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『月刊言語』第23巻(1994)6月号, p.137掲載
M. ボウルトン著、水野義明訳
普遍言語や国際共通語を作ろうという試みは歴史をたどれば少なくない。しかし、 辞書や文法書だけでは言語が生まれたことにならない。実際に使う人の集団が成立してこそ、 言語の名に値する。この意味で言語案から言語へ成長することができたのは事実上 エスペラントだけである。エスペラントは提唱者の死後も使われ続け、その間、必ずしも 順調に発展した訳ではないにせよ、 1987年には百周年を祝うことになった。今年の7月には ソウルで東アジアとしては3回目の世界エスペラント大会が予定されている。
なぜエスペラントだけが言語となりえたかは簡単に答えられる問題ではないが、 提唱者ザメンホフの個性が一因であったことは間違いない。その他の「言語の夢想者たち」とは 違っていたのである。ザメンホフの生涯を描いたものとして定評のある本書がエスペラントを 知らない一般の読者にも読めるようになったことは喜ばしい。
[新泉社・四六判320ページ・1900円]
copyright GOTOO Hitosi 1994
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