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リヨン(修士2年)
私は2011年9月から2012年6月にかけて、リヨン高等師範学校へ留学しました。ここでは簡単にその報告を記したいと思います。
<留学準備>
今回、私は東北大学と協定を結んでいるリヨン高等師範学校に交換留学という形で留学しました。留学にはいろいろな形式と方法がありますが、以下に記すのは交換留学という条件においてのものです。
まず、留学するためにはキャンパスフランスに登録する必要があります。またそれと平行して、リヨン高等師範学校に留学登録をネット上からしなければなりません。この登録に関しては、リヨン高等師範学校のホームページから確認できるシラバスなどを参照し、自分がどのような研究をしているのか、またフランスでどのような勉強がしたいか、どの教員に習いたいのかなどを記入します。この登録が終わり次第、留学が可能になるのですが、思った以上に時間がかかりますので、早め早めに行動することが肝心と思われます。ビザの申請もまた十分な余裕をもって行なったほうがいいでしょう。
<リヨン高等師範学校>
リヨン高等師範学校は人文社会系のDescartesと自然科学系のMonodの二つのキャンパスから構成されます。各キャンパスにはそれぞれ食堂と寮、またコインランドリーなどが設置されています。近くにスーパーもあるため、生活に困ることはありません。この二つのキャンパスの間に図書館があり、蔵書が豊富で勉強するには最適です。
一学期は9月から12月、二学期は1月から4月にかけて行なわれます。他の大学に比べ、リヨン高等師範学校は授業が終了するのが4月と大分早いです。学生は、5月・6月は論文執筆やアグレガシオンの準備に取り組みますが、多くの留学生は4月・5月に帰国するようです。ERASMUSという留学制度が充実しているため、ヨーロッパ諸国の留学生、特にドイツからの留学生が多い印象を受けました。日本人の数は非常に少なく、また学校側も日本人の学生には親しみがないため、フランスやヨーロッパの文化を学ぶにはある意味、最適かと思います。しかしリヨン高等師範学校はアジア研究が盛んなため、日本語に堪能な先生は存在します。
<授業>
どの講義を受講するかは、事前にチューターの先生と相談してから、決定します。講義内容は学部生向け、院生向け、アグレガシオン対策と区別されており、アグレガシオン対策は非常にレベルが高いため、フランス語の授業に慣れていない私は学部生向け・院生向けの講義を主に受講しました。しかし、内容は充実しており、授業についていくためには相当の勉強が必要かと思います。たとえば私は中世から近代にかけて歴史と文学の関係について講義するEcrire l’histoireという授業を聴講しました。この講義では私は単位を取得することなく、ただ出席するのみでしたが、講義で扱う中世から近代にかけてのテキストの多くは現代フランス語とは異なっている面が多くあり、授業についていくためには十分な予習と復習が求められます。この講義においては東北大学で中世フランス語を勉強していたことも大変役立ちました。それに加えて、私が留学生であることを考慮した先生の計らいで、同じ講義を受講している学生から授業のノートを見せてもらえることになり、非常に助かりました。この経験から感じたことですが、何かわからないことがあったり、困ったことがあった場合は、先生や身の回りの学生に相談することが重要だと思います。日本と異なり、フランスでは自分から行動を起こさないことには何ごとも始まりません。しかし一度、行動を起こせば、先生方や学生のみんなは親身に協力してくれることと思います。自主的に行動することの大切さをこの留学で学ぶことができたと、私自身、感じます。
しかし肝心のフランス語能力に関していえば、私自身の語学力は、授業についていくにはまったく不十分だったと感じます。これは一年程度の留学では満足いくレベルまで到達することはほぼ不可能だと思います。長い勉強が必要です。
留学生向けのフランス語の授業は、事前にテストでレベル別にクラスが振り分けられるため、フランス語の上達には最良かと思います。また私は留学生でフランス語の劇を行なうという授業にも参加し、大勢の人の前で舞台に立ちました。この経験はフランス語の能力の向上はもちろん、さまざまな国の学生と協力し合い、劇を成功させるという達成感をもたらしてくれ、非常に良い経験になったと感じます。
<フランスの生活>
寮では3〜5人の学生がキッチン共有の部屋で生活します。フランス人や他の国の留学生と暮らす共同生活はこれまでにない新鮮な体験だったと思います。しかし、ちがった文化で育った人間同士の生活ですので、そこには予想だにしない多くの問題が生まれることもあります。現に何かしらのトラブルで部屋を変える学生は少なくありません。何か問題が起こったとしても落ちついて行動することが必要です。
高等師範学校では多くのイベントが催されています。映画上映会や演奏会、または何かの演劇や討論会など、常に何らかの催しがあるといっても過言ではありません。毎日、大量のイベント告知のメールが送られてきますので、自分に興味のあるものを選択することができます。
四度あるバカンスをどのように過ごすかということもまたフランス文化を知る上では非常に重要です。私はパリやアヴィニョン、ロンドンへ旅行したり、フランスでできた友人のアルプスの家へと招待されたりしました。広大なフランスやヨーロッパを一年という短い留学期間で見て回るには限界がありますが、しかし可能な限り旅行することは見聞を広める上で非常に価値があると感じます。
<まとめ>
留学を終えた今、感じることは、まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあるということです。フランス語能力に関しても、自分がまだどれだけ未熟であるかをこの留学で痛感しました。しかし一年フランスで生活することは、まちがいなくフランス語を上達させてくれます。そればかりでなく、高等師範学校というフランストップクラスの学校で学ぶことは多くの刺激をもたらしてくれますし、そこで知り合うことのできる人々との交流は深い魅力に満ちています。フランスに留学するということはそう簡単にできることではありませんので、多くの方に留学というチャンスを活かしてもらえればと思います。
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