東北大学日本文学研究室について

沿革

国文学研究室の発足は、大正12年東北帝国大学法文学部に岡崎義恵が助教授として着任、 国文学の講義を開始した時点にまでさかのぼる。
初代教授岡崎義恵は、日本文芸に対する該博な知識と鋭い直感力に支えられた厳正な読解により文芸の本質を美に求め、 美的・芸術的価値や様式を世界文芸との関連において探求する学問としての日本文芸学の体系を樹立した。
一般に国文学は、古代から現代に至る日本の文学(文芸)を研究する学問であるが、それには種々の立場や方法がある。
従来、本文批評・注釈などの文献学的研究が主流をなし、比較文学や民俗学の方法も用いられ、社会的・歴史的な観点を重視するものなどもある。
本研究室では、文芸が芸術の一種であるとする見地から、日本文芸の美的・芸術的価値や様式を世界文芸との関連において探求することを目指す。
そうした意味での、作品 個々の表現に即した文芸学的研究が本学国文学専修の伝統的な学風となっている。
専任の教授2名、准教授1名のほか、非常勤講師によって、各時代、各ジャンルにわたっての授業と教育・研究指導が行われている。

教育方針・学生の研究動向

国文学は古代から現代に至る日本の文芸を研究する学問であるから、学生が選択する研究対象の幅はきわめて広い。
本研究室では、学生が卒業論文・修士学位論文の研究対象として何を選択するかについては本人の意志に任せている。
とはいえそれは、例えば近代の文芸を論文で取り上げる者が近代文芸に関する授業(講義・演習・講読等)だけを 受講すればよいということにはならない。
本研究室では、古典から近代の文芸に至る国文学の全分野に精通する、偏りのない実力を身につけた人材の養成を目指している。

第二学年より研究室に所属した学生は、第二、三学年において、国文学研究の基礎を習得し、 第四学年になって学生生活の総決算としての卒業論文を執筆することになる。
卒業論文は、それまでに習得した基礎的研究を下敷きに自分の興味・関心の最も深い作家・作品を選択し、執筆するものである。
その量は、一〇〇枚(四〇〇字詰原稿用紙)を 標準とし、中には二〇〇枚を越える者もいる。

これまでの国文学研究室における留学生の受け入れは、台湾・韓国をはじめとして、 中国・インドネシア・アメリカ・イギリス・フランス・イタリア ・ポーランド・オーストラリア・アルゼンチン等世界各国にわたる。
留学生と我々の出会いは日本文芸を通してなされるわけだが、それがお互いにとって世界文芸に目を開く契機ともなるような交流を目指す必要があると考えている。
近年、留学生との交流は学術面のみならず生活面においても盛んで、研究室の雰囲気は賑やかさを増してきている。