東北大学方言研究センター

研究活動
日本語方言形成モデルの構築に関する研究

(科学研究費補助金 基盤研究(B)による研究 2003〜2006年度)

この研究は、日本語方言の形成過程について検討し、総合的で説明力の高いモデル(「包括的モデル」)を作ることを目的にしています。「方言はどのように生まれてきたのか」という、素朴ながら方言研究の究極の問題に正面から取り組もうとしたものです。
具体的には、次のような課題を設定しています。

(1) 仮説の検討とモデル化:

日本語方言の形成過程については、小林隆「中央語再生モデル」や安部清哉「方言形成における4つの層」など、従来も複数の仮説が提出されていました。それらの有効性と限界を検討し、有効な部分を「包括的モデル」に組み込んでいきます。同時に、モデルとして必要な要素で、「方言伝播経路の推定」など従来研究が遅れている部分について新たに検討します。

(2) 方法論の検討:

「包括的モデル」を組み立てるために必要な方法論を検討します。従来、方言学が苦手としてきた実時間(絶対年代)の確定方法を開拓し、かつ、全国型モデルと地域型モデルの統合方法を考えます。また、それらの成果を踏まえた方言形成過程のシミュレーションを作成します。日本語方言の生成を目の当たりにできるシミュレーションを行うことで、結果を視覚的に提示します。

(3) 基礎的データの作成:

上記(1)(2)の検討のために、いくつかの基礎的データの整備を行います。例えば、中央語の再生や実時間(絶対年代)の検討のために『文献・方言間対応基礎データ』などの資料を作成し、モデル化を実証的に進めていきます。

【研究組織】

研究代表者 小林 隆(東北大学大学院文学研究科教授)
研究分担者 安部清哉(学習院大学文学部教授)
遠藤 仁(宮城教育大学教授)
木部暢子(鹿児島大学法文学部教授)
熊谷康雄(国立国語研究所情報資料部部門長)
佐藤貴裕(岐阜大学教育学部助教授)
高橋顕志(広島大学大学院教育学研究科教授)
彦坂佳宣(立命館大学文学部教授)

 
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