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毎日新聞英文サイトWaiWaiコラムの不適切記事問題


目次

  1. 毎日新聞WaiWai問題とは
  2. 毎日新聞WaiWai問題の評価
  3. 資料
    1. 毎日新聞による謝罪記事など
    2. 全体像
    3. WaiWai記事の痕跡らしきもの
    4. ウェブ検索
    5. 主な報道記事
      1. 日本系
      2. 非日本系
    6. 主なブログ記事など
      1. 日本系
      2. 非日本系
    7. 参考サイト

毎日新聞WaiWai問題とは

毎日新聞は、検証謝罪記事(下記、資料を参照)を 総合すれば、英文サイト (毎日デイリーニューズ, 英語名 Mainichi Daily News, 略称 MDN) 中のコラム「WaiWai」において、2008年6月まで数年間にわたり、きわめて 多くの「日本についての誤った情報、品性を欠く性的な話題など国内外に発信すべき ではない記事」を発信し続けていた。 記事は、国内の月刊誌、一般週刊誌、写真週刊誌、男性向け週刊誌、女性向け週刊誌、 夕刊紙の約30種から採って翻訳されたとのことだが、「日本についての誤った情報、 品性を欠く性的な話題など、国内外に発信するにはふさわしくない内容で」あり、 「読者を引き付けようとして、元の雑誌記事にない個人的な解釈を盛り込むケースも あった」とのことである。なお、毎日新聞は、2008年5月に月刊誌から記事の使用に ついて抗議を受けたことを認めている。

毎日新聞が2008年7月20日付けで紙面3ページにわたって掲載した検証謝罪記事から 直接引用すれば、経緯はおおよそ以下のとおりとされている。

「WaiWai」コラム記事は、MDNサイト上では01年4月から08年6月まで、 原則として毎日、計2561本掲載された。

毎週金曜日に掲載された関連コラム「The Face」346本と合わせると、 計2907本になる。

掲載された記事には「料理、獣、悪徳とその愛好者」というタイトルで異常な 性的嗜好(しこう)の話を取り上げたもの(07年9月)や、「古くから伝わる米の 祭りでは、お肌に効果がある洗顔クリームが評判を呼んでいる」というタイトルで 日本の伝統的な祭りを性的な話題に結びつけたもの(05年12月)などが含まれて いた。エクアドルやベラルーシなど外国で日本人観光客が違法ツアーに参加していると いう記事(03年7月)もあった。いずれも事実の裏付けもないまま翻訳して記事化 していた。

未成年者の性に関する記事などを不適切に取り上げたり、翻訳元に掲載されている 数字を算出根拠などを明確にせずに使用して誤解を招いたり、数人の女性の コメントから成り立っている雑誌の記事を「日本人女性の間で増えている」といった 表現で一般化するケースも確認した。

また、防衛政策を美少女キャラクターが登場する漫画で紹介しているという月刊誌 記事を07年7月に取り上げた際、導入部の防衛省の説明に「真珠湾攻撃と南京 大虐殺で世界に名を知らしめた政府省庁の後継」と加筆したケースがあった。 担当記者は「美少女とのギャップを浮かび上がらせるために書いた」と語った。

著作物の翻訳や要約については、現在、発行元の出版社と対応を協議している。

「WaiWai」の掲載内容については、事実関係が不確かなうえ、読者に不快感を 与えるだけでなく、雑誌発行元の出版社や記事中の関係者にご迷惑をお掛けすることに なるので、詳細な説明は控えさせていただきます。

MDNサイトの全ページに、検索エンジンに反応しやすいようプログラムに埋め込む 「メタタグ」のキーワードが41語登録されていた。その中に「hentai (ヘンタイ)」「geisha(ゲイシャ)」「japanese girls (ジャパニーズガールズ)」という単語もあった。

英文サイト問題の経緯 (http://www.mainichi.co.jp/20080720/0720_04.html)

毎日新聞はこの事態を、「多くの方々に不快感を与え、名誉を傷つけ、大変な ご迷惑をおかけした」、「深刻な失態」と総括した。 なお、問題が表面化してから、このコラムは過去に遡って全面的に閉鎖されており、 図書館などからアクセスできる記事データベースも停止されていて、現在は外部の者が その内容を直接確認することはできない。

この公式発表では詳細な説明を避けているため、2907本の記事の全容、特に「不適切」の性質と 程度がどのようなものであったかは、明らかでない。 上掲の例でいえば、「異常な性的嗜好」や「違法ツアー」という表現は茫漠としていて、 不適切さの具体的なさまが読み手にまったく伝わってこない。 また、「「古くから伝わる米の祭りでは、お肌に効果がある洗顔クリームが評判を 呼んでいる」というタイトルで日本の伝統的な祭りを性的な話題に結びつけた」との ことであるが、これだけの説明ではどのように性的な話題に結びつけ、結果として どのように不適切な記事になったのか、想像もできない。 「数人の女性のコメントから成り立っている雑誌の記事を「日本人女性の間で 増えている」といった表現で一般化」した行為は、確かに、それ自体で不適切である。 ただ、何が「日本人女性の間で増えている」と伝えられたのかによっても、この記事の 不適切さの度合いはまた大きく異なってくるはずであるが、公式発表はそれを明示して いない。 さらに、「掲載内容については、事実関係が不確か」だと言うことは、検証が不十分で あることを毎日新聞側が自ら認めていることになる。

その後、日本ユニセフ協会からの7月22日づけの抗議を受けて、毎日新聞は8月6日づけで謝罪文を 送ることになった。このことは7月20日の謝罪が十分だとは受け取られていないことを示している。 この謝罪文では、記事の中に児童買春防止などの児童を保護する取り組みに著しく反する内容の ものがあったことを認めた。

毎日新聞は、9月1日づけで「改めておわびと決意」なる文書を公開し、 「「WaiWai」は、国内で出版されていた雑誌などを了解を得ずに利用していました。 明らかに事実とは思えない情報を英訳、転載し、一部については不適切な加筆もしていました。 日本および日本人や特定の国、職業などについて誤解を生じさせる情報を長期間にわたって 流し続けました。」と述べた。しかし、「不適切」の性質と程度について、一向に明らかに されていない。また、「明らかに事実とは思えない情報」という表現は、依然として事実関係の 検証が不十分であることを示唆している。

しかしながら、記事のなかには7月20日の公式発表に例示された程度をはるかに越えるほどの、 元の雑誌記事の内容を歪曲したものや著しい誤解を招くもの、品性と信憑性に欠けたものなども 多数あったとの情報があり、WaiWai記事を転載したというサイトの文章や報道記事からそのさまを 部分的に推し量ることができる (下記、資料を参照)。 これらの記事を提示する際には、しばしば「低俗」、「変態」、「下劣」、「猟奇的」、 「おぞましい」、「常軌を逸した」、「歪曲」、「捏造」、「意図的な誤訳」、 「事実無根」、「女性蔑視」、「日本(日本女性、母親、看護師)を侮辱する(貶める)」、 「差別的」、 「人種的偏見を助長する」、「犯罪を誘発する」などと形容されることがある。

サイト全ページにメタタグとして「hentai」などのキーワードが登録されていたということは、 この種の記事の掲載がサイト管理者の積極的な関与の下に行われていたことを意味する。 毎日新聞社の英文サイト管理者は、「hentai」などのキーワードでウェブ検索する人を 自社サイトに誘引しようとしていたと考えられる。

また、ウェブ版になる以前の紙媒体であった時代から同種の記事が多かったとの 情報もその後出てきており、不適切記事の時期と総数についても公式発表には 疑問の余地があると言うべきであろう。

なお、9月27日づけで、他紙誌の記事を無断で翻訳・転載したことが著作権を侵害する行為 であった点について謝罪の意思が表明された。ただ、この謝罪文でも依然として問題記事の 総数を挙げず、また、同様に著作権法違反となる行為である記事内容の無断改変についても、 その有無や程度についてまったく触れていない。

外国人が書いたと思われるブログ記事やそのコメントなどを見ると、以前から WaiWaiコラムの質の低さに眉をひそめていた人がいた一方で、おもしろがって、また 大手新聞社の提供による有益な情報源として、愛読していた読者も少なくなかった 様子が伺われる。また、参照や引用、転載、翻訳などの形で二次利用された事例も 諸所において確認できる。

この問題は、高度の猥雑さのゆえか、一般の新聞や雑誌、テレビなどでは時おり、しかも 往々にして表層的にのみ、取り上げられるにとどまっている。一方、ネットの掲示板や ブログなどにおいては、この問題自体の性質のためばかりでなく、毎日新聞の側の対応のしかたに 明らかに稚拙な点があったためもあり、感情的反発や揶揄を伴う激しい批判がおこり、騒動とも 呼ばれるほどの様相を呈した。これら全体を指して「毎日新聞問題」、「毎日WaiWai問題」、 「毎日WaiWai事件」、「変態新聞事件」などと呼ばれることもある。

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毎日新聞WaiWai問題の評価

この問題が騒動化したのにともなって、なかには行き過ぎともいえるような抗議行動も 行われたようである。また、様々な立場の人、特に特定の政治的見解を持つ人や 毎日新聞に対して特定の評価を持つ人によって、様々なことがらと結びつけて複合的に論じられて しまってもいる。単に便乗して騒いだ者も少なくないであろう。それに対して、このような 抗議を過剰反応と捉えたり、さらには、自由な言論に対する抑圧とみなしたりするような見解も 見られる。

この問題は、当事者であり、情報をもっとも把握しているはずの毎日新聞側が情報を十分に 開示していないため、直接の証拠を持たない者が冷静に判断することは難しい。

とはいえ、公式発表からしても、質の点で信憑性に乏しく、内容において日本人に対する 誤解を招き、女性を蔑視するような記事が多数あったことには、疑いがない。

新聞社が発表済みの記事を数千件も撤回するのは極めて異例の事態であり、 ジャーナリズムにおける表現の責任に照らして重大な出来事である。 このような不適切な英文記事が大手新聞社の名前で長期間にわたって大量に発信されて いたことは、国際理解に対して深く永い影響をもたらしうることがらであり、 この点からも看過できない。 この問題が真剣に検討し記憶に残すべきことがらであることは、間違いない。

多数の不適切記事の内容や性質に応じて、この問題は、より広い様々な文脈 (例えば、性差別)からも論じることができるであろう。特に、英語による国際 コミュニケーションの非対称性という観点から考慮するに値する。 また、新聞のネットワーク社会への対応という点や企業の広報と危機管理という点で、 多くの教訓を提供するであろう。さらには、社会の変容を象徴的に示す事象と 捉えることも可能であるのかもしれない。

2008年7月20日に、毎日新聞は「毎日新聞への信頼を裏切った」と、読者に向けて一応の おわびを表明した。しかし、(潜在的なものも含めて)影響の範囲の大きさを考えれば、読者に 向けただけのおわびでは十分でない。 毎日新聞は、9月1日にも「改めておわびと決意」なる文書を公開したが、おおむね繰り返しで あって、新しいことを加えてはいない。

公式発表は、当該コラムの内容や長期間掲載され続けた経緯、英文サイト全体の 管理体制との関係など事実関係の検証と解明があいまいで、納得しがたい部分が多い。 特に、記事のもたらした国際理解への影響という観点からの検証と是正措置が欠けて いる。この事件を単なる一新聞社内部での不祥事に終わらせず、そこから建設的な 教訓を得るために必要な情報は、開示されていない。この意味において、毎日新聞は 報道機関としての自らに課せられた説明責任を放棄している。毎日新聞の自傷行為と 言わざるをえない。

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資料

できるだけ資料として意味のあるものを選んだが、それぞれの筆者の立場によって、 取り上げ方が部分的であったり表現が客観的でなかったりし、先入観や誤解に基づく 記述、誇張や矮小化、意図的な誘導もあると思われるので、要注意。なるべく原資料に 近づいた上で自分で判断することを勧めるが、WaiWai記事本文は内容、表現ともに 極めて「不適切」であることにも留意されたい。

毎日新聞による謝罪記事など

全体像

WaiWai記事の痕跡らしきもの

主な報道記事

日本系

非日本系

主なブログ記事・論説など

日本系

非日本系

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