所在地: 980-8576 仙台市青葉区川内27番1号
Googleによる周辺図 (この図の中央付近)
東北大学文学部案内図
(「文学部・法学部合同研究棟(文学部三号館)」の4階)
電話・FAX: 022-795-5983
(2024年10月21日更新)
目次
|
東ヶ崎祐一氏の「ドミソ」の発音 波形(上)とスペクトログラムおよびフォルマント(下) KAY Elemetrics 社製の音声分析装置 CSL による "domiso" pronounced by TOUGASAKI Yuuichi Waveform(above) and spectrogram and formants(below) analyzed with CSL by KAY Elemetrics Corp. |
言語学は、人間のことばそのものを研究して、「ことばとは何か、ことばはどのように働いているのか」という根本的な問いに答えようとする学問です。研究の対象とする言語の選択に制限はなく、日本語はもちろん、英語のようななじみのある言語から名前もほとんど聞いたことのないマイナーな言語まで、話し手の数の多さや政治的・経済的な力の優劣を問わず、すべて扱うことができます。個々の言語の研究をおこなう際には、その言語だけに注目することもできますし、歴史的変化や地域・社会階層・場面による変異、あるいは他の言語との比較を考慮するアプローチもあります。 一方、人間の言語の普遍的な特徴を考察することもあり、最近では、ことばの理解や産出を司る脳の仕組みを解明して、「なぜことばが話せるのか、なぜことばを失うことがあるのか」という問いに答えようとする言語認知脳科学といった先端領域にも意欲的に取り組んでいます。
研究室内に豊富な文献や資料、実験装置があるため、関心に応じて特定のテーマについて学習・研究を深めることが可能です。卒業時には、その成果を卒業論文または卒業研究としてまとめることが求められます。卒業後は成果を生かして、教員として、あるいは官庁・企業等で活躍する者のほか、大学院に進学して研究を続ける者もいます。
ことばへの強い関心と自由な想像力に富んだ皆さんを、言語学研究室は歓迎します。
言語学は人間の言語を科学的に研究する学問分野である。本研究室では、主に3種類のアプローチ(記述言語学、理論言語学、実験言語学)を有機的に組み合わせて研究と教育を行っている。その際、研究手法、研究対象、理論的オリエンテーションなどに関して健全な多様性を重視している。
記述言語学では、個々の言語が(音声、音韻、形態、語彙、統語、意味、語用などの側面において)どのような性質を持っているかを調査、分析、記録する。記述言語学の対象はどの言語でも良く、日本語のように既に相当程度研究が行われている言語をさらに詳しく調べる場合や、これまでほとんど知られていない言語を一から記述する場合もある。特に後者だけに限定して狭い意味で記述言語学という用語を使うこともある。本研究室では、日本語、中国語、英語などのいわゆる大言語に加えて、カクチケル語、タロコ語、トンガ語、ツツバ語など絶滅が危惧される少数民族言語を対象とし、人間言語の個別性(個々の言語に固有であると考えられる特性)と普遍性(諸言語に共通であると考えられる特性)の解明に取り組んでいる。もちろん学生が上記以外の言語を研究することを妨げない(推奨し支援する)。
理論言語学では、言語使用者の脳内にある言語知識(文法、語彙)の内容、母語や第二言語の獲得、言語処理過程、ならびにそれらの神経基盤に関するモデル(理論的仮説)を構築し検証し修正していく。また、話し手や聞き手、状況との関係における言語運用の研究も、モデルの構築と仮説検証を行うという点では共通しているので、それを含めて理論言語学と呼ぶこともある。どちらの場合も、モデルを検証する際には、研究者の内省に加えて、記述言語学や実験言語学の手法を使う。本研究室では、言語そのものだけでなく、言語と思考の関係やコミュニケーションにおける言語の役割などを含めて、言語を認知や社会などより広い文脈に位置付ける広義の理論言語学のアプローチを採っている。
実験言語学では、記述言語学の研究で得られた一般化や理論言語学のモデルの予測などをコーパス、質問紙調査、行動実験、脳機能計測などを用いて検証したり、未知の現象について探索的に調査・実験したりする。その成果を記述言語学や理論言語学の研究にフィードバックし、相乗効果により螺旋状に研究を推進する。従来、実験言語学は様々な制約により一部の先進国の実験室の中だけで行われてきた。そのため、研究対象が経済的に豊かな国や地域で話されているごく少数の言語に極端に偏っている。本研究室では、絶滅が危惧される少数民族言語を含む多様な言語を対象に、話者の居住地に実験装置を持ち込み、最先端の実験手法で多角的に研究を進めている。また、言語を使用する人間の意識的・無意識的な心理的過程に着目した実験も行う。人間の言語運用の多様性や生涯を通じた発達的変容を明らかにすべく、定型発達の若年者に加え、高齢層や失語症者、発達障害者などの「非典型的話者」に光を当てる研究にも力を入れている。
皆さんも、言語の性質の探究を通して、言語の唯一の使い手である人間とはどのような存在なのかを、私達と一緒に考えてみませんか。
本ページ等で本研究室の概要をよく調べたうえで、受験前に必ず専任教員(教授・准教授)にご相談ください。
言語学研究室への留学を希望する場合は、まず研究生として入学した上で、大学院を受験していただきます。入学後は教授および准教授が指導教員となって研究指導を行うことになります。本研究室で行っている研究内容や様子について、『2023年度版言語学研究室のご案内』やスタッフ等を通してよく検討の上、以下の要領で出願してください。2次選考で合格した方に対して、研究生として受け入れを認めます。なお、研究生に合格しても、大学院に合格するかどうかはわかりません。
受け入れ条件
*修士号取得のみを希望する方は受け入れていません。
選考過程
【1次選考】書類
*4月入学希望者:前年9月末日〆切、10月入学希望者:3月末日〆切
【2次選考】面接
*4月入学希望者:前年11月頃、10月入学希望者:5月頃
書類提出、問い合わせ先:東北大学大学院文学研究科言語学専攻分野 准教授 木山 幸子 E-mail: skiyama[a]tohoku.ac.jp ([a]を @に置き換えてください)