哲学専攻分野の博士課程後期3年の課程(博士課程)は、博士論文を提出して学位(博士号)を取得することを目的としています。そのためには、授業等の履修と論文指導、各種の学会等での研究発表と学術論文の投稿が必要となります。
後者の学会発表・論文投稿については、標準的な一例として、次のような段取りが想定されます。博士課程の1年生のときに、東北大学哲学研究会の研究発表会で論文を発表し、査読を経て、同会編の『思索』に研究論文を掲載します。研究論文には到らない場合には、「研究ノート」を掲載し、次年度以降に研究論文を投稿することもできます。
ついで2年生以降では、東北哲学会にて研究発表し、同会の『東北哲学会年報』に論文を掲載します。あわせて、日本哲学会編『哲學』をはじめ、専門分野ごとの全国学会に出かけて研究を発表し、論文を投稿して査読を突破することを目指します。東北大学倫理学研究会編『モラリア』や東北大学文学会『文化』に投稿することもできます。
このような研究活動の積み重ねのうえに、その集大成として、博士論文ができあがることになります。
授業等については、博士課程には総合人間学専攻の共通科目のほか、修士課程と共通の特論や演習を履修することができます。演習におけるテクスト読解や哲学的討議は、博士課程に進学した後も続けることが大事です。通称「月5」のセミナーに出席することも、やはり必須です。
論文指導については、哲学専攻分野の教員で指導体制を組みますが、そのうち主指導教員が論文作成計画書1・2や研究現状報告を受領し、主たる論文指導を担います。また、全国誌へ投稿する論文の草稿や、博士論文のための2年次の中間論文や3年次の予備審査論文などは、「月5」で発表されて、そこでの多角的な検討と討議によって鍛えられることになります。
博士論文は以上の段取りを経て、最短では3年で完成することになりますが、アカデミックなポストを狙う人は、業績や奨学金などさまざまな事情を考慮して、博士論文へのスケジュールについて、指導教員とよく相談して決める必要があります。海外への留学を考える人も、在学期間と博士論文については指導教員と相談して下さい。