木村邦博 1997年度の授業のシラバス
(注)東北大学では、セメスターに次のような番号をつけている。
4-9月 10-3月
1年次 1 2
2年次 3 4
3年次 5 6
4年次 7 8
行動科学基礎演習U
「行動科学の基礎」
(2年生向け;第4セメスター 火曜日 16:20-17:50)
1. 基本方針
統計的手法は、行動科学の重要な方法のひとつである。しかしながら、統計的手
法が誤った使われ方をすることも多い。それにはどのような場合があるか、英文テ
キストを読みながら考える。あわせて、新聞・雑誌の記事などから日本における例
を探す。
このような作業を経験することによって身につけてほしいと期待しているのは、
次のような能力である。
(1)「情報」を的確に理解・評価する能力
(2)データを的確に分析し、その分析結果を的確に表現する能力
2. 教科書・参考書
【教科書】(生協文系書籍部・教科書売り場で購入すること)
Mauro, John. 1992. Statistical Deception at Work. Hillsdale, New
Jersey: Lawrence Earlbaum Associates.
【参考書】
Huff, Darrell. 1973[1954]. How to Lie with Statistics. Harmonds-
worth: Penguin Books.『統計でウソをつく法』 高木秀玄訳 講談社
(ブルーバックス) 1968.
Zeisel, Hans. 1985. Say it with Figures, 6th ed. New York: Harper
& Row.
3. 授業の進め方
1回につきひとつの章に関して、報告と討論を行なう (4. スケジュールを参照)。
報告者は「レジュメ」を用意して、担当の章の内容を過不足なく紹介するとともに、
疑問点や問題点などを指摘する。報告者以外の受講生は、報告者に対し質問をし、
議論に参加する。
また、レポート課題 (5.を参照) に関する中間報告があれば、随時行う。
注意 レジュメはテキストの「直訳」であってはならない。翻訳のしかた
やプレゼンテーション技術に関する参考書を読み、そこに書かれて
いることを活かす形でレジュメを作成すること。
4. スケジュール
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回 月/日 内容(テキストの章) 担当
─────────────────────────────────────
1 10/ 7 授業計画の説明、担当の決定
2 14 1 Averages: Ambiguous in Assorted Ways
3 21 2 Percentages: Machiavellian Misleaders
4 28 3 The World Connection: Inflaters or Deflators
5 11/ 4 4 Index Numbers: The Concealers
(木村が学会出張中のため休講)
6 18 5 The Fine Art of Fooling
7 25 6 Convenient Numbers: The Magicians
8 12/ 2 7 Probable Probabilities: Don't Bet on Them
9 9 8 The Law of Large Numbers: You Lose
10 16 9 Correlation: Obscure Causality
11 1/13 10 Sampling: A Few Represent Many
12 20 11 Questionnaires: What You Ask is What You Get
13 27 レポート課題の報告
─────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
教科書(および上述の参考文献など)の論述を参考にして、新聞記事・雑誌記事・
書籍・学術論文などの中から統計的手法の誤った使用例(複数でもよい)を探し、
それがどのような意味で間違っているのかについて考察する。さらに、それを具体
的にどのように改善していけばよいのかについても検討する。
5.2 書式
できる限りワープロを使用してほしいが、使用不可能な場合には手書きでもよい。
いずれの場合でも枚数制限はない。
ワープロを使用する場合、A4判の上質紙に横書きで印字する。1頁あたり35行、
1行あたり全角40字を目安とし、文字サイズ・マージンなどは見やすいように工夫
する。
手書きの場合、A4判のレポート用紙を用いる。
なお、グラフを手書きで描く場合には、グラフ用紙を使用し正確に描くこと。
5.3 提出期限と提出場所
1998年 2月 9日(月)、17:00 まで。木村の研究室で木村に直接手渡すか、行動
科学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
金曜日、15:00-16:00とする。この基礎演習の内容に関する質問、報告にあたっ
ての相談などがある場合には、オフィスアワーを活用してほしい。なお、できる限
り事前にアポイントメント(予約)をとるようにしていただきたい。
6.2 成績評価
成績は、報告やレポートの評価、出席状況などにもとづいて総合的に判断する予
定である。.
行動科学演習V
「女性の労働:統計的データを読む」
(3・4年生向け;第5・7セメスター 火曜日 14:40-16:10)
1.基本方針
女性の労働をめぐる様々な問題について、統計的データを参照し、階層(階級)
論の立場から考察する。特に、労働市場における女性の周辺的な地位、家庭内分業、
就業に関する女性の意識、性別による職業分離と賃金格差、などの問題を取り上げ
る。イギリスの現状に関する文献(英文)を読むとともに、そこで提示されている
統計・調査結果に対応する日本の統計・調査結果を既存の官庁統計や社会調査など
から探し、比較を試みる。
2.教科書
教科書として、以下の本を用いる(ただし、7・8章を除く)。
Hakim, Catherine. 1996. Key Issues in Women's Work. London:
Athlon.
各自、生協文系書籍部教科書売場で購入しておくこと。
3.授業の進め方
教科書の各章につき3名前後からなるチームを編成する。このチームのメンバー
の共同作業で、担当章の内容についての報告と、(その章で引用されているイギリ
ス等の調査結果に対応する)日本での統計・調査結果の探索と報告を行う。報告を
行うチームは、「レジュメ」や「資料」を用意して、その内容を過不足なく紹介す
るとともに、疑問点や問題点などを指摘する。(チームでの「共同作業」であるこ
とをつねに意識し、安易な「機械的分業」をしないこと。)担当チーム以外の者は、
報告に対し質問をし、議論に参加する。
なお、日本での統計・調査結果を検索する場合、まず官庁統計(労働省・総理府
などの調査統計)を参照するようにしてほしい。官庁統計の検索にあたっては、次
の年鑑・総覧類が役に立つだろう(このリストは例示であり、これ以外にも役に立
つものがある)。
総務庁統計局・日本統計協会 1950- 『日本統計年鑑』 毎日新聞社
総務庁統計局 1992-(年刊) 『統計情報インデックス』
教育社 1984-(隔年刊) 『日本アルマナック』
日外アソシエーツ 1975 『日本統計索引』
ただし、できる限り、これらから数値を引用するのでなく、もとの統計の報告書で
数値を確認してほしい。
もちろん、研究者が独自に行った社会調査の結果も探すとよいが、その場合には
調査・分析の質をよく吟味すること。調査の検索にあたっては、
内閣総理大臣官房広報室(編). (毎年刊) 『世論調査年鑑−全国社会調査の
現況−』
社会・意識調査データベース作成委員会. 1994-95. 『日本の社会・意識調
査』(1,2)
が役に立つ。学術論文の検索には、
国立国会図書館逐次刊行物部. (季刊) 『雑誌記事索引』[人文・社会編]
を用いるとよい。
見つけた調査結果の報告にあたっては、出典・年次等を明示することも忘れない
ように。
4.スケジュール
─────────────────────────────────────
回 月/日 内容(テキストの章・頁) 担当
─────────────────────────────────────
1 4/15 授業計画の説明、担当の決定
2 22 chap.1 Explaining women's subordination (pp.1-18) 院生
3 5/ 6 chap.2 Marginal work and domestic work (pp.19-41) [3〜4人]
4 13 chap.2 Marginal work and domestic work (pp.41-59)
5 20 chap.2 Marginal work and domestic work (日本の統計)
6 27 chap.3 Feminisation of the workforce (pp.60-82) [2〜3人]
7 6/ 3 chap.3 Feminisation of the workforce (日本の統計)
8 10 chap.4 Work orientations and work plans(pp.83-103)[3〜4人]
9 17 chap.4 Work orientations and work plans(pp.103-119)
10 24 chap.4 Work orientations and work plans(日本の統計)
11 7/ 1 chap.5 Labour mobility and women's employment [2〜3人]
profiles (pp.120-144)
12 8 chap.5 Labour mobility and women's employment
profiles (日本の統計)
13 15 chap.6 Occupational segregation and the pay gap [3〜4人]
(pp.145-166)
14 22 chap.6 Occupational segregation and the pay gap
(pp.166-186)
15 補講 chap.6 Occupational segregation and the pay gap
(7/29) (日本の統計)
─────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
チームのメンバーが共同して、担当した章の内容を要約し、日本の統計・調査結
果との比較を行ったレポートを作成する。(これも「共同作業」であることに注意。)
5.2 書式
ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。1頁あたり35行、1行あ
たり全角40字を目安とし、文字サイズ・マージンなどは見やすいように工夫する。
枚数制限はなし。
5.3 提出期限と提出場所
1997年 8月29日(金)、17:00 まで。木村の研究室で木村に直接手渡すか、行動科
学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
金曜日、13:00-14:00とする。
6.2 成績評価
成績は、報告や期末レポートにもとづいたチーム単位での評価と、出席や議論へ
の参加の状況にもとづいた個人評価とを組み合わせ、総合的に判断する。
計量行動科学特殊講義U
「行動科学・社会科学におけるカテゴリカル・データの分析手法」
(大学院博士前期課程向け 第1学期 木曜日 10:30-12:00)
1.基本方針
行動科学・社会科学で用いられる、カテゴリカル・データの統計的分析手法を学
ぶ。一般線型モデル、ロジスティック回帰(ロジット・モデル)、ログリニア・モ
デルなどの手法の理解を深め、社会調査(これまで東北大学文学部行動科学研究室
が関わってきたもの)によって得られたデータの分析に活用する。
なお、統計的推測・統計的検定に関する基礎知識を前提にして進める。
2.教科書
教科書として、以下の本を用いる。
Agresti, Alan. 1996. An Introduction to Categorical Data Analysis.
New York: John Wiley & Sons.
この授業で用いるのは、第4章から第9章までである。第1章から第3章までは、統
計学や社会調査データ分析の入門書にも書かれている内容なので、各自の復習に委
ねる。ただし、木村が、他の入門書に書かれていないポイントについて解説する。
第10章も、学説史について述べたものなので、各自の自習に委ねる。
3.授業の進め方
「演習」形式で進めることにより、教科書で紹介された手法の理解を深める。各
章の報告担当者は、該当章の内容を紹介する。英語を逐語訳するのでなく、論理を
きちんと理解することを心がけてほしい。特に、本文中の例題については、実際に
電卓等を用いて計算し確かめてみること。(なお、各章末の問題のすべてを解く必
要はない。しかし、内容の理解を深めるために、いくつか選んでチャレンジするこ
とをお勧めする。)
またこれらの手法を、各自が利用可能な社会調査データに適用してみる(SPSS,
SAS などの統計パッケージの使い方も学ぶ)。その結果に関しても報告を行う。
詳しくは「4.スケジュール」を参照。
4.スケジュール
─────────────────────────────────────
回 月/日 内容(テキストの章・頁) 担当
─────────────────────────────────────
1 4/10 授業計画の説明、担当の決定、chaps.1-3 (pp.1-70) 木村
2 17 chap.4 General Linear Models (pp.71-87)
3 24 chap.4 General Linear Models (pp.88-102)
4 5/ 8 chap.5 Logistic Regression (pp.103-118)
5 15 chap.5 Logistic Regression (pp.118-144)
6 22 chap.6 Loglinear Models for Contingency
Tables (pp.145-158)
7 29 chap.6 Loglinear Models for Contingency
Tables (pp.158-173)
8 6/ 5 chap.7 Building and Applying Logit and
Loglinear Models (pp.174-185)
9 12 chap.7 Building and Applying Logit and
Loglinear Models (pp.185-199)
10 19 chap.8 Multicategory Logit Models (pp.205-225)
11 26 chap.9 Models for Matched Pairs (pp.226-239)
12 7/ 3 chap.9 Models for Matched Pairs (pp.239-256)
13 10 社会調査データへの適用:分析結果報告
14 17 社会調査データへの適用:分析結果報告
─────────────────────────────────────
5. レポート課題
5.1 課題
教科書で学んだ手法を、各自が利用可能な社会調査データの分析に適用し、分析
結果とその解釈について報告する。
5.2 書式
ワープロを使用し、A4判の上質紙に横書きで印字する。1頁あたり35行、1行あ
たり全角40字を目安とし、文字サイズ・マージンなどは見やすいように工夫する。
枚数制限はなし。
5.3 提出期限と提出場所
1997年 8月29日(金)、17:00 まで。木村の研究室で木村に直接手渡すか、行動科
学分析室にある(スタッフへの配布物用の)レターケースの木村の棚に入れる。
6. その他
6.1 オフィス・アワー
金曜日、13:00-14:00とする。
6.2 成績評価
成績は、報告や期末レポートと、出席や議論への参加の状況とにより、総合的に
判断する。
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