研究紹介
イマヌエル・カント(1724~1804)の批判哲学の研究を基軸にしています。これまではおもにカントの『純粋理性批判』(1781/87)、とりわけその超越論的弁証論が研究課題でしたので、その過程で、無限、自己意識、人格同一性、自由、存在の根拠など、弁証論に登場する西洋形而上学の諸テーマを遍歴することになりました。近年はさらに、実践哲学など、カント哲学の他のフィールドにも探求を広げようと試みています。
また、カント哲学の思想史的な源泉や脈略を遡り、また同時代や後代における受容・批判を尋ねるべく、近代哲学史の研究に取り組んでいます。時代としてはおよそ、デカルトやライプニッツなどの 17 世紀の近代形而上学から、ヒュームやカントなどの 18 世紀の啓蒙期の哲学をへて、19 世紀のドイツ観念論やニーチェの時代までを範囲として、思想の歴史劇を再現したいと思っています。