木村邦博 2014年度の授業のシラバス (Last Updated 04/01/14)

(注)東北大学では、セメスターに次のような番号をつけている(学部1年次から4年次まで)。

4-9月 10-3月
1年次   1   2
2年次   3   4
3年次   5   6
4年次   7   8


計量行動科学研究演習I
「『家族構造と子ども』の計量分析」
(大学院博士前期課程向け第1学期 木曜日 10:30-12:00)

1. 基本方針
 「家族構造と子ども」 に関して計量行動科学的方法でアプローチした研究を取り上げ、検討する。特に、海外における代表的な文献を読み、この分野の研究動向を学ぶとともに、今後どのような研究が必要かを考える。同時に、学術的な英語文献の読解力、行動科学的思考法、重回帰分析・ロジスティック回帰分析・ログリニアモデル・潜在クラスモデル・構造方程式モデリング・イベントヒストリー分析などの多変量解析の手法を身につけることをめざす。
 なお、この科目は専門社会調査士資格認定科目Iに対応している。

2. 使用文献・参考文献
 「教科書」という形のものは用いない。以下に挙げるような学術論文を検討の対象として用いる。また、参考文献も例示しておく。

【学術論文(演習の中で検討するもの)】

【参考文献(木村の観点からみて主なもの;ほかにもまだまだある)】

(1) 「家族構造と子ども」に関するもの
(2) 検討対象の学術論文で使われている多変量解析の手法に関するもの

3. 授業の進め方
(1) この授業で取り上げる学術論文について、内容の把握、疑問・問題点の指摘と討論を行う。ひとつの論文につき(参加者数、長さや内容などに応じて)1〜2名の担当者を割り当て、内容・分析手法と問題点などに関する報告をしてもらう。ひとつの論文を複数名で担当する場合、機械的に分担してしまうのでなく、論文全体の内容を担当者全員が把握し、各回の報告がつながるように、共同で勉強や報告の準備を行うこと。
 報告と討論は、各論文について2回に分けて行う。そのうち第1回目は、内容について理解を深め、問題点や今後の課題について考えることを目的とする。第2回目は、特に、用いられている計量分析の手法について、報告者から解説をしてもらい、そのほかの人から質問などをしてもらう中から、その手法の特徴や用途などについて参加者全員が把握することを目指す。
(2) このテーマに関してどのような計量的研究が行われているかをさらに調べるとともに、自分が利用可能な調査データで追試や展開を試みてみていただければ、幸いである。


4. スケジュール(予定)

───────────────────────────────────────────
 回  月/日         内容                                                        担当
───────────────────────────────────────────
  1   4/10  授業計画の説明、担当の決定
        17  報告の準備、相談。
  2     24  Park (2007): 内容理解
      5/ 1  (休講予定)
  3      8  Park (2007): 方法的検討(重回帰分析)
  4     15  Park (2008): 内容理解
  5     22  Park (2008): 方法論的検討(ロジスティック回帰分析)
  6     29  Biblarz and Raftery (1993): 内容理解
  7   6/ 5  Biblarz and Raftery (1993): 方法論的検討(ログリニアモデル)
  8     12  Chan and Koo (2011): 内容理解
  9     19  Chan and Koo (2011): 方法論的検討(潜在クラスモデル)
 10     26 Amato and Sobolewski (2001): 内容理解
 11   7/ 3  Amato and Sobolewski (2001): 方法論的検討(構造方程式モデリング)
 12     10  Wu and Martinson (1993): 内容理解
        17  (木村が学会出張のため休講)
 13     24  Wu and Martinson (1993): 方法論的検討(イベントヒストリー分析)
───────────────────────────────────────────
   *内容・日程については、参加者数・集中講義日程などに応じて変更することがある。

5. レポート課題
5.1 課題
 英語で書かれた関連文献(「2. 教科書・参考書」の中で参考文献(1)としてあげたものでもよい;ただし、邦訳のあるものを除く)を自分で検索し、そのうちのひとつ(特に「家族構造と子ども」の計量分析にもとづくものに限る;編著の場合は全体でなく収録論文ひとつでもよい)を選び、内容と計量分析手法の両方についてその紹介を行うとともに、それがこれまでの研究の歴史の中で持っている意味と、今後の研究の展開にとって持つ意義について考察する。(もちろん、執筆の過程で他の文献を参照することはかまわないし、むしろ推奨したい。)さらに、できる限り、自分が利用可能な調査データで追試や展開を試みてみる。

注意:近年のレポートには、レポート課題の趣旨から離れた内容や形式のものが見受けられることがある。専門社会調査士資格認定科目という性質から、このようなレポートの成績は「不可」とせざるを得ないので、注意してほしい。
5.2 書式
 ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。この書式で4枚以上6枚以内とする(引用文献リスト・図表を含む)。少々長くなる分にはかまわないが、冗長になりすぎるのも問題なので、一応この枚数を目安とする。
レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。
5.3 提出期限と提出場所
 2014年8月4日(月)まで。行動科学研究室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 随時。ただし、必ず事前に電子メールで予約を取ること。(口頭や電話等での予約は、記録が残らないのでご遠慮いただきたい。また、予約のない場合には対応できない。)
6.2 成績評価
 成績は期末レポートおよび授業での活動をもとに総合的に評価する。


計量行動科学研究演習II
「社会調査法への認知科学的アプローチ」
(大学院博士前期課程向け第2学期 木曜日 10:30-12:00)


行動科学概論
「社会調査の基礎」
(学部2年生向け第3セメスター 月曜日 16:20-17:50)

1. 基本方針
 現代社会を特徴づける人間活動のひとつである社会調査について、その進め方(調査内容の決定、調査対象の決定、調査の実施方法、調査結果の分析方法とまとめ方)を知るとともに、その歴史と成果について学習する。個人が身の回りからさまざまな情報を得る場合と社会調査との違いに着目しながら、細かい技法よりも、基本的な考え方を修得することを目指す。
 なお、この授業科目は社会調査士資格認定標準科目Aに対応している。第4セメスターの「行動科学概論(社会調査の実際)」(社会調査士資格認定標準科目Bに対応)とあわせて履修することが望ましい。また、第3セメスターで同時に開講されている「人文統計学」(社会調査士資格認定標準科目Cに対応)なども受講していれば、なお理解が深まるだろう。

2. 教科書・参考書
【教科書】

【参考文献(特に重要なもののみ】

3. 授業の進め方
 基本的に、教科書に沿って授業を進めていく。ただし、教科書8章5節と13章の内容については第4セメスターの行動科学概論(「社会調査の実際」)で取り上げること、14章は扱わないことに注意していただきたい。また、教科書は放送大学のテキストなので、簡略にしか書かれていない傾向もある。そこで、教科書の内容を補足するための資料を随時配布し、もう少し厳密に説明を加える。
 なお、この補足資料とは別に、木村が各回の内容について特に大事と思われる点について、「問い」の形で記したメモも配布する。授業中には、このメモに書かれた問いに関して、受講生から発言・意見を求め、その発言・意見を糸口にして解説を加えていく(そしてさらに受講生からの質問や意見などを求めていく)という形を取りたい。そのためには予習・復習を欠かさないでいただきたい。この意味で、基本的に、「講義を一方的に聞いているだけ」では十分ではないので、注意していただきたい。
 この「問い」は、受講生諸君がその場での思いつきを答えることを求めているものではないことにも、注意していただきたい。事前に教科書・補足資料・参考文献等をよく読んで、きちんと確認したりじっくりと考えたりしたことにもとづいて、答えていただきたい。(なお、わからなければ「わからない」と答えることは、恥でも何でもない。)
 遅刻は厳禁である。その理由は主に2つある。第一に、諸君が話を途中から聞いてもおそらく理解できないからである。第二に、諸君が社会調査という、「ソーシャル・スキル」がとりわけ求められる活動を志す者であるならば、約束の時刻を守るということの重要性を理解してほしいと考えているからである。


4. スケジュール(予定)

───────────────────────────────────────────
 回  月/日         内容
───────────────────────────────────────────
  1   4/ 7    授業計画の説明
               1. 現代社会と社会調査
  2     14     2. 社会調査の用途と歴史
  3     21     3. 調査内容の決定(1): 調査テーマと調査事項
  4     28     4. 調査内容の決定(2): 調査票の作成
  5   5/12     5. 調査対象の決定(1): 標本調査の方法
  6     19     6. 調査対象の決定(2): サンプリング分布と統計的推測(その1)
  7     26     6. 調査対象の決定(2): サンプリング分布と統計的推測(その2)
  8   6/ 2     7. 調査の実施と処理(1): 実査と調査員
               8. 調査の実施と処理(2): 調査票の点検とデータ作成
  9      9     9. 結果の集計と分析(1): 基本統計量
 10     16    10. 結果の集計と分析(2): 因果分析の方法(その1)
 11     23    10. 結果の集計と分析(2): 因果分析の方法(その2)
 12     30    11. 聴取調査の方法
 13   7/ 7    12. 調査報告をまとめる
        14    (木村が学会出張のため休講)
 14     28    15. 調査者と被調査者
 15   8/ 4    期末試験
───────────────────────────────────────────
  *内容・日程については、各種行事日程などに応じて変更することがある。

5. 期末試験について
 補講期間の8月4日(月)に、期末試験を実施する。問題の形式は「論述式」を予定している。授業の内容を理解した上で柔軟な思考ができるようになっていないと解答できないような内容の問題を考えている。言い換えると、問題の水準は、教科書と配付資料を使って予習復習をしっかりとし、授業に毎回出席して説明を聞いたりわからないことについて質問したりしなければ、合格点をとることが難しいところに設定している。「単に授業を(受け身的に)聞いていればよく、特に試験の準備はいらない」、あるいは「出席が成績評価の対象になっていないから授業に出なくても大丈夫」、などと思わないでいただければ幸いである。
 なお、(筆記用具以外では)教科書・参考書・配付資料・ノート・参考文献・電卓・定規のみ、持ち込み(使用)を許可する。持ち込み(使用)不可とするものの例としては、携帯電話、電子辞書、パソコンなどを挙げておく。(たとえば、携帯電話の電卓機能を使うのは不可とする。メール等によってカンニングをしているのと外見上区別がつかないためである。「李下に冠を正さず!」)
 原則として「追試験」は行わない。ただし、例外的に、病気・事故による通院・入院のため、あるいは災害などによる交通機関の不通のため、本人が試験日時に出席できない事態が生じ、かつそのことを授業担当者の木村邦博が客観的に確認できる場合にのみ(成績登録締め切りまでに間に合うのであれば)追試験の可能性を検討する。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 随時。ただし、必ず事前に電子メールで予約を取ること。(口頭や電話等での予約は、記録が残らないのでご遠慮いただきたい。また、予約のない場合には対応できない。)
6.2 成績評価
 成績は、基本的に期末試験の得点による。ただし、合否ぎりぎりのラインにある場合には、出席状況(遅刻をしないことなども含む)や授業運営に対する貢献を考慮する。(これは、すべての回に出席していれば自動的に合格が決定すると言っている訳ではないことに注意してほしい。)


行動科学概論
「社会調査の実際」
(学部2年生向け第4セメスター 月曜日 16:20-17:50)


人文統計学
「統計学の基礎」
(学部2年生向け第3セメスター 水曜日 10:30-12:00)

1. 授業の目的
 官庁統計や簡単な調査報告・論文を読めるようになるための基礎的な統計学について学ぶ。特に、データと測定、度数分布と比率、代表値と変動(ばらつき)、グラフ表現、クロス集計表、相関係数(関連の測度)、因果推論などのトピックについて、基礎的な考え方を身につけることをめざす。
 なお、この授業科目は社会調査士資格認定標準科目Cに対応している。第4セメスターの「人文統計学(推測統計と多変量解析の基礎)」(社会調査士資格認定標準科目Dに対応)とあわせて履修することが望ましい。また、第3セメスターで同時に開講されている「行動科学概論(社会調査の基礎)」(社会調査士資格認定標準科目Aに対応)なども受講していれば、なお理解が深まるだろう。

2. 教科書・参考書
【教科書】

【参考文献(特に重要なもののみ】

3. 授業の進め方
 基本的に、教科書に沿って授業を進めていく。
 ただし、「社会調査士資格認定標準科目C」に対応させるため、特に記述統計とカテゴリカル・データ分析の手法とを中心とした内容にする。具体的には、教科書の 1, 2, 3, 4, 9, 10章を取り上げる。(それ以外の章は、第4セメスターの「人文統計学」で取り上げる。)
 また、教科書の記述の中には、現在の研究状況などを鑑みると適切とはいえない部分や、不十分と考えられる部分もある。このような部分については、より正確な理解を助けるための補足資料を授業の前に配布し、これを用いて授業の際に解説を加えたい。この補足資料を事前に目を通して、予習をしておいていただきたい。また、復習も欠かさないでいただきたい。
 さらに、教科書の内容をよく理解できたかチェックしてもらうために、各章の「一般的問題」の中から特に重要と考えられるものを選び、実際に解いてもらう。その過程と結果はレポートとして提出してもらう。(本資料の「5. レポートについて」を参照。)
 以上のような意味で、基本的に、「講義を一方的に聞いているだけ」では十分ではないので、注意していただきたい。
 なお、遅刻は厳禁である。諸君が話を途中から聞いてもおそらく理解できないからである。


4. 授業日程

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 回   日付              内容                    レポート用の「問題」および提出期限
─────────────────────────────────────────────
  1    4/ 9    授業計画の説明
  2      16    データと測定(1):教科書第1章
  3      23    データと測定(2):教科書第1章      7, 8, 9, 10, 11, 12, 13.[5/7授業開始時]
         30    (休講予定)
  4    5/ 7    度数分布と比率(1):教科書第2章    2, 5, 10. [5/14授業開始時]
  5      14    度数分布と比率(2):教科書第2章    13, 14, 15. [5/21授業開始時]
  6      21    代表値と変動(1):教科書第3章      1, 2, 4(a), 5. [5/28授業開始時]
  7      28    代表値と変動(2)/グラフによる     16, 20, 27, 31. [6/4授業開始時]
               データの表現:教科書第3章
  8    6/ 4    クロス集計表(1):教科書第4章      1, 2, 7, 8. [6/11授業開始時]
  9      11    クロス集計表(2):教科書第4章      12, 15, 20. [6/18授業開始時]
 10      18    関連の測度(1):教科書第9章
 11      25    関連の測度(2):教科書第9章        4, 8, 9. [7/2授業開始時]
 12    7/ 2    関連の測度(3):教科書第9章        11, 15. [7/9授業開始時]
 13       9    3変数間の関連を考える(1):        10, 11, 12. [7/23授業開始時]
               教科書第10章
         16    (木村が学会出張のため休講)
 14      23    3変数間の関連を考える(2):
               教科書第10章
───────────────────────────────────────────
  *内容・日程については、各種行事日程などに応じて変更することがある。

5. レポートについて
5.1 課題
 各章末にある「一般的問題」のうち、以下の番号の問題に関して自分で実際に解いてみる。その過程と結果について記したレポートを、指定された期限に、教室で木村に提出する。(計10回。本資料の「4. スケジュール」も参照のこと。)
 ただし、第8回・第9回で取り上げる第9章の問題では、統計的検定は「クロス集計表の独立性の検定(カイ二乗検定)」だけを行えばよく、それ以外の統計的検定(具体的には、関連の測度の値に関する統計的検定)を行わなくてよい。

(第1回)第1章 問題7、問題8、問題9、問題10、問題11、問題12、問題13. 5月7日の授業開始時に提出。
(第2回)第2章 問題2、問題5、問題10. 5月14日の授業開始時に提出。
(第3回)第2章 問題13、問題14、問題15. 5月21日の授業開始時に提出。
(第4回)第3章 問題1、問題2、問題4(a)、問題5. 5月28日の授業開始時に提出。
(第5回)第3章 問題16、問題20、問題27、問題31. 6月4日の授業開始時に提出。
(第6回)第4章 問題1、問題2、問題7、問題8. 6月11日の授業開始時に提出。
(第7回)第4章 問題12、問題15、問題20. 6月18日の授業開始時に提出。
(第8回)第9章 問題4、問題8、問題9. 7月2日の授業開始時に提出。
(第9回)第9章 問題11、問題15. 7月9日の授業開始時に提出。
(第10回)第10章 問題10、問題11、問題12. 7月23日の授業開始時に提出。

 なお、レポート作成にあたっては、本資料末尾の「付録 レポート作成・提出にあたっての注意」を熟読し、水準の高いものを目指してほしい
5.2 書式
 原則としてワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。具体的には、A4判の紙に30行×35〜40字(全角)で印字(横書き)。ただし、マージンは上・下30mm、左・右25mmとする。
 レポートの冒頭には、タイトル、学籍番号・氏名、提出日を記しておく。また、ページ番号をふっておくこと。

6. その他
6.1 オフィス・アワー
 随時。ただし、必ず事前に電子メールで予約を取ること。(口頭や電話等での予約は、記録が残らないのでご遠慮いただきたい。また、予約のない場合には対応できない。)
6.2 成績評価
 成績は、基本的に提出されたレポートの採点結果による。ただし、合否ぎりぎりのラインにある場合には、出席状況(遅刻をしないことなども含む)や授業運営に対する貢献を考慮する。(これは、すべてのレポートを提出していれば自動的に合格が決定すると言っている訳ではないことに注意されたい、)

付録 レポート作成・提出にあたっての注意

  1. 教科書307-420頁にある「問題に対する解答」も参照してほしい。
  2. しかし、上記の「問題に対する解答」は、あくまで途中経過を省略した解答例(略解)に過ぎないので、丸写しにするのではいけない。もちろん、これの抜粋を作れば丸写しとは言えないけれども、それでは情報量が少なくなって意味がないことにも注意してほしい。
  3. 必ず自分自身で途中経過も含めて解答を考え、レポートにできるだけ詳細に記述すること。その際、図表を活用するとよい。
  4. ただし、「自分自身で考える」といっても、教科書本文中の記述や参考文献・補足資料をよく読んで参考にすること。わからないことがあれば、オフィス・アワーを利用して木村に質問に来てほしいし、受講生どうしで勉強会を開催するなどして互いに教え合うことも推奨したい。
  5. なお、「自分自身で考えた結果」であっても、レポートとして十分な情報を示したものになるようにすること。(十分な情報を示していないものは提出したと見なせない。)
  6. 表は表計算ソフトやワープロの表作成機能などを使いて、見やすいものにすること。(特に罫線が多すぎて見にくくならないように注意してほしい。)
  7. グラフはグラフ作成機能のあるソフトウェアを用いてきれいに描画するか、方眼紙に手書きで美しくかつ正確に描くこと。(ソフトウェアを用いた場合には、その名称も明記しておくこと。手書きの場合には、数値との対応を正確にすることに特に注意し、定規等を必ず使用すること。)
  8. 提出期限を守ることやすべてのレポートを一応提出しておくことが、形骸化した目的になってはいけない。何よりも水準の高いレポートを作成することを目標にしてほしい。


人文統計学
「推測統計と多変量解析の基礎」
(学部2年生向け第4セメスター 水曜日 10:30-12:00)


基礎ゼミ
「日本の家族の事実をとらえる」
(1年生向け第1セメスター 月曜日 13:00-14:30)

1. 授業の目的
 日本の家族の現状について、マス・メディアなどを通して、私たちは様々な情報を受け取っている。この授業では、その中でもよくいわれていること(4つの「命題」)が「事実」といえるかどうか、グループに分かれて共同研究を行い確かめる作業を経験する。また、その共同作業を行うのに必要な「基礎技術」を習得するために、よい研究の条件の理解、情報検索、クリティカル・シンキング、プレゼンテーションのしかたなどに関する実習にも取り組む。
 この「基礎ゼミ」を通して、人間の行動や社会に対する知的関心・感受性、「事実」をとらえる/伝えるための技術、集団・組織運営のスキルなどを身につけてもらえれば幸いである。

2. 授業の内容
(1) 「事実」をとらえる/伝えるための技術(仕事の基礎技術)の講習
 「研究」の進め方、情報検索(特に文献検索)の技術、アイディアのまとめ方、クリティカル・シンキング、発表(口頭、論文)の技術などについて学ぶ。講師による解説、参考図書を用いた「課題」(後述)をめぐる討論、実習を中心にする。
 なお、附属図書館による講習会「情報探索のススメ」入門編(4月中に開催予定)にも、できる限り各自で参加してほしい。
(2) 日本の家族の現状に関するミニ研究(グループ研究)
 日本の家族に関する4つの「命題」を取り上げ、その命題で述べられていることが「事実」であるか、あるいはどのような意味でなら「事実」なのか、検討する。それぞれの命題について、3〜5人からなるグループで、文献・資料(官庁統計等)などを検索・収集・検討しながら考える。
 できればさらに、(a)それぞれの命題が「事実」だとしたら、なぜそのようなことが生じたのか、(b)「事実」と言えないのなら、それにもかかわらず人がそれを「事実」だと思ってしまうのはなぜか、ということについても考えてほしいと思っている。

 (1)(2)いずれに関しても、授業時間以外に課題・作業に取り組むことが必要である。


3. スケジュール(予定)

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 回  月/日         内容(授業時間中)                     授業時間外の課題・作業
────────────────────────────────────────────
  1   4/14  授業計画の説明                          【課題1】松本([1993]1996)
            「事実」とは何か
            参加者自己紹介、グループ編成について
  2     21  グループ編成決定、参加者自己紹介
            グループ顔合わせ、共同研究打ち合わせ
  3     28  「研究」の進め方:                      《課題1レポート提出》
            あるテレビ番組の制作過程から学ぶ        文献検索に関する予習
            共同研究打ち合わせ                      【課題2】道田・宮元(1999)
  4   5/12  情報検索の基礎技術:                    《課題2レポート提出》
              文献検索法を中心にして                文献検索実習
            共同研究打ち合わせ・作業                【課題3】文献検索実習
  5     19  文献検索実習(図書館等で)              文献検索実習
  6     26  クリティカル・シンキングの方法          文献検索実習
            (レポートへのコメントも含む)          【課題4】木下(1981)
            共同研究打ち合わせ・作業                G: 文献検索→入手→検討開始
  7   6/ 2  発表の技法:                            《課題3レポート提出》
              レポート・論文等の書き方、作文技術    《課題4レポート提出》
              口頭報告のし方、図表等の描き方        G: 文献検索・入手・検討
            共同研究打ち合わせ・作業
  8      9  文献検索実習レポートへのコメント        G: 文献の検討;
            作文技術レポートへのコメント               資料等の検索・入手・検討;
            共同研究打ち合わせ・作業                   中間報告の準備
  9     16  研究成果中間報告                        G: 中間報告の反省;
                                                    G: さらなる文献・資料等の検索と検討
 10     23  共同研究打ち合わせ・作業                G: さらなる文献・資料等の検索と検討;
                                                       最終報告の準備
 11     30 共同研究打ち合わせ・作業                G: さらなる文献・資料等の検索と検討;
                                                       最終報告の準備
 12   7/ 7  研究成果最終報告(1)                     G: さらなる文献・資料等の検索と検討;
                                                       最終報告の準備
                                                    期末レポートの執筆
        14  (木村が学会出張のため休講)            G: さらなる文献・資料等の検索と検討;
                                                       最終報告の準備
                                                    期末レポートの執筆
 13     28  研究成果最終報告(2)                     期末レポートの執筆
      8/ 4                                          《期末レポート提出期限》
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 *内容・日程については、各種行事日程や進行状況などに応じて変更することがある。
 (注)「授業時間外の課題・作業」欄で、「G:」とあるのはグループ単位での共同研究
    の課題・作業であり、それ以外は個人単位での課題・作業である。

4. 参考図書等
4.1 「仕事の基礎技術」関係図書
 仕事の基礎技術に関する基本的参考図書を、この文書末の参考図書リストに挙げておく。このうち、*印のついたものは、すべて必ず購入しておくこと(東北大学生協書教科書売場で入手可能)。本代はかかるけれども、これらはこの基礎ゼミ以外の授業でも、また今後の諸君の人生の中での「知的活動」においても、大いに活用できるものであろう。これらについては、目を通していることを前提にして授業を進める(「3. スケジュール」の「授業時間外の課題・作業」および「5. 授業時間外の課題」を参照)。
 これ以外の参考図書も、行動科学分析室(川内南キャンパス、現在は一時的に文学部研究棟7階にある)の「授業参考図書コーナー」で閲覧可能にしておくので、随時参照してほしい。ただし、持ち出し厳禁とするので、行動科学分析室内で利用すること。(もちろん、これらの参考図書の中にも、購入を勧めたいものが多い。)
4.2 「家族」に関する研究書・論文・資料等
 各グループの研究の進行状況に合わせて、随時、関連図書・論文・資料等を紹介する。

5. 授業時間外の課題(随時)

書式:
ワープロを使用する場合
 A4判の紙に35行×40字(全角)で印字(横書き)。
 マージンは上下左右25〜30mmを目安とする。
手書きの場合
 A4判横書き、400字詰めの原稿用紙を用いる。

【課題1】 2014年 4月28日(月)授業終了時に提出
 私たちが何か物事について調べようとするとき、大切なことは何か。「『アホ』と言う地域と『バカ』と言う地域との境はどこ?」という疑問に端を発した松本 ([1993]1996) の探究の記録を読みながら、大切だと思うことを箇条書きにせよ。(箇条書きにした項目のそれぞれが、この本のどの部分から引き出されたものかがわかるようにしておくとよい。)[字数制限なし]
【課題2】 2014年 5月12日(月)授業開始時に提出
 道田・宮元 (1999) を読み、思考・議論において陥りやすい落とし穴として本書で論じられていることに対応する例を、自分の経験や観察などの中から探し、その例に対して考察を加えなさい。[2000字程度]
【課題3】 2014年 6月 2日(月)授業開始時に提出
 配付資料「情報検索の基礎技術」の末尾にある練習問題のうち、1から4について、各自、検索を行い、その結果を報告せよ。文献リストとともに、どのようなデータベースを用い、どのようなキーワードで検索したかについても、記しておくこと。(他の人と分担せず、必ず各人がすべての問題について調べてみること。)[字数制限なし]
【課題4】 2014年 6月 2日(月)授業開始時に提出
 木下 (1981) を読んで理解した上で、自分が目にした新聞記事・学術論文などからわかりにくい文章を探し、なぜその文章がわかりにくいのかを分析し、よりわかりやすい文章にするための具体的な提案を出しなさい。[2000字以上4000字程度まで]

6. 期末レポート
6.1 課題
 研究成果最終報告をふまえ、各グループで扱った「命題」で述べられていることが「事実」であるか、あるいはどのような意味でなら「事実」なのか、各自の観点から検討した結果についてまとめる。余裕があれば、(a)それぞれの命題が「事実」だとしたら、なぜそのようなことが生じたのか、(b)「事実」と言えないのなら、それにもかかわらず人がそれを「事実」だと思ってしまうのはなぜか、ということについて考察してもよい。
 この期末レポート作成は、個人単位で行う。最終報告で示したグループ全体としてのまとめと自分自身の考えとの関係(同じところ、異なるところ)が明確にわかるように書くこと。
6.2 書式
ワープロを使用する場合
 A4判の紙に35行×40字(全角)で印字(横書き)。
 マージンは上下左右25〜30mmを目安とする。
 この書式で3枚(4200字)程度。
 図表は、できる限り本文中に挿入(枚数に含まれる)。
手書きの場合
 A4判横書き、400字詰めの原稿用紙で10枚程度。
 図表は別紙(A4判上質紙)に書き、レポート末尾に置く。
 大きな図表はひとつで1枚、小さな図表は2つで1枚を目安にする(枚数に含まれる)。
6.3 提出期限、場所
 2014年 8月 日(月)、17:00まで。
 行動科学分析室(川内南キャンパス、文科系合同研究棟1階)にある教員配布物用レターケースの木村の棚に入れる。

7. 成績評価方法
 出席状況、授業における報告や発言、授業時間外の課題のレポート(4つ)、および期末レポートにより評価する。期末レポートは、構成・明晰さ・論理的一貫性・独創性などを主な基準として評価する。

8. オフィス・アワー
 「オフィス・アワー」とは、この基礎ゼミの内容に関する質問や相談を、授業時間以外で受け付ける時間帯のことである。
 このオフィス・アワーは随時とする。質問・相談がある人(グループ)は、必ず事前にメールで予約を取った上で、木村研究室(川内南キャンパス、現在は一時的に文学部研究棟7階にある)を訪問してほしい。

参考図書リスト(「仕事の基礎技術」関係)

(注) *印は必読文献(授業後の課題で使用するものなど)なので必ず購入あるいは入手しておくこと。これ以外にも、随時、参考文献を紹介する。



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