ────. 2000. Class Counts, student edition. New York: Cambridge University Press.

3. 授業の進め方
 指定された章に関して、報告と討論を行なう (「4. スケジュール」を参照)。報告者は「レジュメ」を用意して、担当の章の内容を過不足なく紹介するとともに、疑問点や問題点などを指摘する。報告者以外の受講生は、報告者に対し質問をし、議論に参加する。

注意
レジュメは、原書の「直訳」ではいけない。翻訳のしかたやプレゼンテーション技術に関する参考書を読み、そこに書かれていることを活かす形でレジュメを作成すること。

4. スケジュール(予定)


────────────────────────────────────────
  回  月/日         内容(テキストの章など)                          担当
────────────────────────────────────────
   1  10/ 7   授業計画の説明、担当の決定
   2     14   発表の準備・打ち合わせ
   3     21   1. Making sense of stratification
   4     28   2. Startification theories
              (Introduction 〜 Richard Scase: A pragmatic Marxist)
      11/ 4   (大学祭のため休講)
   5     11   2. Stratification theories
              (Frank Parkin's bourgeois critique of Marxist class
               theory 〜 Conclusion: What a theory of class should
               tell us)
   6     18   3. Class classifications
   7     25   4. Class structure in advanced sosieties: Patterns and
              variations
   8  12/ 2   5. Social mobility
   9      9   6. Class in geographical perspective
  10     16   7. Challenges to class analysis
              (Introduction 〜 Status attainment research)
  11   1/ 6   7. Challenges to class analysis
              (Class and race 〜 Conclusions)
  12     13   8. Class and social power
  13     20   総合討論
         27   (予備日)
────────────────────────────────────────

5. レポート課題
5.1 課題
 自分が担当した章(のうちひとつ)について、(もちろん他の章や他の文献との関係を意識しながら)論点を絞って内容の要約とコメントを行う。(どの部分が内容の要約で、どの部分が自分の意見であるかを、全体として明確に書き分けること。)
5.2 書式
 原則としてワープロを使用すること。『行動科学研究マニュアル』の「卒研報告・修士論文執筆要項」に準じた書式とする。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。枚数制限はない。
 図表は、できる限り本文中に挿入。レポートの冒頭には、タイトル、執筆者の学籍番号・氏名、提出日を記しておく(枚数に含まれる)。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
 2006年 2月 6日(月)、17:00 まで。行動科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 *曜日、**:**-**:**とする。この基礎演習の内容に関する質問、報告にあたっての相談などがある場合には、オフィスアワーを活用してほしい。なお、できる限り事前にアポイントメント(予約)をとるようにしていただきたい。
6.2 成績評価
 成績は、報告やレポートの評価、出席状況などにもとづいて総合的に判断する予定である。


研究課題] [編著書・論文等] [略歴] [シラバス] [その他

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