俳句(2017)
長谷川 冬虹(とうこう)
2021年,2020年,2019年, 2018年,2016年,2015年, 2009年〜14年, 第一句集『緑雨』
古志2017年12月号
同人雪の一句
茂吉現れ吹雪逆巻く最上川
大谷弘至主宰選
伊予簾吾輩もまた朝湯かな
行列の野馬がぼがぼと馬盥
白団扇卒寿の母の寝息かな
長谷川櫂先生選
山の湯や千山万水虫時雨
舩橋晴俊先生四回忌
敗戦日丸山忌にして恩師の忌
ことさらに敗戦の日に逝かれしか
古志2017年11月号
大谷弘至主宰選
嘶きを慟哭と聞く白木槿
野馬駈けの女武者なり汗しとど
野馬駈けの鞭一閃の入れ処
祭果て野馬の形の積乱雲
長谷川櫂先生選
乾坤を奔馬駆け抜け野馬祭
古志2017年10月号
大谷弘至主宰選
伝村上武吉着用
紅は炎帝の色陣羽織
海賊の幟千切らん大南風
浦々に海賊潜む朝の凪
古志2017年9月号
同人月の一句
大天守月見櫓の良夜かな
大谷弘至主宰選
えごの花金平糖のさざめきよ
栗の花甲斐の小駅に富士ぬっと
長谷川櫂先生選
牡丹の花の王たる昼寝かな
古志2017年8月号
大谷弘至主宰選
花辛夷目覚めの窓の清しさよ
みちのくの名もなき土手の桜かな
濡れてゐる赤子の瞳チューリップ
長谷川櫂先生選
鵯は口吸ふごとく桜吸ふ
貝がらのごとく砕けてはくれんよ
しだれ桜伊達と南部の境かな
古志2017年7月号
大谷弘至主宰選
生命の春の匂ひや動物園
月の輪の春の子熊に獣の眼
ライオンは春の王たる昼寝かな
長谷川櫂先生選
倚りかからぬ詩人の日記寒卵
さくら餅一家族また揃ひたる
あかあかと炎漲る牡丹の芽
古志2017年6月号
大谷弘至主宰選
受験生鉛筆置きたるしじまかな
雛の菓子支倉の名の残りたる
紅花の大尽殿の雛かな
災六年仏の山に涅槃雪
長谷川櫂先生選
あかあかと牡丹の芽や災六年
古志2017年5月号
大谷弘至主宰選
読初のあとは酔うたる鯨かな
過ぎし日の恋文の束どんど火に
明朝の太字くろぐろ年の豆
古志2017年4月号
大谷弘至主宰選
シナモンやサンタを招くミルク粥
妻恋ひは誰の投句ぞ初句会
古志2017年3月号
同人花の一句
亡き人のごとく大樹の遅桜
大谷弘至主宰選
アフリカのお面のごとし朴落葉
漱石忌どこぞの猫の来て眠る
櫂先生
泣くごとく笑ふがごとく山茶花よ
古志2017年2月号
大谷弘至主宰選
彼岸花けたたましきはオスプレイ
定年を数ふる旅寝や今年酒
けふもまた熊と衝突仙山線
櫂先生
定年へ三年半か木の葉髪
古志2017年1月号
歳旦帳
卒寿にて電話の母の淑気かな
大谷弘至主宰選
あらばしり選句のごとく飲み比べ
長谷川櫂先生選ネット投句
12月31日締切
特選 北限の柚子は聖樹のごと実る
特選 柚子風呂や今年訪ねし国の数
入選 冬枯るる大地濃き紅淡き紅
11月30日締切
特選 いさぎよく林檎も桃も冬木かな(年間賞次点)
入選 まづ一献昆布で〆たる鮃こそ
最上川雪吹雪又雪吹雪
11月15日締切
入選 冬薔薇どつこいしょなぞ言ふ勿れ
10月15日締切
入選 澄む秋の光の中に瑞巌寺
9月30日締切
入選 利き酒す南部杜氏のあらばしり
胸内に小さき滝あり九月尽
9月15日締切
入選 今年酒古稀なほはるか山の宿
8月15日締切
入選 はだか馬相馬の大地欲しいまま
6月30日締切
入選 万緑や山の向かうの向かうまで
6月15日締切
入選 山毛欅峠山若葉又山若葉
5月31日締切
入選 桐の花会津も奥の乾坤に
5月15日締切
入選 父祖の地の会津句会へ藤の花
渾身の莟をほどく牡丹よ
4月30日締切
入選 春の田へ北上の水あふれ来よ
4月15日締切
入選 忽然とこの路地裏に朝桜
3月15日締切
特選 春の雪六年経たる虚空より(年間賞準特選)
2月28日締切
入選 大学を出て四十年花菜漬
2月15日締切
入選 柚子二片きつねうどんに春立てり
1月31日締切
入選 鉛筆と消しゴムの音大試験
1月15日締切
入選 うたの神年酒一献奉る
2017年6月22日