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研究室について | 沿革 / 研究室紹介 / 教員紹介 / 所属学生一覧
中世・ルネサンス文学、とくに十五世紀から十六世紀前半にかけての韻文演劇作品を勉強しています。 これらは活版印刷術の登場、宗教改革と対抗宗教改革、古典テクストの復興などに伴われた西欧文明の一大転換期を垣間見る上で格好のコーパスをなしていますが、同時に世界における人間のありかたについて、それぞれに様々なニュアンスを伴った展望を示してくれます。
学部から博士課程まではとくに阿呆劇(ソチ)とよばれる劇ジャンルを中心に勉強してきましたが、最近は十五世紀の音楽家・神学者であったアルヌール・グレバンと、彼の主著である『受難の聖史劇』に関心を寄せています。作品で用いられる詩作技巧の分析や各写本の比較などを行っていますが、登場人物の心理的描写の繊細さや背後にある神学思想の深さ、テクストと上演の差など、学ぶほどに魅力を増す作品であると感じています。他方でまた、音楽家としても名高い詩人ギヨーム・ド・マショー以後から十六世紀前半までの韻文作品、とくに韻文創作の技術的・理論的問題にも興味を持っています。辞書を引き文法書や研究書をめくり、それでも自分の学力不足・怠惰ゆえに分からないことばかりですが、テクストそしてその向こうにいる人たちと共感できるような気がする瞬間もあります。五世紀も前の人たちの有形無形の仕事がこれまでの自分を支えてきてくれたというのは、思えば実に不思議なことです。
振り返ってみると、自分が関心を持つ作家・ジャンルは音楽と関わりのある場合が多いようです。音楽に関する自分の知識はごく初歩的なものなのですが、音楽とのかかわりの中で得た様々な経験が自分の研究にも少なからぬ影響を与えているように思われます。授業では中世から十七世紀ごろまでのテクストを主に扱っていますが、授業を通じて一番多くのことを学ばせてもらっているのは間違いなく自分自身なのだと日々痛感しています。
学生からの匿名コメント
黒岩先生の魅力は突っ込みだと思う。古いテクストにも校訂版にも辞書にも研究論文にもつねに批判的に向き合い、当時の演劇作品の上演形態に関してまで議論しながらも、学生の近況を尋ねることも忘れず、独特の機知とユーモアが展開される場にいると、授業も一回限りのものであることを感じるのです。 |
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